BOSAI+ TWEETS & TIPS

■Tweets & Tips

 このページでは、防災ニュースレター《Bosai Plus》が発行・配信された時点で購読者に向けたダウンロード・サイトのご案内メール内に記載された本紙・編集発行人(M. T.)による「時事雑感:Tweets & Tips」を収録しています。
 ”Tweets”は、英語ではツイッターなどの「つぶやき」、”Tips”は「気の利いたアイデア」といった意味です。気が利いているかどうかはともかく、この雑感から、発行時点での防災動向がうかがえるかと思います。

 以下、掲載順は、直近号から既刊号へ遡っています(各号の P. 1 画像へのリンク付き)



日本全国の「災害リスクエリアの重ね合わせ図」(国土交通省資料より)

■《Bosai Plus》第284号・2022年06月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「助ける・助けられる」から『助かる』防災へ

 本号特別企画は、わが国の国民運動としての防災・減災努力にもかかわらず、災害リスクエリアでの人口が増えていくという”日本の原罪”的な課題と、その解決に向けた可能性について考えてみました。

 つまり、国土交通省が公表した「中長期の自然災害リスクに関する分析結果」と、その住民による活用――「災害リスクについて自ら調べ、災害時の具体的な行動についてさらに考えるきっかけとする、また、中長期的な視点でより災害リスクの低い土地利用を集落などで話しあう際の参考資料としての活用」です。
 そして、住民の活用について、市民運動としての地域防災活動に「助かる防災」という概念の伸展の可能性を、2つの論考の紹介で試みました。

 いっぽう、国土交通省はこの分析結果の活用について、自治体、企業、住民による活用例を示唆しましたが、(本紙の知る限り)国自身の活用事例は示していません。国としてはどう対応しようとしているのでしょう。

 前々号で「災害資本主義」あるいは「防災社会主義」という議論を呼びそうな新語で問題提起をしました。
 もともと無秩序な市街化の拡大を抑制するために宅地開発を規制していた「市街化調整区域」が、規制緩和(経済成長の特効薬?)によって災害リスクエリアでの宅地開発をもたらす――まさに資本主義が災害リスク要因を必然的に生み出しているとしたら、国策としては「社会的共有資本」の拡充で対抗することになるのではないか。
 現政権は「新しい資本主義」を掲げましたが、その志はだいぶ後退したようでもあります。

●「男女共同参画」の「もはや昭和の時代の想定は通用しない」

 ウクライナ問題はもちろん、それに先立つトランプ危機に見られるように、民主主義の危機の問題も、このところ急浮上しているように思います。
 このコラムでは政治的な発言は控えたいのですが、民主的な選挙で選択されたはずの政権は、外(野党としておきましょうか)からの批判に対してハリネズミのように抵抗するのはいかがなものでしょう。

 本来、批判に対しては是々非々で対応すべきで、女性蔑視的な言動をする議員に対して、選挙が近いことで失点を恐れてか、曖昧な態度に終始するのはいかがなものか。また、”党議拘束”は民主主義と矛盾していないか、疑問に思うことしばしばです。

 男女共同参画について「白書」、「骨太の方針」、「防災・復興ガイドライン フォローアップ」と続けざまに政府系報告書の公開がありました。
 内閣府男女共同参画局は、政府の機関としては、”ずけずけと”モノを言うので、好感が持てます。もとより、小紙もメディアとして、批判の真意はよりいい社会に向けた提言・諫言のつもりでもあるからです。
 「女性版骨太の方針2022」の「もはや昭和の時代の想定は通用しない」に本紙としても快哉を叫ぶ思いです。

●忙中閑話

朝日新聞:女性と戦争「性暴力は戦争の武器・戦略」 テクノロジー化した戦争では男女の体力差は……柳原伸洋さん、秋林こずえさん、大塚英志さん(耕論)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15319318.html
(2022.06.09.)
 嘆き悲しむ母親、銃を持つ女性兵士――。ウクライナ侵攻下で語られる女性の姿に、私たちは感情を揺さぶられる。これは一人ひとりの実像なのか。戦争がつくりだす「女」なのか……

NHKニュース:藤田医科大学 全学生が「防災士」講習受講へ 愛知
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220604/3000022909.html
(2022.06.04.)
 愛知県豊明市の藤田医科大学は、地域防災のリーダーとなる「防災士」の講習をすべての学生が受講するカリキュラムに組み込み防災士として養成していく。大学では、災害時に地域に貢献できる人材を……

   (M. T. 記)


大都市・東京を襲う直下地震にどう備えるか

■《Bosai Plus》第283号・2022年06月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●被害想定の死者数への「想像力」と「災害犠牲者ゼロ」

 本号特別企画は東京都の首都直下地震の被害想定(P. 1-2)と、青森県の地震・津波被害想定(P. 3)の2本立てとしました。
 また「話題を追って 1」(P. 4)では出水期を迎えての防災気象情報の「改善」の話題。関連して「話題を追って 2」(P. 5)で、大雨や生活音のなかで聞き取りにくいとあまり評判のよくない防災行政無線の「聞き取り改善技術」の話題。

 「BOSAI TIDBITS」(P. 6)では新刊『宅地の防災学』と土砂災害対策の斬新な手法・アイデアの提唱、『宅地の未災学』を紹介しています。
 いずれも防災メディアとしては見逃せない、聞き逃せない新着情報として取り上げましたので、ぜひ読者のみなさまにもご一読いただきたいと思います。

 このように本紙は毎号、防災にかかわる読者のみなさまと有効な情報を共有することをめざして発行を続けていますが、たまたま本号・首都直下地震被害想定の記事末尾で、本紙創刊号(2010年9月1日号)で取り上げた14年前(2008年)に530万人の参加者を動員した米国発地震防災訓練「シェイクアウト」の話題を再掲しました(下記リンクのP.6。当時の手づくり感満載の紙面でご覧ください)。
《Bosai Plus》創刊号(P. 6):「ザ・グレート・シェイクアウト」

 この米国発「シェイクアウト」を創刊号で取り上げたのは、被害想定の死者数に危機感をかきたてられたという米国の主催者(創始者)の心意気とその成果・実績に感銘を受けたからです。日本の防災の日(9月1日)防災訓練を参考にしたとも聞いています。

 彼らにとっては想定死者数が1000人を超える、いえ、100人を超えても”驚愕に価する自然災害”なのだ、もしや、いのちの重さが違うのでは、と。
 同ホームページによると2022年の「シェイクアウト」参加登録者(予定含む)は世界で3千万人(日本を含む)にのぼっています。
Great ShakeOut
 本紙のモットー「災害犠牲者ゼロをめざす」の原点は、ここにあります。

●忙中閑話

J-CAST:「シン・ウルトラマン」に登場 「防災庁」公認防災セット(防災士監修)
(2022.05.29.)
劇中に登場する架空の省庁である防災庁が監修したというコンセプトのもと開発された防災セット。地震だけではなくゲリラ豪雨・台風などの災害時に役立つアイテムが約20点も入ったオリジナル商品に……

朝日新聞:女性活躍へ「昭和の想定通用しない」 「女性版骨太の方針」案
(2022.05.28.)
 政府は27日、女性活躍や男女共同参画分野で重点的に取り組む内容をまとめた「女性版骨太の方針2022」の原案を示した。女性の人生と家族の姿は多様化しているとし、「もはや昭和の時代の想定は通用しない」と指摘……

時事通信:防災部局「女性ゼロ」ずらり 市区町村で6割 内閣府調査
(2022.05.27.)
 防災・危機管理部局に配置された女性職員の割合は都道府県で平均11.2%、市区町村は同9.9%にとどまり、61.9%の市区町村では1人もいなかった。国は「女性の視点」の活用が進む自治体の事例を調べて……

(本紙近刊号で「防災の男女共同参画」を改めて取り上げる予定です)

   (M. T. 記)


東日本大震災で防潮堤を越えて仙台空港に押し寄せる津波(岩沼市/宮城県資料より)

■《Bosai Plus》第282号・2022年05月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「災害資本主義」から「社会的共通資本の防災社会主義」へ

 前号のこの欄で「保育所・幼稚園の4割が浸水想定区域に立地」という新聞記事に触発されて、「”防災社会-主義”、あるいは”社会-防災主義”を論じたい」と書きました。
 本紙も何度か指摘してきましたが、市場経済の論理から安い土地・危険な土地に福祉施設が追いやられる現実があり、また、無秩序な合理性の追求によって浸水想定地域で人口が増えている現実もあります。

 一般的に「災害」といえば、私たちが想定できなかった原因や、想定できてもそれを超える外力で起こった自然事象、加えて人為的な経過によってもたらされる人的・物的損害でした。
 英語の「disaster(災害)」の語源は”dis「離れて」aster「星」”で、占星術で「良い星から離れることで生じる悪い事柄」と解釈され「大災害」を意味するようになったとあるように、「災害」は人知の及ばない「天災」だったわけです。

 ところが本文で触れたように、阪神・淡路大震災も東日本大震災(原発事故を含めて)も、文明社会だからこその、言い換えれば資本主義の内から必然的に生じてきた矛盾や社会の脆弱性が引き起こした事象のように思えます。
 かの寺田寅彦は90年ほども前に「文明が進むほど災害も激烈となる」と喝破していましたが、資本主義が内在する災害被害増幅作用を察知していたのでしょう。

 資本主義のみならず民主主義、個人主義、自由主義など、これまで私たちの”譲れない理念”とされてきた価値観に揺らぎがみられるいま、防災においては今後、「災害資本主義」という刺激的な”アンチ防災”用語が浮上しそうな予感もあります。

 現政権は「新しい資本主義」を打ち出していますが、どこまで資本主義の”見直し”に踏み込むおつもりか――いっぽう、これに呼応するように、故・宇沢弘文の「社会的共通資本」が再評価されつつあります。
 宇沢は鳥取県米子市出身ですが、わたくしごとながら、個人的に縁のある土地でして(それだけで)応援したい気持ちではあります。
 
●忙中閑話

朝日新聞:旧信越線トンネルを避難所に 浅間山の噴火や武力攻撃を想定
(2022.05.05.)
 長野県軽井沢町は浅間山の噴火や他国による武力攻撃事態を想定し、町民や観光客が一時的に緊急避難できる施設を指定。長野、群馬県境にある旧信越線のトンネルのほかホテルや美術館、大学の保養所など……

日テレ:女性初の「地震津波監視課長」就任 津波警報発表など重責を担うキーマンを直撃
(2022.05.06.)
 まさに24時間365日地震を監視し、津波警報などを出す気象庁の現場トップ「地震津波監視課長」に史上初めて女性が就任。地震津波監視課長は気象庁に近い「危機管理宿舎」で生活し……

   (M. T. 記)


静岡県社会福祉協議会による災害派遣福祉チーム(静岡DWAT)

■《Bosai Plus》第281号・2022年05月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●DWAT/DCATの深化で拓ける「福祉防災」の新たな展望

 「福祉支援防災 その3」として本号は「災害派遣福祉チーム(DWAT/DCAT)」を取り上げました。厚生労働省が本年度に、災害時の要援護者を支援する災害派遣福祉チームの取組みを集約する「災害福祉支援ネットワーク中央センター」を創設するという方針を受けた記事企画です。

 災害派遣福祉チームは基本的には専門家で構成されるチームですが、その活動を周りで支えるのは地域防災のいろいろな主体になると思います。その意味でも、福祉と防災のシームレスな連携がますます求められることでしょう。

 ただ、福祉と防災の連携について、立木茂雄先生が「”連携”は言うは易しだけれども、連携は結果であり、連携のための手段・方法こそ重要」と話されていました。
 国による各DWAT/DCATの管制塔となる「中央センター」創設で、福祉・防災連携の新たな展望が拓けることに期待したいと思います。

