地球規模の巨大災害 想像力で備える

「居安思危/思則有備/有備無患」=想像力で備える

世界の0.25%の面積の日本、
世界に占める災害発生割合はM6以上の地震20.8%・活火山数7.0%

●“気象津波”を呼び起こしたトンガの巨大海底火山噴火

気象衛星ひまわりがとらえたトンガ噴煙の広がり(気象庁 同「動画」へリンク)
気象衛星ひまわりがとらえたトンガ噴煙の広がり(気象庁 同「動画」へリンク)

 「Ring of Fire(炎の輪)――南太平洋トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ海底火山噴火を報じる海外メディアを見て、日本を含む環太平洋火山帯がこう呼ばれていることを知った」という記事があった。“炎の輪”は下図版にあるように、まさに地球を抱くように広がる。

プレート境界の種類(防災科学技術研究所「防災基礎講座」より)
プレート境界の種類(防災科学技術研究所「防災基礎講座」より)

 防災白書はその冒頭で「わが国は、その位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土」で、世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード(M)6以上の地震回数20.5%、活火山数7.0%、死者数0.3%、災害被害額11.9%など、世界の0.25%の国土面積に比して非常に高い」(数字は2020年度版より)とするのが“慣例”となっている。

 昨年から本年(2021-22年)にかけてわが国で最大震度5以上を観測した地震を気象庁報道発表で顧みると(直近→21年2月 *マグニチュード=M)――
【2022年】
・1月22日:01時08分頃の日向灘の地震 M6.6
*1月15日13時頃(日本時間)、トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模噴火が発生 →「潮位変化について」を発表
・1月4日:06時09分頃の父島近海の地震 M6.1

【2021年】
・12月9日:11時05分頃のトカラ列島近海の地震 M6.0
・12月3日:09時28分頃の紀伊水道の地震 M5.4
・12月3日:06時37分頃の山梨県東部・富士五湖の地震 M4.8
・10月6日:02時46分頃の岩手県沖の地震 M5.9
・5月1日:10時27分頃の宮城県沖の地震 M6.8
・3月20日:18時09分頃の宮城県沖の地震 M6.9
・2月14日:(2月13日)23時08分頃の福島県沖の地震 M7.3

 素人感覚ではあるが、このようなデータはまさに「Ring of Fire(炎の輪)」(環太平洋火山帯)を実感させるのと同時に、日向灘や父島近海、トカラ列島近海、紀伊水道、山梨県東部・富士五湖などの地震発生箇所から、南海トラフ巨大地震との連関性をもイメージせざるを得ない。

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「居安思危→思則有備→有備無患」=想像力で備える
“破局噴火”への想像力で 万が一(確率1%?)に備えよう…

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 「備えあれば憂いなし」の格言があるが、この故事成句の前後は、「居安思危(安きにありて危うきを思う)/思則有備(思えばすなわち備えあり)/有備無患(備えあれば憂いなし)」へと連なり、「備えあれば憂いなし」を三段論法的に支えているという(春秋左氏伝より)。本紙はこれまで記事見出しなどで「想像力で備える」をキャッチフレーズにしてきたが、まさに「居安思危/思則有備/有備無患」の現代的表現でもあった。

 また本紙は、火山の“破局噴火”の驚異・様相を科学的裏づけと想像力をもって細部まで描写しつつ、なおエンタテインメントとして高い水準を保つ小説、石黒 耀・著『死都日本』(2002年刊)を、本紙創刊12号となる東日本大震災発災・約1カ月前の2011年2月15日号で紹介した。同作品は発行時から、火山研究者、防災・危機管理分野のプロからも絶賛され、第一線防災専門家による公開シンポジウムのテーマともなった話題作だ。

講談社文庫:石黒 耀・著『死都日本』

 いま、宇宙が人間の身近なもうひとつの活動空間になりつつあるとき、マスメディアによる巨大災害への懸念も同時に社会現象化しつつある。まさにサイエンス・フィクションからサイエンスファクト、NASAのDARTならぬ地球規模の防災や、環境破壊、地球規模の自然災害などが重要課題になりつつある。そこで、思い起こされるのは、神戸大学が2014年10月に発表した「巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスク」である。

7300年前の幸屋火砕流と鬼界アカホヤ火山灰(Image by Wikimedia)
7300年前の幸屋火砕流と鬼界アカホヤ火山灰(Image by Wikimedia)

 この研究発表で、神戸大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻の巽好幸教授と鈴木桂子准教授は、「日本列島で今後100年間に巨大カルデラ噴火が起こる確率は約1%。この確率は、兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) 発生前日における30年発生確率と同程度。すなわち、いつこのような巨大噴火が起こっても不思議ではないと認識すべきで、最悪の場合、巨大カルデラ噴火によって1億2000万人の生活不能者 (*当初の発表資料は、1億2000万人の死亡者とされたが、文言を修正) が予想される」とした。

「日本列島の巨大カルデラ火山の分布と巨大カルデラ火山噴火の最悪のシナリオ」(神戸大学)
「日本列島の巨大カルデラ火山の分布と巨大カルデラ火山噴火の最悪のシナリオ」(神戸大学)
「災害の危険度 (破線と数字)」(神戸大学)
「災害の危険度 (破線と数字)」(神戸大学)

 神戸大学はその後、「神戸大学海洋底探査センター(KOBEC)」を設置して、九州南方にある「鬼界(きかい)海底カルデラ」の探査を行うなど、超巨大噴火予測の研究を本格スタート」させている。

神戸大学:巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスクを発表

神戸大学:鬼界カルデラに巨大なマグマ溜りの可能性

 地球は活きている――トンガ海底火山噴火を契機として、改めて実感する。巨大噴火の発生メカニズムの理解、そのリスクへの想像力こそが、火山大国に暮らす私たち日本人にとって「備え」に向けて踏み出す一歩となるのだ。

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