「ICT x センサー」=デジタルテクノ防災

「文明が進めば災害も激烈化」
――デジタル防災は追いつけるか

寺田寅彦の箴言「文明が進めば…」に追いつこうという“志”で日進月歩のテクノ防災
――その兆しを窺う。

【 SFで空想された“テクノ”がいま、現実に…防災への応用も 】

●ドローン x AI x スマートグラス=捜索支援システム「3rd-EYE」

 ICT(情報通信技術)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、A(I 人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)……さらにはメタバース(3次元仮想空間)などなど、最先端デジタルテクノロジーの急進展ぶりに目を見張る。かつてSFの世界で空想された“テクノロジー”がいま、次つぎと現実化しつつあり、防災分野でもその活用が目立ってきた。

 タイトルカット写真は、株式会社ロックガレッジ(茨城県古河市)のニュースリリースからの引用だ。同社では茨城西南広域消防本部と合同で、“ドローン×AI×スマートグラス”=捜索支援システム「3rd-EYE」による訓練形式の人命救助実証試験を実施したという。「3rd-EYE」の名のとおり、同システムではドローン映像をAIで自動解析し、捜索対象(人間)の位置を特定、スマートグラスにその位置情報を空間表示。捜索結果は指揮本部に設置される端末にも共有され、指揮命令者の指示にも利用。スマートグラスを装着した隊員はその視野のなかでどこに捜索対象(人間)がいるのかを直感的に理解、隊員間または指揮本部との意思疎通を正確に行え、救助活動の迅速化が期待できるという。

茨城県古河市拠点の株式会社ロックガレッジによるドローン×AI×XRの融合による捜索支援システム「3rd-EYE」の実証実験より(茨城西南広域消防本部との合同訓練)。ドローン映像をAIで自動解析し、捜索対象(人間)の位置を特定、スマートグラスにその位置情報を空間表示。また、捜索結果は指揮本部端末にも共有され、指揮命令者が指示を出せる。スマートグラスを装着した隊員は、どこに捜索対象(人間)がいるのかを直感的に理解でき、隊員間または指揮本部との意思疎通を正確に行えて、救助活動の迅速化が期待できる
茨城県古河市拠点の株式会社ロックガレッジによるドローン×AI×XRの融合による捜索支援システム「3rd-EYE」の実証実験より(茨城西南広域消防本部との合同訓練)。ドローン映像をAIで自動解析し、捜索対象(人間)の位置を特定、スマートグラスにその位置情報を空間表示。また、捜索結果は指揮本部端末にも共有され、指揮命令者が指示を出せる。スマートグラスを装着した隊員は、どこに捜索対象(人間)がいるのかを直感的に理解でき、隊員間または指揮本部との意思疎通を正確に行えて、救助活動の迅速化が期待できる

ロックガレッジ:最先端の捜索支援AIスマートグラス「3rd-EYE」実用化へ

 以下、こうした最先端デジタルテクノロジーの防災活用事例を数例取り上げる。まさにデジタルテクノロジーは日進月歩で、その“社会実装”に期待だ。
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高知工科大、インフラサウンド観測で“緊急津波速報”を
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 旧聞となるが、本紙は2015年2月15日号(No. 108)で、地震・津波などを検知・速報する「インフラサウンドセンサー」を取り上げた。

津波によるインフラサウンドの発生と伝搬(高知工科大資料より)
津波によるインフラサウンドの発生と伝搬(高知工科大資料より)

 インフラサウンドは、人間の可聴周波数範囲(20Hz~20kHz)より低い周波数(約0.3mHz~20Hz)の音波で、緊急地震速報の“津波版”として津波発生を検知し、その規模・到達時間などを速報する技術。高知工科大学発のスタートアップ企業・株式会社レソナアレス(千葉県船橋市)の開発による。
  「インフラサウンド」は遠方まで衰えることなく到達する性質があり、もともと核実験検知を目的に研究・開発されたように、地震・津波から火山噴火、土砂崩れ、竜巻、隕石や各種人工騒音(風力発電・爆発音等)などを検知し把握できるという。

高知県における試験センサー観測ネットワーク(高知工科大資料より)
高知県における試験センサー観測ネットワーク(高知工科大資料より)

 南海トラフ地震に備える高知県では、インフラサウンドによる津波防災、土砂災害の“緊急速報システム”の開発に取り組む。津波インフラサウンドセンサーは現在、東京大学や日本気象協会など20機関が研究に参加し約100基が稼働。津波センサーには海洋設置型の先発機があるが製作費、設置・保守管理の費用がかさむ。レソナアレスのセンサーは1基100万円ほどで、陸上に置くため保守管理費も抑えられるとのことだ。

高知工科大学:インフラサウンド観測ネットワーク
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森ビル、揺れ特性の定量評価で、都市の震災リスクを見える化
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 本紙前号「見過ごされている『一般ビルの耐震化』」で、住宅や学校、大規模建物の耐震化は進んだが、三大都市などのまちなかの一般ビルの耐震化状況についてはデータはなく、“闇の中”であることを伝えた。都市直下地震などが起これば、阪神・淡路大震災の惨状が繰り返されるおそれがある。

 阪神・淡路大震災から26年となる去る1月17日、森ビル株式会社(東京都港区)は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を使った建物の格付けシステムを開発したと発表した。株式会社小堀鐸二研究所と連携し、小型センサーで地震発生時の揺れを測定、建物の安全性を相対的に分析評価する。国内で耐震化の不明な古い建物が増えるなか、震災リスクを見える化し、建て替えや改修などに役立ててもらうことが狙い。2023年1月からサービスを提供する予定。

森ビル:IoT技術による「土地建物格付けシステム」を独自開発
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東京海上、揺れ検知で補償 エレベータ停止などを想定
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 東京海上日動火災保険株式会社は企業向けに、地震発生時に安全確保にかかった実費を補償する保険を販売する。商業施設や工場内の地震計が検知した震度が事前に決めた震度に達すると、物的損害がなくても保険金を支払うのが特徴。安全確保にかかる費用負担を肩代わりすることで、被害軽減に向けた迅速な行動を後押しする。

ミエルカ防災の「ユレーマス」システム概念図より
ミエルカ防災の「ユレーマス」システム概念図より

 保険契約者は地震速報サービスのスタートアップ、ミエルカ防災(東京都千代田区)の地震計を設置。ミエルカ防災の地震計「ユレーマス」は気象庁の公表よりも揺れを数秒早く検知できるのが強みで、この特性を生かし、保険契約者が商業施設内のエレベーターを緊急停止するなどの安全確保策をとりやすくする。エレベーターに閉じ込められた人の救出にかかる費用や正常稼働に向けた点検費用を保険でまかなえる。
 首都圏においては、すでに主だった活断層の近くに基幹ユレーマスが設置されており、全域をカバーするユレーマスネットワークが構築されているという。

日本経済新聞:東京海上、揺れ検知で補償 物損なくても費用支払い

ミエルカ防災:「ユレーマス」

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