●”防災社会 主義”、あるいは”社会 防災主義”を論じたい

 読売新聞の記事に「保育所・幼稚園の4割が浸水想定区域に立地」という記事がありました。

読売新聞:保育所・幼稚園の4割、浸水想定区域に
(2022.04.18.)
 津波や大雨などで浸水の危険がある浸水想定区域に立地する保育所や幼稚園などが、全国主要都市で約4割に上ることが読売新聞の調査でわかった。同区域にある施設の2割弱は避難確保計画を作成しておらず……

 本紙はこれまで何度となく、浸水想定区域で人口が増えていることを指摘してきました。国(国土交通省)はハザードエリアから住宅などの移転を誘導する政策を打ち出していますが、わが国では多くの都市部が水災害ハザードエリア内にあることから、居住区域をハザードエリアから完全に除外することは困難なようです。

 しかしそうだとしても、福祉施設や学校などの立地は、市場原理にまかせられないはず。水害対策とまちづくりが一体となった取組みを最優先すべきでしょう。

 近年、いろいろな分野で資本主義の限界がささやかれます。現政権は「新しい資本主義」を掲げますが、防災分野での「新しい資本主義」はどうなるのでしょうか。
 もしかして防災分野では、”防災社会 主義”、あるいは”社会 防災主義”なるイデオロギーをもって災害対策を進めたほうがいいのでは……と考える今日この頃です。
 近刊号で、マジにこのことを取り上げてみたいとも思っています。

●忙中閑話

読売新聞:日本の地下駅300超、有事の避難施設に指定…地上から浅くミサイルには弱く
(2022.04.21.)
 ロシアによる軍事侵攻後、ウクライナの市民がシェルターとして利用している地下駅舎。日本でも、外国からの武力攻撃を念頭に、自治体による地下駅舎の避難施設指定が進む。昨年3月まではゼロだったが、この1年で300を超えるまでに……

朝日新聞:天声人語
(2022.04.27.)
 (要約)飛脚の時代には、馬が不足して運送に支障が出るのを「馬支(うまづかえ)」、河川が増水して渡れなくなるのを「川支(かわづかえ)」と言った。ネット時代にも、様々な「つかえ」はなくならない(ビデオ店や書店が消えて)……

   (M. T. 記)


「鳥取県版-DCMの流れ」(鳥取県中部地震生活復興支援リーフレットより)

■《Bosai Plus》第280号・2022年04月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「福祉防災 その2」は、「災害ケースマネジメント(DCM)」

 本号巻頭企画は、「福祉防災 -その2- 災害ケースマネジメント」です。諸事情により、3月1日号の第1弾「福祉防災 -その1- 個別避難計画」からやや間が空いたことをお詫びいたします。

 「災害ケースマネジメント」(DCM:Disaster Case Management)は、米国の被災者支援プログラムを参考に日本が導入したものですが、このように米国をはじめ海外の災害対策・防災の仕組み、災害との向き合い方をわが国が参考にする例は少なくありません。

 近年では米国発の「シェイクアウト(ShakeOut)」(地震防災訓練)や「防災タイムライン(防災行動計画)」が、また英国発の「BCP」(事業継続計画)がわが国でも導入され、いまや広く普及しています。
 ほかにもいろいろありますが、どこのだれの発案であっても、災害大国・日本としては、防災・減災に有効なものならばどんどん取り入れるべきでしょう。

●「ICS」の”インシデント”の本当の意味

 やや専門的になりますが、災害・防災の専門家のあいだで知られるICS(インシデント・コマンド・システム)も米国で開発されたシステムで、あらゆる”インシデント”について「標準化された管理システム」であたることを言います。

 英語のインシデントの意味は「事件、出来事」で「重大な事件に至る危険のあった小事件」というニュアンスで用いられるそうですが、ICSを開発したFEMA(米国連邦危機管理庁)はインシデントを「生命・財産・環境を守ることが必要となる自然または人為による事件・事象のすべて」と定義しています。

 そしてこのICSは、米国の一般市民団体の自主防災組織をはじめ、医療施設、事業所、指定公共機関、指定行政機関などでも採用され、“自助、共助、公助”のすべてのレベルで広く普及しているそうです。

●「福祉防災」が志向する災害文化のシームレスな変革

 いっぽうわが国では、ICSのインシデントを「自然災害」に限定しがちです。さらに自然災害は、地震、津波、台風、土砂崩れ、噴火災害などと細分化され、被災者支援も災害種・被災程度ごとに縦割りに固定化される傾向があります。
 そんななかで象徴的に、社会構造・文化の垣根のためでしょうか、議論はされてもなかなか日本では実現しない制度に「防災省(庁)」創設があります。

 地震や台風などのような既定の災害だけが災害ではなく、いわば”想定外一般”が災害だととらえれば、事前対策、備え方も変わってくるはず。つまり、ICSでは事前に想定しにくいすべてをひっくるめて「オールハザード」としてとらえ、「起きてしまった災害」だけではなく、「これから起きるかもしれない災害」にも向き合おうという考え方なのです。
 「防災省(庁)」創設によって「オーハザード」への備えと、「シームレスな被災者支援」の実現可能性があります。

 あらゆる支援関係者の参画を期待する「災害ケースマネジメント(DCM)」も、まさに、縦割り打破志向の米国だからこその発想だったではないでしょうか。
 わが国でこのプログラムを具体化し実効性を高めるには、”災害文化革命”への志も求められそうです。

   (M. T. 記)


日向灘及び南西諸島海溝周辺

■《Bosai Plus》第279号・2022年04月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●常在戦場ならぬ「常在揺動」

 本紙は月2回1日・15日発行ですが、まさに東日本大震災から11年を経過し、その感慨も覚めやらぬ3月16日深夜(23時半ごろ)に福島県沖の地震が、その2日後の18日のほぼ同時刻ごろを測ったように、岩手県沖の地震が起こりました。

 22日には内閣府から「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の最終報告」が、23日には群発地震が集中している能登地方を震源とする最大震度4の地震が発生、そして25日に地震本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」と「日本海南西部の海域活断層の長期評価(第一版)―九州地域・中国地域北方沖―」が公表されました。
(そして、ちょうどこの稿を書いている31日午後8時52分頃、千葉県で最大震度4を観測する地震が発生、都内23区は震度3とのこと)

 本紙は公的な機関とのやりとり(仕事)も多少はあり、その事務処理などで年度末は忙しいのですが、お役所の報告書とりまとめ作業も集中するようです。
 2022年度末はそれに加えて大きな地震、大きめの地震、震度4レベルの地震、その余波などが日本列島を揺るがし、災害・防災メディアにとってもまことに多忙な年度末となりました。

●根っこを揺らし、根こそぎ押し流す地震・津波

 福島県沖の地震と岩手県沖の地震は、とくに個人的にも三陸沿岸部に縁が深い本紙(筆者)にとっては文字通り”自分ごと”です。地震の揺れで家屋倒壊というのはよほどのことで、揺れの真の怖さは”生き物としての私たちの存在を根っこから揺する”ところにあると思っています。
 しかし揺れ以上に怖いのは、東日本大震災で起こったような津波ではないでしょうか。あらゆる存在を”根こそぎ”押し流す波の壁――「揺れたら津波!」は、根なし草のような筆者にとってほとんど条件反射的な反応です。

●常在戦場……それにつけても、リアルな戦争と防災、比べたら

 それにつけてもウクライナ戦争(紛争?)には気が滅入ります。国家的正義という共同幻想のもとで無辜(むこ)の人びとを大量殺戮(さつりく)する、まち・地域コミュニティを破壊する――
 私たち防災は「災害犠牲者ゼロ」をめざし「誰1人とり残さない(助けたい)」をモットーに日々努力しているわけですが、戦争はその真逆です。一人ひとりの命を軽んじ(人間の殺傷を戦果とし)、営々と築き上げてきたコミュニティ、カルチャーをこなごなに破壊する。まさに非道、酷(ひど)すぎます。
 正義・主義の名のもとに殺し合うことに大義はあるのか、人間はそれほど弱いのか、どれだけバカなのか。人間営為を超えた自然災害と対峙する防災、災害と闘う市民のほうがよほど強い、大義があると思うのですが――

●それにつけても……いいことない、戦争

井出留美:ロシアのウクライナ侵攻がSDGsを後退させる 世界の食料にもたらす影響
(2022.03.04.)
 「ロシアがウクライナに軍事侵攻」のニュースが日々報じられている。今回の軍事侵攻をSDGsのゴールに照らし合わせ、戦争はいかに社会を後退させるかということについて考えてみたい。SDGsのゴール、17のうち16番目は「平和と公正をすべての人に」……

セーブ・ザ・チルドレン:ウクライナ危機により世界の数百万人の子どもがさらなる飢餓に直面
(2022.03.02)
 ウクライナにおけるロシアの軍事行動により小麦の価格が高騰していることで、イエメンやレバノン、シリアなどに暮らす、世界で最も脆弱な状況に置かれた数百万人の子どもたちが極度の食料不足に……

   (M. T. 記)


FUTABA-Art-Districtプロジェクトより

■《Bosai Plus》第278号・2022年03月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●あれから11年 国の施策は今年度から5年間「第2期復興・創生期間」に

 3月11日の東日本大震災11年が通り過ぎました。だれもがあの日の”衝撃”を思い起こし、それぞれの感慨にひたったことでしょう。
 これからも「災害周年」を迎えるたびに、被災者・被災地を思い、自らを顧み、防災への決意を新たにし、次なる災害にどう立ち向かうか、思いを巡らすのではないでしょうか。
 「災害は忘れたからやって来る」とも言います。「周年」は少なくとも災害教訓を甦らせるという大きな意味を持っていると思います。

●「正常化の偏見 VS. 防災」――生涯で被災者となる確率は?

 いっぽう、NHKスペシャルは先日の3月12日、「あなたの家族は逃げられますか?〜急増 “津波浸水域”の高齢者施設〜」を放送しました。全国調査で東日本大震災後も津波の“浸水想定区域”に高齢者施設が次つぎとつくられていることを明らかにし「将来あなたが入るかもしれない施設は安全ですか?」と問うものでした。

 本紙は前号特別企画「福祉なくして防災なし」で、立木茂雄教授の「障がい者の被災が多かった宮城県で津波浸水域に多く高齢者施設が建てられていた」との指摘を取り上げました。
 また本紙もたびたび、浸水想定域の人口が増えていることを取り上げています。教訓はなぜ活かされていないのか……

 本号に寄稿していただいた平井雅也さんは、「私たちは常に災害と災害の間に生きていると考えられないでしょうか」「私たちは必ず災害にあう運命にあります」と警告を発しています。「だから備えが必要なのだ」と。

 防災科学技術研究所「地震ハザードステーション」は「確率の数値を受け止める上での参考情報」として「地震発生確率・地震動超過確率の評価値」を掲載しています(東日本大震災の直前時点のやや古い資料)。

 ここでは、交通事故による30年死亡確率は約0.2%という統計数値例が引用され、地震と交通事故を単純に比較できないものの、私たちの日常生活で交通事故リスクが身近であることを思えば、地震も日常的な危険としてとらえるべきという説明です。

 いっぽう、巽好幸・神戸大学海洋底探査センター長は、低頻度災害に関してその発生確率を考慮した「予想年間平均被害者数」を用いて、80年の生涯で一度は災害避難をしなければならない確率を求めると自然災害全体では約24%、つまり4人に1人が被害に遭うと計算しています。

 しかし、こうした確率論に刺激されて疑問もわきました。総体的な被災確率についてはいろいろな推計がありますが、個別(個人)レベルでの「被災経験」についてはどうだろう、と。生涯で被災経験のある人は全国民の何%くらいかと。
 80年の生涯で一度も大きな災害を経験せずに一生を終える人が4人に3人だとしたら、個人レベルで「自分は大丈夫」という正常化の偏見にも確率的に根拠があると言えなくもない(!)。

 よく「リアリティチェック(現実直視)」と言いますが、防災も単に「備えが必要」では、平穏に生涯を追える75%の人には効き目がない?……
 いえいえ、防災士としての基本に立ち返ると、要するにこうした災害はいつ・どこで起こるかわからない――だから、備えが必要という正論になります。

