自然災害に備える“防災3WG”、活動中

デジタル防災技術、事前・複合、防災教育・周知啓発

デジタル防災技術、事前・複合、防災教育・周知啓発

【 WG委員見識・英知の集約で、「防災省」創設提案は? 】

● 3WGのテーマは、いずれも喫緊の重要課題、イノベイティブな検討成果に期待

 本紙は本年1月15日号(No. 250)で、近年の激甚化・頻発化する自然災害に対応するためとして国が新たに立ち上げた有識者を中心とする3つのワーキンググループ(以下「WG」)を取り上げ、その構成委員を主に紹介した。3つのWGとは、「デジタル防災技術WG」(「未来構想チーム」と「社会実装チーム」の2チーム)と「事前防災・複合災害WG」、「防災教育・周知啓発WG」(「防災教育チーム」と「災害ボランティアチーム」)である。

 各WGの検討結果とりまとめは、2021年6月が予定されているが、3つのWGではいま、具体的な議論が進行中だ(2021年5月14日現在)。各WGがそれぞれの報告書をとりまとめ次第、本紙は改めてその詳細を取り上げる予定だが、ここではおおざっぱではあるが、途中経過を報告しておきたい。
 本紙としては、各WGの議論がひいては(必然的に)、「防災省(庁)創設の提言」へ集約することを密かに期待しているところではある。

▼デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)

 まず、「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」(座長:安宅和人・ヤフー株式会社CSO)は去る4月19日に第3回会議を開催。たまたま5月12日に参院本会議でデジタル庁創設を盛り込んだデジタル改革関連法が可決成立し、首相をトップとして「世界最先端のデジタル化社会をめざす」デジタル庁が9月1日に発足することになったが、これと呼応して「デジタル・防災技術」の進展も期待される。

内閣府が立ち上げた3つのワーキンググループ(WG)のひとつ、「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」検討会資料より「デジタル防災技術の未来構想への提案〜「リアクティブ防災」から「プロアクティブ防災」へ」(臼田裕一郎委員・防災科学技術研究所 *「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会配布資料より抜粋)。リアクティブ(反応的)防災からプロアクティブ(先取り)防災――災害対応過程を常時観測・予測し、予測情報に基づき先手を打つ防災がめざす未来像だとする
内閣府が立ち上げた3つのワーキンググループ(WG)のひとつ、「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」検討会資料より「デジタル防災技術の未来構想への提案〜「リアクティブ防災」から「プロアクティブ防災」へ」(臼田裕一郎委員・防災科学技術研究所 *「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会配布資料より抜粋)。リアクティブ(反応的)防災からプロアクティブ(先取り)防災――災害対応過程を常時観測・予測し、予測情報に基づき先手を打つ防災がめざす未来像だとする

 第3回会議の議事要旨はまだ公表されていないが、第2回(1月29日開催)では、臼田裕一郎・防災科学技術研究所総合防災情報センター長から「デジタル防災技術の未来構想への提案」がなされ、臼田氏は「災害情報という概念をなくし、すべての情報は災害時に使用することをあらかじめ想定した情報として標準化」、「災害が発生した事実を中心とするリアクティブ(反応的)な対応から、災害対応過程を観測し、予測情報に基づいて先手を打つプロアクティブ(先取り的)な対応に」などが指摘された。

「デジタル防災技術」、未来構想への提案(防災科研・臼田裕一郎氏資料より)
「デジタル防災技術」、未来構想への提案(防災科研・臼田裕一郎氏資料より)

▼デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)

 「デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)」(座長:安宅和人・慶應義塾大学環境情報学部教授 *「未来構想」と兼任)は4月21日に第5回会議を開催。「災害対応では、失敗例も含めて、整理した形で対応に役立てる仕組みづくりは重要」、「ベースレジストリ(社会のあらゆる基本データ)は、国家が保有するべき情報はスタティック(固定的)な情報が多く、防災において必要とする情報と性格が違うため整理しておく必要」などの意見。

▼事前防災・複合災害WG

 「事前防災・複合災害WG」(座長:藤井聡・京都大学教授)の第4回会議は5月18日開催。気候変動の影響により激甚化する風水害や、切迫する大規模地震等への備えとして事前防災の取組み、感染症との複合災害について国土強靱化の観点から議論。

「事前防災・複合災害WG」、「大規模地震の課題」(福和伸夫・名古屋大学教授資料より)
「事前防災・複合災害WG」、「大規模地震の課題」(福和伸夫・名古屋大学教授資料より)

▼防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)

 「防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)」(座長:片田敏孝・東京大学大学院情報学環特任教授)は4月28日に第6回会議を開催。国(赤澤亮正防災担当副大臣)から「2020年度の政府の政策の基本骨格を定める『骨太の方針』や文部科学省において今後議論される第3次学校安全の推進に関する計画に提言内容を盛り込み、防災教育の推進に必要な予算の確保につなげたい、加えて防災教育の実態を調査し『何をいつまでにやるか』という工程管理が重要」との発言。これを受けてまとめの段階に入り、「これまでの議論を踏まえた今後めざす防災教育の内容と教育方法(案)」を作成している。

「防災教育・啓発WG」、「既存の枠組みにおける防災教育の改善ポイント」(大木聖子・慶應義塾⼤学環境情報学部准教授資料より)
「防災教育・啓発WG」、「既存の枠組みにおける防災教育の改善ポイント」(大木聖子・慶應義塾⼤学環境情報学部准教授資料より)

▼防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)

 「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)」(座長:栗田暢之・全国災害ボランティア支援団体ネットワーク代表理事)は、4月26日に第5回会議を開催。「避難所運営ボランティアスキルアップ研修及びマッチングシステムの仕組み」について議論したほか、「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」(各主体の連携システム)を議論。

 なお、赤澤亮正副大臣から「ボランティアが経験を積み、キャリアアップしていくためのキャリアパスモデルや体系的な訓練、認定制度を整備するとともに、コロナ禍の現状を鑑み、地域密着型でマッチングする仕組みを整備する。個々のボランティアスキルおよび地域の防災力の向上が実現する仕組みの実現に向けた工程表を作成することも必要」の発言、また「NPOなどが市町村から避難所運営業務などについて受託する場合は、所要の経費を公費負担する検討も必要」などの考えが述べられた。

「防災教育・啓発WG」、「避難所運営分野で地域密着型の災害専門ボランティアを活かす地域防災エコシステム(たたき台)」より
「防災教育・啓発WG」、「避難所運営分野で地域密着型の災害専門ボランティアを活かす地域防災エコシステム(たたき台)」より

 「デジタル・防災技術〜未来構想と社会実装」、「事前防災・複合災害」、「防災教育・周知啓発〜防災教育と災害ボランティア」――いずれもわが国の災害対策における喫緊の重要課題であり、それぞれのWGでの検討成果に期待は大きい。いっぽうで、内閣官房「国土強靭化計画」があり、国土交通省は「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」が進行中、気象庁は「新たなステージに対応した防災気象情報」を打ち出している。
 これらをパッチワークのように集めることで国の災害対策の絵柄が見えてくるということではあるが、これらを一括・総じてとりまとめる「防災省」を創設して、そこでシステマティックに統合すれば、よほどすっきりするのではないだろうか。
 各ワーキンググループの委員の見識が、必然的にそういう方向で一致していくことにも期待したいところだ。

>>内閣府(防災担当):各種検討会 対策全般

〈2021. 05. 15. by Bosai Plus〉



▼《Bosai Plus》 No. 258/2021年05月15日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

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