大規模災害ゴミ対策のグランドデザイン

 環境省は去る3月23日、日本海溝・千島海溝沿いで想定されるマグニチュード(M)9級の巨大地震が起こった場合、災害廃棄物(以下、「災害ゴミ」)が最大で2717万トン発生するとの推計を公表した。津波による泥などの堆積物は含んでいない。  同じ条件で比較すると、処理完了に3年かかった東日本大震災で発生した約2千万トンの災害ゴミを上回る。災害ゴミの推計量は、岩手県沖から北海道沖を震源とする「日本海溝モデル」が最大で、北海道沖から千島列島沖にかけての「千島海溝モデル」では1042万トンとなっている……

究極の“アナログ津波防災”―「防集」

 「事前復興」という防災用語がある。とくに阪神・淡路大震災以降浮上した災害・防災・復興研究の考え方で、「災害が発生した際のことを想定し、被害最小化につながる都市計画やまちづくりを研究・計画・推進」することだ。今日、市町村における防災事業の推進における主要事業である減災や防災まちづくりの一環として行われる取組みのひとつともなっている。この事前復興まちづくりの事例として、南海トラフ巨大地震での大津波を想定する「高知県事前復興まちづくり計画」を取り上げる……

“同次元”としてのトルコ・シリア巨大地震

 2023年2月6日現地時間午前4時17分(日本時間同10時17分)、トルコ南東部のシリアとの国境付近・ガズィアンテプ・カフラマンマラシュ県境付近を震央とするマグニチュード(M)7.8の巨大地震が発生、その約9時間後の13時24分(同19時24分)にカフラマンマラシュ県のエルビスタン地区で後発大地震(M7.5)が発生した。2つの巨大地震とそれらに誘発された多くの余震により、トルコ南東部およびシリア北西部において、これまでに両国で合わせて3万5000人以上が死亡したとの両国当局の発表や報道があり(2月14日現在)……

原発事故で国 免責 ⇒ 災害検証を考える

 東京電力福島第1原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁第2小法廷は去る6月17日、初めて国の責任を認めない判決を言い渡した。「現実の地震・津波は想定よりはるかに大規模で、防潮堤を設置させても事故は防げなかった」と判断したもので、裁判官4人のうち3人の多数意見。1人は国の責任を認める反対意見を述べた……

福祉防災 -2- 災害ケースマネジメント

 本紙は本年3月1日号(No. 277)で『フェーズフリー福祉防災 ~福祉なくして防災なし~』とし、その第1弾として「個別避難支援計画(災害時ケアプラン)」の普及促進を取り上げ、その全国展開を図る立木(たつき)茂雄氏インタビュー」を特集、読者から大きな反響をいただいた。  本号ではその第2弾として「災害ケースマネジメント」(DCM)に焦点を当てる。「災害ケースマネジメント」とは、被災者を個別支援して生活再建につなげる取組みであり、その推進にも多くの主体が関わることになる。広域大規模災害が想定されるわが国で、平時のいまこそ被災者支援制度を拡充させる機会であり、”フェーズフリー福祉防災”構築のキーワードになりそうだ……

【東日本大震災から11年】 東北復興へ“新しい力”再起を促す草の根の“情動”

 全国で関連死を含む死者・行方不明者2万2207人を出した東日本大震災から、3月11日で11年となった。国は今年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」とし、復興庁の予算は、風評被害対策を含めた原子力災害からの復興・再生に軸足を移し、約8割は原発事故被災地の支援や被災者の心のケアにあてられる……

「災害時応援協定」と防災士

 「災害時応援協定」という言葉をよく聞く。一般的には、阪神・淡路大震災や東日本大震災大規模災害のような大規模な災害が発生したとき、いわゆる「公助」による対応には限界があることから、自治体が被災自治体となることを事前に想定して、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動などの各種応急復旧活動について、民間事業者や関係機関・団体との間で応援協定を締結し、応急復旧活動にあたろうというものだ……