 ところがこの”正論”にも反論が出そう。本紙も取り上げた「吉備(きび)高原に首都移転、再燃か 岩石の磁気が地殻変動によって動いた履歴から約4000万年間の地盤安定が判明」(2021年8月15日号/No. 264)のように岡山県の吉備高原に住めば、まずは一生、地震の”難”を逃れることは十分可能なようです。
 ことほど左様に防災は、常に「正常化の偏見」の挑戦を受けざるを得ない宿命(さだめ)なのかもしれません。

●忙中閑話

TBS:米西海岸「The Big One」に備え広がる津波対策「垂直避難」
(2022.03.08.)
 “The Big One”とよばれる巨大地震に備え、アメリカ西海岸では11年前の東日本大震災をきっかけにある津波対策が広がりを見せている……
本紙関連記事 2015年10月1日号(No. 123):対岸のM9地震津波リスク

   (M. T. 記)


イメージカット

■《Bosai Plus》第277号・2022年03月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「福祉と防災がスクラムを組む」

 本号は「福祉防災」テーマの特別構成です。次号との2部連携構成(予定)で、本号は「その1」となります。
 本文で触れていますが、本号では、①「個別支援計画(災害時ケアプラン)」を、次号では、②「災害ケースマネジメント」を取り上げる予定です。

 とくに本号は、防災に関わる人びとのあいだでの”フェーズフリー”の総連携が求められることから、「福祉と防災がスクラムを組む――福祉防災なくして防災なし」を合言葉とする協力・連携体制づくりにおいて、防災士の役割に期待したいところです。

●「福祉知らずに防災語れず」

 本企画関連のリサーチ中に「福祉知らずに防災語れず」という文言(福祉防災に特化する伊永(これなが)勉・ADI災害研究所の弁)を見つけ、衝撃を受けました。本紙もこれまで「福祉と防災の連携」を訴えてきましたが、福祉の実情を知ったうえでの訴えか――と、鋭い問いを突きつけられたように思います。

 そして立木茂雄先生の「これまでの福祉と防災の連携の取組みは連携が大切だということを言うだけ。連携は結果なのだが、どうすれば連携が可能なのかは、実は一言も言っていない」(本文参照)にもギャフンと首をうなだれるのみ。
 本紙モットーは「災害犠牲者ゼロをめざす」としていますが、その出発点は、いわゆる”災害弱者”の犠牲者ゼロに始まるのだ、と改めて気づきました。

●「ゴールは遠いが、しっかり見える」

 本紙は「災害犠牲者ゼロをめざして」防災情報に特化し、これまで愚直にがんばってきたつもりですが、ウクライナ危機にはなんとも憤りと同時に無力感に打ちひしがれてしまいます。
 自然災害ではない、人間が自ら意図的に起こす紛争・戦争が原因で、たちまち多くの犠牲者が”つくり出される”なんて――まったく酷い話ではないか。
 しかも、ロシア軍がチェルノブイリ原子力発電所を掌握したという情報に、戦略だが戦術だが知らないが、人間の業(ごう)の深さに暗澹(あんたん)とするばかり……

 しかし本紙はそれでも「災害犠牲者ゼロをめざす」というモットーのもとで、一歩一歩、一途な志を貫くしか道はありません。「ゴールは遠いが、しっかり見える」、それは間違ってはいないと確信しています。
 もちろん、ウクライナ危機の、人間の英知による解決を祈りつつ……

   (M. T. 記)


AIスマートグラス「3rd-EYE」

■《Bosai Plus》第276号・2022年02月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●デジタルテクノロジーは「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」?

 本号特別企画は、SFの世界を次つぎと現実化するデジタルテクノロジーの防災応用の話題です。
 タイトルカットの写真は「(人の)捜索支援」テクノロジーの最先端をうかがわせるものですが、一見すると”軍事用”と見まごうかのような装備です。もちろん自衛隊や消防・警察との連携を想定した装備であり、印象的には軍事的な要素と紙一重かもしれません。

 いっぽう、本文で取り上げた「インフラサウンド」は、 津波や土砂災害の早期検知に大きな可能性を秘めていますが、もともとは核実験検知を目的に研究開発されたようで、軍事的な要素を孕(はら)んでいます。
 宇宙船打ち上げロケットとミサイル実験の違いが紙一重なように、子どもたちの夢をふくらませる宇宙開発と、覇権狙いの宇宙軍の創設が同時進行なのは皮肉です。

 原子爆弾と原子力発電を比べるまでもなく、ことほど左様に、テクノロジーは「諸刃の剣」の側面を持っています。ただ、防災面で開発されるテクノロジーは、願わくば純粋に「減災」をめざしてほしいものです(自然の克服ではなく)。

 本紙は寺田寅彦の箴言のいくつかを何度も取り上げていますが、そのなかに、「文明が進むほど災害は激烈になる」というものがあり、そのさわりを特別企画大見出しで引用しました。
 寺田は小編の「天災と国防」のなかで、次のように述べています――

[戦争はぜひとも避けようと思えば人間の力で避けられなくはないであろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない。いついかなる程度の地震暴風津波洪水が来るか今のところ容易に予知することができない。最後通牒も何もなしに突然襲来するのである。それだから国家を脅かす敵としてはこれほど恐ろしい敵はないはずである…(中略)…陸軍海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然でないかと思われる]

 本紙はモットーとして『 ゴールは遠いが、しっかり見える。』を掲げていますが、”はっきり見える”ではなく、”しっかり見える”としたことに多少の意味を込めています。
 「しっかりゴールを見据えて進む」という志こそ、テクノロジーにも求めたいところでもあります。ゴールとは「災害犠牲者ゼロ」です。

●忙中閑話

防災科学技術研究所と東京海上ホールディングス、合弁会社設立
(2021.11.01.)
 国立研究開発法人防災科学技術研究所と、東京海上ホールディングス株式会社は、双方の強みを活かして社会のニーズに合わせた新たな防災・減災サービスを提供する合弁会社『I-レジリエンス株式会社』を設立……

朝日新聞:気候変動、SFから警告 ピンとこぬ未来の危機、共有させる手法
(2022.02.11.)
 「地球温暖化が危機的だ」「社会の脱炭素化が必要だ」といわれてもなかなかピンとこない。多くの人にイメージを共有してもらうにはどうしたらよいのか。ドラマや小説など、あえて現実ではないものを通してリアルに感じてもらう……

CNN:2000年かけてできたエベレストの氷河、25年で融解 新研究
(2022.02.04.)
 世界最高峰エベレストの頂上周辺に存在する氷河について、形成に要した時間のおよそ80倍のペースで融解しているとする新たな研究が発表された。人間が引き起こしている気候変動に原因があるという……

   (M. T. 記)


在日本トンガ大使館ツイッターより

■《Bosai Plus》第275号・2022年02月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「居安思危/思則有備/有備無患」=想像力で備える

 本号特別企画は、南太平洋トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ海底火山噴火を契機として、巨大災害への”想像力”をテーマに据えました。

 トップのタイトルにある「居安思危/思則有備/有備無患」は、防災界で知る人ぞ知るメルマガ「週刊防災格言」の発行元”防災意識を育てるWEBマガジン”『思則有備(しそくゆうび)』にヒントを得ています。
思則有備

 昨年6月、同マガジンから本紙に寄稿要請があり、拙稿を掲載させていただきました(2020/06/26)。
 それを機に故事成句「思則有備」の前段・後段を知り、本号の大見出しに引用させていただいた次第です。発行後となりましたが、この欄を借りて『思則有備』マガジンに御礼を申し上げます。

●一般ビルの耐震化――だれが声をあげるべきか

 本号は特別企画で地球規模の大災害を主題に置きましたが、「見過ごされている一般ビルの耐震化」(P. 3)では逆に、耐震化されていないブロック塀どころではない日常的な重大リスク、深刻な一般ビルの耐震化問題を取り上げました。

 阪神・淡路大震災は早朝起こっただけに住宅での人的被害が大きくなったと言えますが、日中に起こっていたら……と考えれば、一般ビル倒壊の深刻さの様相はさらに増すのではないでしょうか。

 本文で「市場原理にまかせていいのか」としましたが、「だれが、なぜ、どのように、一般ビル耐震化の遅れを見過ごしているのか……だれがその代償を払うのか」――まず、そのような危ないビルで日々、仕事をしている勤労者、テナントが自ら「恐い」と声をあげなければ、状況は改善しないのではないか。

 私は以前、ある役所の防災担当部署を取材で訪れ、外見からしていかにも旧耐震ビル、かつ壁にひびの入ったビルの、机に書類が雑然と積み上げられている部屋のなかで仕事をしている職員のみなさんに、「これはアウト!」と思ったことがありました。

 いまでこそその役所は耐震補強されたと聞きましたが、だれが声をあげたのか、それをだれが聞いて、だれが耐震補強を決断したのか、決裁過程を明らかにしたいと思いました。

●忙中閑話

NHKニュース:「終末時計」“残り1分40秒” 3年連続最短 米科学雑誌が警告
(2022.01.21.)
 米国の科学雑誌は、人類最後の日までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」(Doomsday clock)の時刻について、これまでで最も短くなった過去2年と同じ「残り1分40秒」と発表、核兵器や新型コロナウイルス、気候変動の脅威に……

朝日新聞:トンガは「リスク度」3位 1位はどこ、日本は?
(2022.01.20.)
 トンガ諸島での海底火山の大規模噴火は、トンガに津波と降灰による大きな被害を与えた。トンガは大型サイクロンや地震も頻発する「災害大国」。世界各国を災害リスクの観点から順位付けする「世界リスク報告」(2021年版)で……

   (M. T. 記)


雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援として、長野市では、雪害救助員が安心して雪下ろし作業ができるように、雪が積もる前に高齢者世帯などの住宅を現地調査し、支援が必要な世帯の住宅の情報を共有する「除雪住宅カルテ」(屋根の特徴、雪止めやハシゴの位置、注意点などを記録)を作成している。また、命綱アンカーの取付け金具を自ら開発し、これを設置した「命綱アンカー設置モデル住宅」を整備、ここを拠点に周知・提案を図るほか、雪害救助員を対象に、安全帯と命綱の重要性を伝えるための除雪安全講習会などを行っている

■《Bosai Plus》第274号・2022年01月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「克雪」への永い闘い――「ゴールは遠いが、はっきり見える」

 本号特別企画は、この時季の恒例ではありますが「克雪」がテーマです。
 コロナ禍(→オミクロン禍)を背景に、除雪ボランティアの活動もままならないと聞き、今回は多少切り口を変えて公助としての「雪の防災気象情報」と「克雪支援対策」を主に取り上げました。

 そのなかで公助の新しい試みとして、長野市を事例に非常勤「雪害救助員」派遣制度と「除雪住宅カルテ」に注目、豪雪地帯(と周縁地帯)の防災士のみなさまの地域活動の参考としても取り上げました。

 東京(首都圏)在住ですと、今冬はとくに豪雪地帯のみなさまには申し訳ないほどお天気が対照的(大雪・吹雪と快晴)です。豪雪地帯の高齢の親戚からの便りも「雪かきが大変」と……東京の快晴の空を眺めつつ、大雪・吹雪のニュースに心を痛めています。

 ITCの時代、DX、AI、デジタル田園都市……最先端テクノロジーはいろいろ先を見ますが、「克雪」は言わずもがな、地震・津波、台風、噴火などなど自然災害について、その発生を抑えることはムリとしても人的被害想定〇万人(直近の日本海溝・千島海溝では最悪19万の犠牲者!)という、百年前の被害規模と変わらない、いえ、それ以上の想定死者の数字が当然のようにまかり通っています。

 阪神・淡路大震災27年を迎え、その犠牲者数をはるかに超える被害想定がいまだになされることに、私たちはもっと敏感になるべきではないでしょうか。

●忙中閑話(この項、ご好評をいただいていますので……)

 最近号で「小惑星からの地球防災」を取り上げましたが――
CNN:幅1kmの小惑星、来週地球に最接近 190万km先を通過
(2022.01.12.)
 幅約1kmと推定される小惑星が今月18日、地球に最接近する。米航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体研究センターによると、地球から約190万kmの距離を時速約7万6000kmで通過する見通し……

ねとらぼ:ゴジラの名前が付いた岩が国際的に認可 地球史上最大、海底で発見
(2022.01.06.)
 国際会議で、日本が新たに提案していた「ゴジラメガムリオン地形区」を含む18件の海底地形名が正式に承認された。海底地下のマントルが露出したドーム状の岩である「メガムリオン」に、“ゴジラ”の名前が国際的に登録されたのは初めて(日本政府ではすでにこの名前で呼んでいた)……

ナショジオ:3600年前の超巨大「ミノア噴火」、津波の犠牲者をついに発見、エーゲ海
(2022.01.04.)
 約3600年前の後期青銅器時代、エーゲ海の火山島が噴火し破壊的な津波を引き起こした。その津波による犠牲者の遺骨が、最近になって噴火したティラ火山(現在のサントリーニ島)から160km以上離れたトルコの海岸で初めて見つかり……

   (M. T. 記)


2022謹賀新年(Bosai Plus 賀状)

■《Bosai Plus》第273号・2022年01月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●新年おめでとうございます

 コロナ禍の収束がいまだ見えないなか、2022年の幕開けとなりました。オミクロン株の動静も先行き不透明で、まだまだ気を許せない日々が続きそうですが、新しい年のみなさまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 この”災害”に対して私たち市民は、「感染しない・感染させない」の”実践的精神論”(?)で耐えるしかないようです。
 みなさまのなかには不運にもすでに感染されたという方もおられるかもしれません。お見舞いを申し上げますとともに、後遺症などの早期完治・克服をお祈りいたします。

●本号は「1月1日発行」ですが、1月4日配信です

 昨年末の本欄で書き忘れましたが、《Bosai Plus》1月1日号は例年どおり、1月4日の配信となります。ご了承ください。

●「ブラタモリ」を活きた教材に!

 2022年度から高校で新学習指導要領が実施され、新設の「地理総合」が必修科目になるそうです。地理総合の主要なテーマのひとつが「防災」になるとのこと。大変喜ばしいことです。

 少し前、NHKテレビの「ブラタモリ」のタモリさんと制作スタッフに国土地理院が功労者として感謝状を贈呈したというニュースがありましたが、確かに視聴者が地図や地理に興味を持つきっかけになり、さらには災害・防災を考える動機づけにもなっていると思います。

 ただ、「ブラタモリ」がすごいと思うのは、防災のみならず、まちの成り立ち・人びとの暮らし、魅力を探ると同時に地政学的な視野を広げてくれるところではないでしょうか。防災は社会のインフラという視点からは、防災もあらゆる分野に紐づけられるという意味でも、「ブラタモリ」を応援したいと思っています。

●忙中閑話 その1

 本年は「寅(虎)年」ですが、たまたま「虎斑(とらふ)」という言葉を知りました。「虎斑」とは横縞のような模様で、ナラやオーク材などのブナ科にみられる模様。虎の毛のように見えるものを指すそうです。木の栄養を含んでいる場合に出る模様で、質の良い木材であることを意味するとされます。

 この「虎斑」から「南海トラフ巨大地震」を思い起こしました。言われてみると、海溝も「虎斑」柄に似ています。これを年賀状にモジろうかと思いましたが、やや不穏なのでやめました……

●忙中閑話 その2

CNN:洪水に強い「水上都市」の計画を認可 釜山
(2022.01.03.)
 韓国の釜山市が、野心的で新しい海上への移住計画を認可した。2022年に最初の区画の作業が始まる予定だ。設計者によれば、今回提案されている「水上都市」は一連の相互接続されたプラットフォームで形成され、最終的には1万人を収容できるようになる。沿岸部にとっては、海面上昇によってもたらされる脅威への大胆な解決策となりそうだ……

共同通信:北極圏で気温38度、最高と認定 昨年6月にロシアで観測
(2021.12.14.)
 世界気象機関(WMO)はロシア極東サハ共和国のベルホヤンスクで昨年6月20日に観測された38度を、北極圏の観測史上最高気温と正式に認定した。南極半島にあるアルゼンチンのエスペランサ観測基地……

   (M. T. 記)


首都圏外郭放水路(防災地下神殿)

■《Bosai Plus》第272号・2021年12月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「首都圏外郭放水路」(防災地下神殿詣で)、行ってきます

 本号特別企画は「首都圏外郭放水路」の見学の話題。これは、東武鉄道のプレスリリースをきっかけとする記事で、私もまだこの放水路を見学していませんので早速申し込みました。いずれツアー参加リポートも掲載させていただきます。

 首都圏在住の方はこの機会にぜひ、というところですが、同施設の見学は常設で催行されていますので、焦ることはありません。今回の紹介記事はあくまで、同施設まで春日部駅発着の無料巡回バスを期間限定で利用できるという実証実験企画に乗ってみようというものです。

 「首都圏外郭放水路」は、最近のヒット映画「翔んで埼玉」や「平成版仮面ライダー」のロケ地にも使用されているとのこと(残念ながらいずれも見ていませんが)。機会があればどうぞ。

 海外メディアも紹介しているということなので、ちょっと調べてみたら、直近では米国 CBS NEWS が今年の4月19日付けで「Japan’s underground flood diversion project」(日本の地下洪水放水プロジェクト)と題して取り上げています。
CBS NEWS:Japan’s underground flood diversion project

 ご参考まで、英語で「首都圏外郭放水路」は Metropolitan Outer Area Underground Discharge Channel となっています。

●米国の竜巻被害――竜巻防災のブレイクスルーはないものか

 米国の竜巻被害に心をいためています。竜巻街道(トルネード・アレイ)と言われるほど竜巻常襲地帯で再び悲劇……前号の「サイエンスフィクション」と「サイエンスファクト」ではないですが、米国らしい竜巻防災のブレイクスルーはないものでしょうか……

●忙中閑話

Forbes:月に超小型原子炉、NASAが設計案を募集
(2021.12.12.)
 米航空宇宙局(NASA)が月面での原子炉設置に向けて、原子力業界や宇宙業界にシステムの設計案を募っている。NASAは2030年までにこうした原子炉を設置し、月面探査などの電力源にしたい考えだ……

朝日新聞:羽根なし風力発電機に注目 取り付けた円柱、強風でも回転数抑え運転
(2021.12.10.)
 プロペラがない風力発電機「マグナス式風車」の開発が進んでいる。平たい羽根の代わりに自転する円柱が風を受け、強風下でも発電できる。台風に襲われやすい離島の再生可能エネルギー電源として……

 4年以上前の記事ですが、NASA DART がらみで再発掘……
CNN NEWS:空中に浮かぶビル、米で構想 地震や津波からも解放
(2017.04.05.)
 地上に縛りつけられた生活から抜け出し、空中に浮かぶビルで自由に暮らせたら――。そんな願いをかなえる未来型の建物の構想が発表され注目を集めている。米ニューヨーク建築事務所「クラウズ・アーキテクチャー・オフィス(CAO)」が発表した「アナレンマ・タワー」はなんと、地球周回軌道に乗せた小惑星からケーブルでビルをつり下げるという構想……

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第271号・2021年12月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「サイエンスフィクション」と「サイエンスファクト」

 前々回(11月1日配信時)、このコーナーで高水裕一・著『物理学者、SF映画にハマる』(光文社新書)を紹介しました。
 同書の帯に「フィクションが未来の科学を導く!?」とあります。人間の想像力は実に壮大で、ときに映画で描かれる世界からとんでもない着想がひらめくことも……と。

 本号特別企画は、NASAの「DART」(実にうまい命名!)による「地球防災」がテーマ。本文でも触れているように小惑星衝突の話題は2019年5月15日号(No. 210)でも取り上げています。
 小惑星地球衝突という設定はまさに映画『アルマゲドン』ですが、この場合、すでに当時の先端科学でも小惑星の地球衝突リスクは顕在化していたのでしょうから、映画はそのリスクをSF化したということでしょう。

 科学者ですら、SFが科学的な思考のブレークスルーのヒントになることを認めていると言います。事実、『ドラえもん』から『2001年宇宙の旅』、そして幾多のハリウッド制作ディザスター映画まで、創作者の発想(思いつき)とテクノロジーの相互作用で、フィクションが現実のものとなった例は枚挙にいとまがありません。
 「サイエンスフィクション」から「サイエンスファクト」へ、あるいはその逆、「DART」もそういうことかと思います。

 小松左京『日本沈没』は何度かのリメイクを経て、いまテレビドラマでも佳境を迎えているようです。日本沈没は科学的には”飛びすぎ”かもしれませんが、日本人の危機管理という視点で見れば、その構想の大きさに感嘆します。
 現実の災害は大規模であればあるほど、人知(防災科学)を超えて被害を発生させます。私たちは大災害のたびにその“まさか”を思い知らされてきました。

  いっぽうディザスター映画は、想像力をバネに科学を跳び越え、災害の不条理性を暴くところにその本質があるように思っています。同時に自然の不条理な脅威下で、人間の行動規範(愛、正義、勇気、誇りなど)、危機管理手法(情報管理、分析、リーダーシップ、行動力など)の検証をRPG的に試みるところに”ファクト”もあると――

●忙中閑話

CNN:南極にエアバスA340型機が着陸、史上初
(2021.11.24.)
 エアバスA340型機が史上初めて南極の大地に降り立った。運航を担ったのはハイフライ航空。同社は機体だけでなく乗組員や保険、メンテナンスなどもまとめて手配して貸し出す「ウェットリース」を専門……

朝日新聞:宇宙飛行士 門戸広がる 学歴・体重・泳力など不問 JAXA 13年ぶり募集
(2021.11.22.)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が13年ぶりに募集する飛行士の募集要項が発表された。米国と進める将来の有人月探査を想定し、国際チームの中で協調性とリーダーシップを発揮できることや、極限環境でも柔軟な思考で的確に行動……

三陸新報:一夜にして防波堤50m倒壊
(2021.11.04.)
 気仙沼市鹿折地区の小々汐防波堤の一部が無くなっているのを、地元のワカメ養殖業者が2日朝発見した。通報を受けた県などが調査した結果、海側に倒れて沈んだことが分かった……

   (M. T. 記)


『気象庁Webサイトの使い方』より
『気象庁Webサイトの使い方』より

■《Bosai Plus》第270号・2021年11月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●『コロナ禍でもすぐできる!女性の災害への備え』

 本号特別企画で取り上げた『コロナ禍でもすぐできる!気象庁Webサイトの使い方』『コロナ禍でもすぐできる!災害時のSNSリテラシー』は、大変わかりやすい気象庁ウェブサイトのガイドです。とくに気象庁サイトを”迷宮”のように感じている向き(筆者も?)には明快なトリセツ=図解サイトマップだと思います。

 本紙としては、気象庁の科学的知見・資料データと対比的に”SNSリテラシー”を取り上げていること、さらには疑似科学、陰謀論にも触れていることに感心しました。

 このガイドをまとめたTBWA HAKUHODO、FUKKO DESIGN社は、これまでに『防災アクションガイド』として「大雨&台風」「熱中症」「天気の急変」「冬の荒天」「地震&津波」「女性向け防災」など、自然災害のための対策集をまとめています。

 本号ではそれぞれの詳細に触れられませんでしたが、このなかで『コロナ禍でもすぐできる!女性の災害への備え』は今年の「男女共同参画週間」(毎年6月23日から29日までの1週間)にあわせて発表されました。災害時の、とくに避難所生活での女性が困る生理まわりや衛生面、性犯罪での対策をまとめています。

 もちろん、女性だけではなく男性も含めすべての人に知っていただきたい内容になっています(とくに防災士など地域住民の避難、避難所運営にあたる活動家には必須)。

SNSで発信できる!『コロナ禍でもすぐできる!女性の災害への備え』

 なお、本紙として、あえてこのガイドにさらに付け加えたいコンテンツは「少女」への配慮です――避難所の質の向上をめざす国際基準「スフィアプロジェクト」でも「すべての男女」と並列で「少女」への配慮をあげています。

 もちろん「少年」への配慮も求められますが、あえて「少女」と銘記するからには、それなりの理由があることでもありましょう。

   (M. T. 記)


UNDP広報動画より「A-message-to-humanity-from-Frankie-the-dinasaur」
UNDP広報動画より「A-message-to-humanity-from-Frankie-the-dinasaur」

■《Bosai Plus》第269号・2021年11月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「気候変動対策をためらうあなた(私)の言い訳(EXCUSE)」と向き合う

 昨日(10月31日)からCOP26が、英国グラスゴーで始まりました。本号特別企画で取り上げたように「一致して平均気温上昇1.5度をめざせるか」が焦点とされています。

 本号ではやや趣向を変えて国連開発計画(UNDP)がCOP26へのメッセージとして公開した啓発動画「Don’t Choose Extinction(絶滅を選択するな)」を紹介しました。
 日本のテレビニュースも、恐竜が国連で演説するという設定をおもしろがって断片的にこれを取り上げたようですが、本来、もっと深掘りして取り上げるべき内容だと思っています。
 というのも動画の後半で問われる「気候変動対策をためらう言い訳(EXCUSE)」が、いちいち具体的に”自分ごととして刺さる”からです。

 本紙の知る限りまだその日本語訳はないようなので、多少長くなりますが以下、全19言い訳の原文(英語)と日本語訳(本紙による意訳)をここで紹介します。

EXCUSE 1  I’m already doing as much as I can.
 (私ができることはやっている)
EXCUSE 2  We’ll lose too many jobs if we phase out fossil fuels.
 (化石燃料をなくしたら失業者が増える)
EXCUSE 3  I’m just one person, I can’t make a difference.
 (私だけではなにもできない)
EXCUSE 4  We need fossil fuels for our economy.
 (経済活動に化石燃料は必要)
EXCUSE 5  I won’t see the effects of climate change in my lifetime.
 (私の人生に気候変動の影響はない)
EXCUSE 6  Where I live won’t really be affected.
 (私が住む所では深刻な影響はない)
EXCUSE 7  I’m just a kid, no one will listen to me.
 (私はまだ子ども、声をあげてもだれも聞いてくれない)
EXCUSE 8  I don’t want to give up holidays or my car.
 (休暇やドライブをあきらめたくない)
EXCUSE 9  Fossil fuel companies are too powerful for us to change.
 (化石燃料を扱う企業は強大、とても変えられない)
EXCUSE 10 Soon we have the technology to just reverse climate change.
 (いまに気候変動を逆転させるテクノロジーが出現するよ)
EXCUSE 11 Climate change is too complicated for me to understand.
 (気候変動問題は私にはむずかしすぎる)
EXCUSE 12 I’ve heard renewables aren’t reliable or affordable.
 (再生可能エネルギーには頼れない、賄えないと聞いている)
EXCUSE 13 It’s too late for us to change.
 (もう手遅れ)
EXCUSE 14 We’re already doing enough to stop global warming.
 (地球温暖化抑止のためやるべきことはやっている)
EXCUSE 15 It still gets cold so clearly our planet isn’t warming.
 (地球には寒いところもあるし、温暖化はしていない)
EXCUSE 16 Climate change is a natural thing.
 (気候変動は自然の営為だからなるようになる)
EXCUSE 17 Climate change is a conspiracy. It’s fake news.
 (気候変動はだれかの陰謀、フェイクニュースだ)
EXCUSE 18 The world adapt to climate change.
 (世界は気候変動に適応する)
EXCUSE 19 I’m too busy to do anything about climate change.
 (忙しすぎて気候変動問題にかまけていられない)

●忙中閑話

高知新聞:四万十市で「防災婚活」
(2021.10.09.)
 四万十市は24日、独身の男女に防災への知識を深めてもらいながら出会いをサポートする「BOUSAI de 縁結び(防災婚活)」を同市内で開く。参加無料。防災食の試食や防災施設見学などを予定。定員は男女とも10人……

高水祐一・著『物理学者、SF映画にハマる』~「時間と宇宙」を巡る考察
 フィクションが未来の科学を導く!? タイムトラベルから星間飛行まで、物理学者と探るSF世界の可能性。科学の目で見直せばSF映画はもっと楽しく……

   (M. T. 記)


気象庁資料「想定される最大規模クラスの地震の震源域・過去の発生状況」より

■《Bosai Plus》第268号・2021年10月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「災害は忘れたからやってくる」――想像力のバージョンアップ

 10月7日午後10時41分頃に発生した千葉県北西部の地震は、首都圏で最大震度5強を観測。首都圏は10年前の東日本大震災(2011年東北地方太平洋沖地震)以来の大揺れでした。

 気象庁によればマグニチュード(M)5.9で、地震本部は「首都直下で想定するM7級よりひと回り小さい。M6級だともっと大きな被害が」と。
 東日本大震災でのM9超巨大地震による東北地方のケタ外れの被害は別格として、この震度5級の揺れは、私たちに改めて想定首都直下地震を想起させました。首都圏でM7ともなると、相当の被害が生じ得ることを思い知った感があります。

 関東大震災(M7.9)から100年の周年を2年後に迎えます。関東大震災の実体験の記憶を持つ人はすでに百数歳、人それぞれの記憶はいずれ消え去るのみです。
 それでも「災害は忘れたからやってくる」――リアルな感性で記録された伝承・教訓は残されていて、それらへの想像力は生き続け、バージョンアップ(更新)できます。
 いずれ必ずくる大災害への備えの原動力は「忘れない=常にバージョンアップされる想像力」にあると思います。

●地震発生時のテレビ局、リアル・ウォッチング

 本欄で何度か、地震発生時のテレビ局(震源に近い支局オフィスなど)の揺れの様子が映されるのを見て、揺れのさなかでのテレビ局スタッフの所作対応について、社会的なロールモデルとしてヘルメットをかぶってほしいと言ってきました。

 今回の首都圏の大揺れで、たまたま見ていたある民放局では、地震の臨時ニュースを伝えるスタジオの女性アナウンサーがヘルメットを着用しました。またそのオフィス内の映像で、十数人いると思われるスタッフのうち2人(いずれも女性)がヘルメットをかぶって対応作業を始める様子が放送されました。

 小欄の声が届いたか(?!)とも思われましたが、まさか……でも、そうした声がテレビ局にもあって、緊急地震速報時はヘルメットを着用するようにということになってきたのかもしれません。
 なお、このときチャンネルを変えてみましたが、NHKではヘルメットを着用するアナウンサーやスタッフはいないようでした。NHKの建物は免震構造だということですが、免震構造だろうがなんだろうが、地震発生時は公共放送の危機管理として、スタッフはヘルメットを着用してほしいところです。

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第267号・2021年10月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●台風16号接近中 関東地方は要警戒

 台風16号が南関東に接近中。伊豆諸島や関東南部は9月30日夜から荒れた天気となる恐れがあり、10月1日は伊豆諸島で災害クラスの風が吹き荒れ、関東でも交通機関に影響が出るくらいの暴風の可能性があるとのこと。ご注意ください。

●本号は「温故創新」をテーマに

 令和防災研究所第3回シンポジウムにちなんで、本号特別企画は「温故創新」。
 紙面スペースの都合で、基調講演やパネルディスカッションの内容を、だいぶはしょってしまいましたが、ここで加藤孝明先生の基調講演から「創新の方向性」についてひと言だけ補足すると――「防災『も』まちづくり」、「災害に強いまちはいいまち」、「隠し味・防災風味・結果防災の防災まちづくり」などがキーワード。
 つまり、都市(まち)の評価において、これからは防災の日常化、主流化がポイントということでしょう。

 なお、本文でも触れましたが、廣井 悠先生の「地域の多様性が”創新”を生む」との発言について、令和防災研のパネラーにも女性参画を期待したいところ。
 また、ほかの登壇者からもいろいろ貴重な発言・発表がありました。このシンポジウムの記録動画(YouTube)をHPで保存・一般公開していただけたら……

●「防災は日本が世界をリードする」と宣言した新総裁

 自民党新総裁(時期首相)・岸田文雄氏は、2015年に仙台市で開催された国連防災世界会議に外相として出席、「防災の主流化」を提唱し「防災は日本が世界をリードする」と宣言しています。
 総裁選中に表明した防災への姿勢は国土強靭化路線の踏襲のようですが、「災害の世紀」渦中のわが国の防災立国に向けて、「防災省(庁)」創設などの大胆・革新的な方策を打ち出してほしいところ……

   (M. T. 記)


防災士による危険箇所投稿のイメージ(ヤフー広報資料より)

■《Bosai Plus》第266号・2021年09月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●防災士30万の高みを展望――「応援協定」も多様化時代

 本号では「災害時応援(協力)協定」を取り上げましたが、自治体中心の応援協定の説明は概要にとどめ、具体例としては自主防災の代表選手としての「防災士(会)」を例に、自治体や大手メディアとの「災害時応援(協力)協定」の概況をリポートしました。

 ”災害時応援”の協定が本来の趣旨ではありますが、大規模な自然災害はめったには起こりませんから、自主防災のケースでは、地域単位での平時の活動が応援・協力の基本になると思います。
 つまり、自治体と連携した平時の日常活動こそが大切=”平時応援(協力)協定”が基本、災害時はそれが活かされるということになります。

 自主防災組織の平時の活動は、倦(う)まず・疲れず、継続にこそ価値があると思います。自治会・町内会などとの交流や小中学校の防災訓練への協力・指導、防犯、福祉、子ども・お年寄りの見守りなど、”防災のお隣”のまちづくりグループとの「応援協定」も大切になることでしょう。

 本号で取り上げた防災士(会)とNHKやヤフーとの協力関係は、防災士の信認性をさらに高めることに役立つはずですが、それはあくまで付随的なもの――防災士30万を展望するこのパワー、これから具体的にどう活かし育てるか。本紙も含めて、防災士のみなさん一人ひとりの課題になりそうです。

●防災士としては”聴き捨てならぬ”災害リスク下の介護施設

 厚生労働省による介護施設での「防災リーダー」養成事業支援という方針は、まさに防災士の活用にぴったりではないでしょうか。
 山形県や宮城県での実績を参考に、各地の日本防災士会支部で同事業と連携ができそうです。

 最近、「東京23区内にある特別養護老人ホームの約4割が、国や都の想定で洪水時に最大3m以上の浸水が見込まれる場所に立地」、また全国的にも、「津波・洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に特別養護老人ホームなどの介護施設が立地している自治体は、約1000市区町村にのぼる」との報道がありました。
 防災士としては聞き逃せない実態ではないでしょうか。

●ますます意気軒昂、伊藤和明さんの新刊

 おなじみ伊藤和明氏による最新書下ろし『平成の地震・火山災害』(近代消防新書、定価・税共990円)がこのほど刊行されました。平成約30年間にこれだけの災害事象が起こっていた……令和も警戒怠ることなかれ……防災情報に携わる本紙にとって大先輩の警告、肝に銘じています。
近代消防新書:伊藤和明・著『平成の地震・火山災害』
https://www.ff-inc.co.jp/syuppan/sinkan.html

●忙中閑話 2題

朝日新聞:台風の目に航空機から水や氷 弱体化させ災害ゼロに、発電構想も
https://digital.asahi.com/articles/ASP9B546PP8HPLBJ001.html
2021年9月12日
 地球温暖化でますます凶暴になっている台風をコントロールし、勢力を弱くしたり、被害をゼロにしたりできないか。2050年の実現を目標に、そんな壮大な挑戦が始まっている。台風が持つエネルギーは、全世界の消費電力の1カ月分とも言われ、発電に生かそうという構想もある……

わんわん救命士(YouTube)
https://www.instagram.com/p/CTMZ0Erl9nw/?utm_medium=copy_link

   (M. T. 記)


GNS[2017年版]

■《Bosai Plus》第265号・2021年09月01日号発行!(同P. 1(「もくじ付きへリンク」

●創刊11周年 「十年一日、日々是防災」

 本紙は2010年9月1日に創刊しました。
 創刊号から1年間は「Vol. 1」となり、2021年9月1日発行号で11周年=「Vol. 12」=本号から12年目に入ります。

 顧みれば「十年一日」……10年余が1日のようの短く感じられるという意味かと思っていましたが、辞書によれば「十年一日のごとく平凡な生活が続くこと」、「成長や進歩がないこと」とも。
 でもいっぽう「10年間同じことを繰り返す」という意味から、「ひとつのことを辛抱強く努力し続ける」、「忍耐強く守り続ける」ことを言うともあります。

 本紙はまさに「十年一日」、「持続は力」という定期刊行物の鉄則を死守してきました。同時に「日々是好日」ならぬ「日々是防災」で、愚直に「ゴールは遠いが、しっかり見える。」のキャッチフレーズを貫いてきました。
 それもこれも、読者のみなさまのご支援・叱咤激励があってのことで、創刊11周年を期して、改めて深謝申し上げます。

 ところで「日々是好日」の読みは、正しくは「にちにちこれこうにち」だそうで……私はこれまで「ひびこれこうじつ」だと思い込んできました。
 専門の校正係がいない本紙ですので、校正ミスにはいろいろ突っ込みどころもおありかと思います。ご指摘は大歓迎で、とくに防災の考え方について異論をお持ちの方からのご指摘は、真摯に対応させていただきます。

●「災害リスク指標」のソースデータに「自助・共助の浸透度合い」を

 本号では「都市の災害リスク評価」を取り上げました。とくに地盤工学会の研究者グループによる安全指標「GNS」の開発は大きな可能性を秘めていると思い、巻頭で取り上げました。
 こうした指標のソフト面のソースデータとして、「地域防災力」をうまく指標化できないものでしょうか。住民による自主防災組織のカバー率のほか、防災訓練参加率、さらに自助・共助の浸透度合い、防災教育の普及度合い、防災士資格取得率などを検討していただければと思います。

 いっぽう、東北大学災害科学国際研究所所長・教授の今村文彦先生が提唱する「防災 ISO(国際標準化)規格」の動向にも注目しています。
 防災メディアとして、こうした研究・開発を粛々と進める研究者の方がたとも、「日々是防災」感を共有させていただければと願っています。

●忙中閑話

 「防災の日」に下記、2題。

毎日新聞:都知事の追悼文見送りに抗議 関東大震災朝鮮人追悼式典の実行委
(2021.08.23.)
 関東大震災時に虐殺された朝鮮人の追悼式典の実行委員会は23日、小池百合子知事が2017年以降、式典に追悼文を送っていないとして抗議声明を発表……

JX通信社:「想定外の超弩級プリニー式噴火」福徳岡ノ場衛星写真連続撮影結果を火山学者(小山真人・静岡大学教授​​)が解説
(2021.08.26.)
 株式会社JX通信社は、宇宙ベンチャーの株式会社アクセルスペースとの協同で、今月13日に噴火が確認された小笠原諸島付近の海底火山「福徳岡ノ場」の……

 今後とも本紙をご愛読・ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

   (M. T. 記)


千島海溝モデル想定地震津波より「震源域の地盤変動量分布」(北海道資料より)

■《Bosai Plus》第264号・2021年08月15日号発行!(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

【 Tweets & Tips 】

●改めて、いつ起こっても不思議はない不条理・巨大災害

 前号(8月1日発行号)で、日本時間7月29日にアリューシャン列島(米国、アラスカ半島)で起こったM8.2と推定される巨大地震を契機に「遠地津波」を想起し、1960年チリ地震津波、1700年“みなしご”元禄津波(カナダ・カスケード地震津波)に触れました。
 本号ではその余韻もあって、北海道の千島海溝に起因する巨大津波想定の話題を特別企画で取り上げることにしました。

 たまたまですが、昨日(8月14日、日本時間)20時58分頃、アリューシャン列島で再び、M7.0と推定される大きな地震が起こりました。7月29日の巨大地震活動の一部と見られているようです。幸い、津波発生はなかったようです。
 また、日本時間同日の21時29分頃、カリブ海の島国ハイチでM7.2の大地震が発生し、海外報道によれば被害も発生しているようです。

 ちなみに気象庁は21時24分に海外で起こったこの2つの大地震について「遠地地震に関する情報」を発表しています。

 気象庁ホーム>防災情報>地震・津波>地震情報(遠地地震情報も含む)(「震源・震度情報」の地図を世界地図に拡大)

 このところ三陸沖や福島県、茨城県、千葉県沿岸、またこれまで地震が比較的に少ないとされる中国・四国地方でも、中規模の地震が多く起こっているような気がします。”ビッグワン”(巨大地震)の前触れではないことを祈りますが、想像力は活かしておかなければ……

●テレビドラマ「日本沈没」が10月スタート

 「吉備高原」の本文で触れましたが、小松左京原作の「日本沈没」がTBSテレビドラマとなって10月から始まります。「日本沈没」は海外ではよく見られるドキュドラマ(ドキュメンタリ・タッチのドラマ)の素材としてもおもしろく、危機管理と同時に、最新の科学的な知見が織り込まれれば、さらに楽しめるので、ちょっと期待しています。

●改めて、「地球温暖化」を「地球炎熱化」or「地球ヒートドーム化」に

 IPCCの評価報告書第1弾が公表されました。いずれこの報告書については特別企画で取り上げますが、本号では紙面の都合で簡単に触れました。
 前号のこの欄で「地球温暖化」は気候変動の用語としては生やさしい、ゆるい、「地球炎熱化」あるいは「地球ヒートドーム化」といったインパクトのある用語に変えたほうがいいと書いたら、読者から「賛成!」のお声をいただきました。

 防災メディアとしてこの提言をしつこく続けることで社会が動けば……と思っています。ちなみに地球温暖化は英語でも「Global Warming」です(日本語はその翻訳?)。世界も動かさないといけませんね……

   (M. T. 記)


「火災積乱雲」が形成される仕組み(カナダ・ヴィクトリア州気象局資料より)

■《Bosai Plus》第263号・2021年08月01日号発行!(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●「地球温暖化」を言い換え「地球炎熱化」or「地球ヒートドーム化」に

 猛暑の頻度や深刻さは、気候変動によって増していると言われます。気候モデルによっては、来世紀には地球上の広範囲が人間の居住に適さなくなると予想されているそうです。

 日本社会は「SDGs」(エス・ディ・ジーズ=持続可能な開発目標)をファッショナブルな流行語として、たちまち”消費サイクル”に組み込んでしまった観があります。しかし、気候変動も地球温暖化も持続可能な開発も、事態はもっともっとさらに深刻化してはいないか。

 温暖化やSDGsについては真摯な(科学的な)懐疑論も聞かれます。
 いっぽう、防災は本質的には最悪想定に立って災害対策を考えますが、地球環境について、政治家や社会的な影響力のある財界・各界の有識者、社会運動家などは、正常化の偏見に陥ってはいないか。私たち(彼ら)の子ども、孫、さらにはその子どもたちが生きる世界への想像力に欠けてはいないでしょうか。

 本号の話題「気候変動」はそもそも北海道で続く猛暑日から発想されました。(世界を)見回してみると、7月はヨーロッパの洪水、中国での1時間雨量200ミリ(と伝えられる)大雨洪水、北米の異常高温、そして森林火災のニュースであふれていた……
 これはまさに気候変動の”顕在化”ではないか、というのがきっかけです。

 本紙はもともと「地球温暖化」は気候変動の用語としては生やさしい、ゆるい、と思っていました。「地球炎熱化」あるいは本文で触れた「地球ヒートドーム化」といったインパクトのある用語に変えたほうがいいと思っています。

●「心配はない」――安心情報(の発信)は、要注意

 7月27日夕に菅首相がぶら下がり会見でコロナ感染拡大による五輪への影響について「人流は減少している。心配はない」と断言するのをテレビ報道で見ました。
 (政治的立場は別にして)思わず筆者は「言いましたよね!、言いました!」とテレビに向かって念押ししました。
 その翌日から東京での感染者数はうなぎ登りに記録更新中です(五輪競技の記録更新と張り合うがごとく)。

 防災・危機管理関係者ならば、「安心情報の発信は要注意」であることを知っているはずですが……そして3日後、何度目かの6都府県への緊急事態宣言に追い込まれることになりました。
 その記者会見では「(宣言が)最後となる覚悟で」とのこと。その何度目かの「覚悟」がいずれまた、問われることになるのでしょう。
 (あくまで危機管理の視点からの小紙の雑感です)

   (M. T. 記)


7月3日午前、静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で大規模な土砂崩れが発生し、約130軒の住宅や車が土砂に流され、土石流は相模湾にまで達した。7月14日現在、11人の死亡が確認され、17人の安否が分かっていない。上画像は、国土地理院地図より、熱海市伊豆山地区における「梅雨前線に伴う大雨による崩壊地等分布図(第3報)」(集水域あり)より。国土地理院が2021年7月6日に撮影した空中写真から、地山・土砂が見えている部分を判読したもの(崩壊地の位置を把握するための資料で、人家等に被害のない箇所もプロットしたもの)

■《Bosai Plus》第262号・2021年07月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●自然災害の不条理と人災

 熱海市は、市域内はほとんどが丘陵で、相模灘に面して眺望がいいことと温泉も豊富なことから、別荘地・首都圏の奥座敷として発展しました。一般住宅も高台に密集して建ちますが、勾配の急な坂が多く、海岸線も後背地はすぐに丘となる所がほとんどです。

 そうした地理的・文化的な条件が、結果的には(必然的に?)大規模な土砂災害を引き起こす要因になりました。その熱海市の伊豆山地区で土石流が発生、大勢の命が犠牲となり、多くの住宅・家財が被災してしまいました。
 被災されたみなさまには心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。

 ただ、いっぽうで、土石流が流下したルートは静岡市のハザードマップ上の「土石流危険渓流」エリアとほぼ重なる場所だったという厳然たる事実があります。自然災害は、人間の営みが自然のハザード(力)の影響を受けるときに起こります。いつ打つかわからない自然の寝返りの”際(きわ)”に人間の営みがあるとき、その寝返りにつぶされたとして、それは災害、あるいは不条理とは言えないのではないでしょうか。

 まさにこの場所は”土石流が流下する危険渓流”の際(きわ)だった。その直接の原因が大量の雨を含んで崩れた規制違反の盛り土だったとしても、「危険渓流沿いにつくられたまち」の被災であること、つまり住民のみなさんには酷な言い方ですが、この災害像には”人災”の様相が濃いことを直視すべきかと思います。

●「熱中症警戒アラート」に「緊急安全確保」の備えを

 ここ2週間ほど、米国西部が熱波に見舞われています。日本の大雨もそうですが、気候変動により今後、大雨・猛暑の頻度や深刻さはさらに増すことが予想されるそうです。
 MITテクノロジーという米国科学誌が「人間の耐えられる暑さの限度とは?」という記事を配信しています。
 MIT TECH:猛暑襲来、人間の耐えられる暑さの限度とは?

 「恒温動物の哺乳類である人間の体温は、常に37度前後。人体は、だいたいこの体温で適切に機能するようになっており、熱損失と熱利得の間に一定のバランスが保たれている」、「人体が熱を迅速に発散できなくなると支障が出始める。中核温(体の内部の安定した体温)が上昇しすぎると、臓器から酵素にいたるすべてのものが機能しなくなることがある。猛暑は腎臓や心臓だけでなく、脳にも深刻な影響を与えることがある」……

 気象庁と環境省は「熱中症警戒アラート」の運用を本年4月末から全国で開始しています。「熱中症警戒アラート」は「暑さ指数33以上」(気温とは異なる)と予測した場合に発表されます。
 熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される場合に暑さへの「気づき」を呼びかけ、国民の熱中症予防行動を効果的に促すものです。

 いよいよ各地、梅雨明けとともに熱い夏を迎えます。「猛暑は腎臓や心臓だけでなく脳にも深刻な影響を与えることがある」――気づかないうちに熱中症に!?
 ――とくにコロナ禍のなか、お互い要注意です!

   (M. T. 記)


東京下町の低地の地下の埋没谷形状(産総研資料より)。産業技術総合研究所(産総研)研究グループが、東京都心部の地下地質構造を3次元で立体的に見せる次世代地質図「3次元地質地盤図~東京23区版~」を公表した。3次元地質地盤図は、だれでも閲覧でき、東京23区の地震ハザードマップや都市インフラ整備などで活用されることが期待される。いっぽう、衛星や地図情報を組み合わせた新しい防災情報サービスを、地図情報のゼンリンや衛星放送スカパーJSAT、建設コンサルタント・日本工営が始めた。防災・減災テクノロジーの新ステージだ

■《Bosai Plus》第261号・2021年07月01日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●防災テクノロジーの新ステージ

 いろいろ課題はありそうですが、国の「DX」化推進・デジタル庁発足に合わせ、多方面の分野でデジタル化が一気に進みそうです。
 本紙前号で予告したとおり、本号から国の新防災強靭化に向けた「1WG+4チーム」の提言概要をシリーズで紹介していきますが、その第1弾は「デジタル防災(未来構想/社会実装)」としました。

 そして巻頭特別企画は、いわばデジタル防災テクノロジー新時代を迎える兆しとしての「地質・地盤」”深掘り”の話題と、衛星を活用した防災・被害想定の試みを取り上げました。
 「東京都心部(23区)3次元地質地盤図」によると、23区東端の江戸川区小岩エリアは一般的には地盤が軟弱と思われていますが、意外に埋没谷の上にはなく、地質地盤は決して悪くないのだそうです。

 地震動は地盤の影響を受けるので、建物敷地周辺の地盤構造を知ることが重要です。「3次元地質地盤図」ではボーリングデータの深さは深いところで100mのようですが、超高層ビルが林立する埋立地エリアの長周期地震動などの発生・影響はどうなんでしょう。専門家の知見が待たれます。

●お待たせしました、「防災用語ウェブサイト」(水害・土砂災害)がオープン

 本紙6月1日号(No. 259)の巻頭企画で取り上げた「防災用語ウェブサイト」は、運営する国土交通省情報によれば”出水期までに公開”とのことでしたので、本紙では同情報の近刊号での掲載予告をしていましたが、本号発行直前の6月30日に公表・公開されました。
 次号でその詳細を詳細紹介予定ですので、ご了承ください。
 なお、同サイトのアドレスは下記となります――

防災用語ウェブサイト(水害・土砂災害)
https://www.river.go.jp/kawabou/glossary/pc/top

●新耐震基準施行から40年 新・新耐震基準は?

 新耐震基準は1981年6月1日に導入されていて、わが国の地震防災はこの新耐震基準に沿う建物とすること、旧耐震基準建物をなくすことに精力を注いできました。しかし、初期の耐震基準で建てられた建物も40年を経て老朽化してきたのではないでしょうか。
 国のデータによれば、”耐震化”(新耐震基準化)した建物は8割、9割となっていますが、40年を経て、耐震基準設計の更新も必要ではないでしょうか。

 防災関係者やメディアから、新耐震基準施行から40年という”問題意識”があまり聞かれませんが、耐震基準が「最低基準」であっていいのかという問題も含めて、事前防災の”理念”を踏まえた再設計が必要ではないでしょうか。

●忙中閑話

 巻頭企画で取り上げた衛星防災情報の日本工営が会員になっている建設コンサルタンツ協会が「土木×落語」を創作したという話題。一般のみなさんに「土木」に関心を持っていただき、知っていただくための企画だそうです。
 下記サイトで「土木×落語」をお楽しみいただけます。
https://www.n-koei.co.jp/news/document.html?year=2021&id=20210424-abf92e07

   (M. T. 記)


「防災強靭化 新時代」への提言公表

■《Bosai Plus》第260号・2021年06月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●国土強靭化 新時代へ 道はなかなか険しい

 本号特別企画は、これまで中間報告として報じてきた5つの有識者検討会(1WG+4チーム)報告書の一括公開(全5件)の話題。いずれも本紙にとっては重要なテーマで、本紙の限られた紙面スペースではすべての内容紹介ができないので、今後、数回に分けて取り上げさせていただきます。

 この検討会座長が連名で公開した「前書き」の冒頭部分は、この種の報告書としてはなかなか”文学的な印象”で、みなさまにもぜひご一読をお薦めしておきます。
 なお、この「前書き」には、防災・減災に向けた長い・大きな取組みのなかでは、今回の報告書自体も中間報告のようなもの、とあります。
 大規模災害への切迫感・危機感と同時に、焦燥感も感じとれる「前書き」です。

●内閣府「防災女子の会」の提言 男子はしっかり受け止めたい

 「国土強靭化 新時代」構想とは直接関係しませんが、「防災女子の会」も時期を同じくして発足し、ほぼ同時に防災担当大臣に手交された提言にも本紙は注目しました。
 というのも女子の会提言の冒頭部分の”書きぶり”が、前述の検討会座長連名「前書き」と呼応するからです。しかも、座長連名が「……だからこそ国民の総力を挙げて立ち向かいたい……」としたのを受けて、女子の会は”甘い!”と叱咤するように、「現実は理想とは程遠いのではないだろうか」と厳しい見方を示しています。

 わが国の男女格差の根は深そうで、防災女子の闘いは始まったばかり。グラスシーリングならぬ強靭なコンクリートの壁が立ちはだかっていそう。
 本紙はその闘いを応援します。

●国が高齢者向けスマホ講習会? 希望者へのスマホ無料支給が先では?

 本号「BOSAI TIDBITS」でスマホの防災活用の話題を取り上げました。スマホは防災情報伝達の重要なツールとして欠かせないものになりました。

 ワクチン予約での混乱(それ以前に、わが国のデジタル化の周回遅れ)もあって、国はばたばたと「DX化」(デジタルトランスフォーメーション)を急いでいます。いまさらの観がありますが、総務省は高齢者向けにスマホ講習会を全国展開するそうです。
 しかし、そのターゲットの高齢者の身になってみると、講習会よりもスマホ本体の無料支給と通信料の補助が先じゃないかと……そもそも高齢者はスマホを持っていませんから。

   (M. T. 記)


防災用語ウェブサイトの「洪水」の例

■《Bosai Plus》第259号・2021年06月01日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●『防災用語ウェブサイト』の公開は現時点で未定

 本号の特別企画『防災用語ウェブサイト』は、本紙の”見込み”で巻頭企画に持ってきたものです。検討会の提言は「6月からの出水期に併せて」インタネット上に開設」とのことでした。
 国土交通省担当部署に開設時期を問い合わせたところ、まだ制作中で開設日などは未定とのこと。開設され次第、本紙でもご案内させていただくこととします。

 ちなみに、国土交通省検討会は防災情報(用語)の認識・理解について国・自治体と報道機関の間での共有が重要で、それをもとに住民に伝えていく、とありますが、当然、その情報伝達の仲介者として防災士など地域防災活動家がいます。
 そういう地域防災活動家、自主防災にとっても、防災用語の認識・理解・共有は重要との考えから本紙はこれを巻頭に取り上げました。

●次号予告に代えて……

 本紙特別企画テーマ確定直後の5月25日に、国は「防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言」を公表しました。これは本紙が最近号で取り上げてきた「自然災害に備える3WG(ワーキンググループ)」の総まとめです。

 本来であればこのテーマで本号の特別企画を構成するところですが、今回ややタイミングがずれましたので、次号で取り上げる(予定)とさせていただきます。
 その”予告編”として、同提言のなかの「防災・減災、国土強靱化 WG・チーム提言 前書き」にある下記の文章をご紹介します。

 直接死も関連死もなくしたい。
 この思いで提言する。
 本当につらいことは津波のように一瞬で我々を飲み込みほとんど何もさせてくれない。
 言うまでもなく巨大自然災害への対応は人間にとって極限状況になる。
 だからこそ国民の総力を挙げて立ち向かいたいと思う……

●新型コロナウイルスは地球を周遊し周回を繰り返す?

 コロナ禍がなかなか収束に向かいません。個人的には、イメージとして、コロナウイルスは津波のように自律的に地球を周遊し周回を繰り返すのではないのかと。

 ひるがえって、宮城県がまん延防止規制解除になった理由・背景の検証が行われているのでしょうか。ある規模の都市での”成功例”を徹底的に検証せずに(少なくとも成功例として政府・専門家・マスメディアが取り上げることなく)、都市部の感染対策が漫然と延長されることに疑問を感じています。

●忙中閑話

 民間放送各社の労働組合でつくる民放労連女性協議会が全国の民放テレビ局127社の女性割合を調査した結果――女性役員がいない民放テレビ局は91社(全体の71.7%)、役員の女性割合は全体で2.2%!

 大阪市議会で本会議中の大地震を想定した防災訓練で、議員がタブレット端末で天井からの落下物から頭を守りながらの避難! たしか国会は最近、ヘルメットを用意しているはず……

 ちなみに本紙はこれまでくどいほど、地震発生時に放送されるNHK各地方局オフィス・スタッフの対応行動について、「まずはヘルメット着用」を訴えています(ロールモデルとしても!)

 朝日新聞「朝日川柳」より――
 トーチ泣く この火なんの火不思議な火(大阪府 和泉悦代)

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第258号・2021年05月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●「防災3WG」への期待(邪期待?)

 本号特別企画は、昨年末に小此木内閣府特命担当大臣が記者会見で発表した3つのワーキンググループ(以下「WG」)の、これまで5カ月間の進捗状況(概要)を紹介しました。

 概要とまでも言えないおおざっぱな内容ですが、ここはあえてこういうWGがいま作業中という情報提供にとどめています。それぞれのWGのホームページにリンクを貼りましたので、恐縮ですが、さらに詳しくはそちらをご覧ください。
 各WGとも、6月をめどにとりまとめを行う予定のようですので、その段階で(7月ごろ)本紙も改めて取り上げたいと思います。

 本文で触れましたが、「防災DX(デジタル化)」も「事前防災・複合災害」も「防災教育・啓発」も、私たち防災にかかわる者にはとても関心の深いテーマであるだけに、期待は大きいものがあります。
 とくに近年は、デジタル化、ジェンダーに加えて、感染症がらみでの危機管理・差別・風評被害などの問題が浮上していますが、これらはそのまま防災の課題でもあり、とても”ひとごと”ではありません。

 「デジタル防災技術(社会実装)WG」の資料に「ベース・レジストリ」という用語が出てきます。これは”社会のあらゆる基本データ”と理解すればいいようですが、これを「いつでも防災にも使えるように整備」することをめざすようです。

 以前、国は「災害情報の標準化」を合言葉にしていましたが、それが一挙に災害(防災)の垣根をとり払って、”情報全方面化”による防災体系の構築をめざすということでしょうか。
 こうした課題を考えるとき、現状の縦割り行政は論外、逆に”ベース防災”として、司令塔としての「防災省(庁)」の創設が、論理的必然として浮上すると思うのですが。

●「君は君、僕は僕、されど仲良き」

 報道によると、立憲民主党の安住淳国会対策委員長と共産党の穀田恵二国対委員長が会談して選挙協力も含めて今後も連携を深めていくことを確認。その際、安住氏が「それぞれの違いは理解しながら、武者小路実篤じゃないけど、『君は君、僕は僕、されど仲良き』」と述べたそう。
 政治的な話・立場は別として、「君は君、僕は僕、されど仲良き」――”多様性容認”を表すのにいい言葉じゃないですか?

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第257号・2021年05月01日号発行!
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●ある連想――「線状降水帯」⇒「常在戦場」⇒「常在防災」

 気象庁によれば、「線状降水帯」は「非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況を表す」用語として社会に浸透しつつあるということで、今回の新たな防災気象情報となる「顕著な大雨に関する情報」のキーワードとなっています。

 「線状降水帯」は、(ムリクリですが)よく政治家や社長さんが言う「常在戦場」と語呂が似ています。「常在戦場」は「いつも戦場にいる気持ちで事に当たる」という意味で、多くの四字熟語が中国の古典由来であるのに対して、「常在戦場」は日本発祥の四字熟語で、長岡藩牧野氏の家風として伝えられてきた成句だそうです。

 「線状降水帯」は気象庁の予報用語ですが、近年、「線状降水帯」由来の大雨災害が頻発してメディアがそのメカニズムを解説しながらもそのまま使ったことで、私たちにもおなじみの用語になりました。
 専門的な用語が浸透して私たちになじめば、それはそれでいいのですが、新しい防災気象情報として「顕著な大雨に関する情報」が登場して、それが「線状降水帯」の発生を確認したときに発表……となると、ややこしい。

 本号で「防災気象情報の伝え方に関する検討会」が検討結果をとりまとめたことをリポートしましたが、本紙校了直前とあって、またその検討結果の内容がよくわからなかったこともあって(!)、リンクだけ貼っておきました(ごめんなさい)。
 この検討会、報告書「概要」に<中長期的な検討事項>として「警戒レベルを軸としたシンプルでわかりやすい防災気象情報体系へ整理・統合」をあげていますが、あれ? それこそが喫緊の検討課題ではなかったのか?……

 いずれにしても、防災気象情報のわかりにくさは変わらないように思います。ただ、「キキクル」はわかりやすい。要は「危機来た!」とわかって、情報の受け手がどう「避難行動をとるか」ですね。
 「常在防災」で行きたいものです。

●防災力向上に資する「地理」の必修化 知識・知恵の備蓄

 来春から高校の授業に「地理」が必修化されるそう。ほぼ半世紀ぶりの復活ということで、国内外で相次ぐ大規模災害や南海トラフ巨大地震に備え、一人ひとりの防災意識やその実践力を高める狙いもあるそうです。
 「21世紀は災害の世紀」――現在の青少年、子どもたちがわが国を担う成人となる頃までに想定巨大災害が起こりそう……知識・知恵の備蓄も必要です。

   (M. T. 記)


「百年防災社」HPより、オンライン受援訓練の様子
「百年防災社」HPより、オンライン受援訓練の様子

■《Bosai Plus》第256号・2021年04月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●女性が活躍できないわが国は、”後進国”になる……いいの?

 本号巻頭企画は「女性主宰」グループの防災活動事例を取り上げました。国が先進事例として紹介するものとは趣きが異なるかもしれませんが、防災分野の男女共同参画の最近の事例として見ていただければと思います。

 内閣府男女共同参画局の活動理念は高く評価され、防災分野での施策もいろいろ打ち出されていますが、それがなかなか、ほかの分野同様、社会に反映されません。
 同局が最近まとめた「男女平等と投資パフォーマンスの向上を同時にめざすジェンダー投資」によると、「投資顧問会社や生命保険会社などの機関投資家の過半数が、投資の際に女性の役員・管理職比率といった女性の活躍にかかわる情報に注目している」とのこと。

 調査結果では、投資判断に際し、女性の活躍についての情報を採り入れている機関が過半数を占めたいっぽう、幹部の比率だけでなく、すべての階層での比率、男女平等を職場で進めるための人事方針、具体的な目標といったさらなる情報の開示を求める声もあがっているそうです。
 そして、役員の女性比率が高い企業のほうが、ROE(自己資本利益率)が高いという調査結果もあり、ジェンダー投資は欧米を中心に広がっているとのこと。

 わが国は現与党を中心に経済成長率を高めることを”国是”として国策運営を行ってきた印象があります。男女共同参画が経済成長を促すということであれば、政策も一気呵成にそちらに舵を切りそうですが、なかなかそうはいかないのはなぜ?

 経団連の「副会長」に初めて女性が就いたとの華々しい(?)報道がありましたが、経団連副会長は20人もいる(しかも2人増やしたうちの1人が女性)ということをメディアはあまり伝えていません。マスメディアの責任も大きいものがあります。

 筆者(男)も反省するところは多々ありますが、わが国の男女格差の根本的な原因は詰まるところ「男の利権死守」という経済的・構造的な問題にありそう。
 女がその牙城崩しに自ら挑むのはなかなかむずかしそうですが、牙城がこのまま”不落城”だと日本は近い将来、後進国に甘んじることになるのでしょう……いえ、もしかすると、世界遺産レベルの”ガラパゴス国家”として観光立国?

●忙中閑和――非常食に「ポテチ」

 東京都板橋区は湖池屋や東京家政大学と連携して、災害時の非常食としてポテトチップスを活用するよう区民に呼びかけるそうです。ポテトチップスの賞味期限は6カ月間あり保存性が高いことから、非常食の備蓄を手軽に始めるきっかけにしてもらうとのこと。
 あ、そのローリングストックなら、もうやってます?

   (M. T. 記)


「IAA PDC 2021」はオーストリア・ウィーンで来たる4月26日~30日に開催される。小惑星や彗星のような太陽系小天体の地球衝突問題がテーマの国際会議で、そのホームページに開催日までのカウントダウンが掲載され”臨戦感”を演出している

■《Bosai Plus》第255号・2021年04月01日号発行!
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●『リップル〜もしも○○が起こるとしたら?〜』

 NHK総合テレビで3月23日放送の『リップル〜もしも○○が起こるとしたら?』は「小惑星が衝突したら……」という想定外がテーマのバラエティ番組。防災上、想定外が大きなテーマでもある本紙は必見だと思い、ビデオも録りました。

 番組では小惑星は日本のどこかに衝突するという設定、しかもそれほど規模は大きくないので、内陸直下地震の想定と同じようなもの。ゲストたちが考える対策・想定も、地震対策とほぼ共通するもののようで、やや肩透かしでした。

 本文でも触れましたが、小惑星の地球衝突リスクについては国際的な科学者の共同研究も行われており、それを紹介する、あるいは映画「アルマゲドン」のような日本や地球存亡の危機に、あなたはどうするかを議論したほうがおもしろかったのでは、と思います。

 私見では、ディザスター映画は想像力をバネに科学を跳び越え、災害の不条理性を暴くところにその本質があると思っています。同時に自然の脅威下で、人間の行動規範(愛、正義、勇気、誇りなど)、危機管理手法(情報管理、分析、リーダーシップ、行動力など)をRPG的に検証し得るところに深みがあります。

 最先端科学の知見を踏まえたプロットと高度なCGを駆使して自然の脅威を大型スクリーンいっぱいに展開するディザスター映画は、映画のカテゴリーとしてはもちろん、想定外への想像力を養う防災教材としても注目していいのではないでしょうか。

●トヨタ「Woven City(ウーブン・シティ)」の降灰対策が知りたい

 トヨタが、富士山麓・静岡県裾野市の自社工場の跡地を利用して、最先端技術を集約した「Woven City(ウーブン・シティ)」というまちづくりを始めました。
 本号で富士山火山噴火想定の改定の話題を取り上げましたが、トヨタのこのまちづくり構想に富士山噴火想定・火山災害対策は組み込まれているのでしょうか。
 当然、想定はされているのでしょうが、とくにデジタル都市の降灰対策などは興味深いところ、いずれ取り上げたいと思っています。

 なお、トヨタのこの試みはわが国では斬新な試みとして注目されていますが、本紙は2015年10月に、米国での似たような先行事例「CITE」(the Center for Innovation, Testing and Evaluation)を紹介しました。米国中西部ニューメキシコ州の砂漠地帯に人口3万5000人規模を想定した先端技術を装備した小都市をつくろうというものですが、5年を経ていまのところ具体的な進捗はないようです。

 本紙は本号でも「防災省創設」を”推し”ましたが、その本部の立地は日本のどこかまっさらな地に求め、ゼロから防災モデル都市づくりを始めてみるというのはいかがでしょうか。

   (M. T. 記)


東京電力報告書より「福島第一原子力発電所における津波の再現計算結果(浸水深および浸水域)」
東京電力報告書より「福島第一原子力発電所における津波の再現計算結果(浸水深および浸水域)」

■《Bosai Plus》第254号・2021年03月15日号発行!
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●災害周年/周年災害

 ひと月前の2月13日の福島県沖地震で脳裏をめぐったものは「津波」と「F1」でした。2011.3.11以来、大きな地震の発生速報を目にするたびに、この2つが脳裏を横切ります。それは「だれしも……」でしょう。そして東日本大震災から10年となる2021.3.11を迎えました。

 「災害周年」は、単に”あれから何年”ではありません。記憶の風化、実感の風化は避けられないとしても、”あれから何年”を機に、それぞれがなんらかのかたちであの日の災害記憶・実感の更新を試みる、あるいは記録から災害の実像を想像してみる、災害死者・被災者に思いをいたす――それが教訓としての災害周年の意味かと思います。
 防災情報新聞の「周年災害」はその意味で、大変価値のあるアーカイブだと思っています。

●危機管理、彼我の差

 本号トップ企画記事で取り上げた「柏崎刈羽原発で社員が他人のIDカードを使って不正に中央制御室に入った」問題――
 本稿筆者が反射的に思い浮かべたことは、わが国では銀行窓口周辺では警備員は表には出ず、腰の低い懇切丁寧なホテルのコンシェルジュのようなスタッフが客の応対をするけれども、米国では警備員はむしろ目立たなければならない存在で、威圧的に客を睥睨(へいげい)するということ――

 危機管理のあり方、その“思想”にこれだけの彼我の差があるということ。わが国の危機管理は、「厳格な警備業務を行い難い協調・同調圧力志向の風土」から脱却できるのでしょうか。

 いっぽう、原発災害を中心とした福島県の公立展示施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉町)の展示内容について、原発事故の負の側面――事故前の備えの不足や原発の安全神話に対する教訓部分が乏しいとの指摘が多く、見直されるということです。
 国の予算を使って県が運営する原子力災害伝承館、ここだけは”忖度”があったとは考えたくないところです。

●忙中閑話

 国家公務員試験 出題予想の漢字――忖度、収賄 更迭
 (朝日新聞「かたえくぼ」和光・やかんかやさんの投稿より)

   (M. T. 記)


津波浸水想定「ここまで」の致命的錯誤
津波浸水想定「ここまで」の致命的錯誤

■《Bosai Plus》第253号・2021年03月01日号発行!
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●東日本大震災から10年 本紙と提携紙のアーカイブに注目を

 本号は「東日本大震災から10年・特別構成」で10ページ建てになっています。
 災害を「周年」ごとに思い起こし、犠牲者を供養・追悼する意味ではもちろん、防災の視点からもその記憶を更新し、次の災害に備えて検(あらた)める(=検証する)ことは大きな意味のあることだと確信しています。

 本紙が共同編集する「防災イベント 2カ月カレンダー/その日起こった災害 付き」はその意味でも大変高いご評価をいただいています(ただいま新サイトへ移転のため「工事中」。しばらくお待ちください)。

 防災情報新聞の「周年災害」は、わが国の災害史について、発生年の「10年単位」で過去の大災害や特異災害、防災関連の施策の概要などをアーカイブ化し、継続して更新するという膨大な情報量を有するアーカイブです。
 この「周年災害」を2005年から連載・更新してきた山田征男氏が東日本大震災10年を機に、「周年災害~東日本大震災から10年」を書下ろしました。

 本紙は紙面に限りがありその一部の転載になりましたが、WEB防災情報新聞には全文が掲載されますので(3月5日アップ予定)、ぜひ本紙と併せてご覧ください。なお、今回の本紙掲載分はは第1部で、第2部は「福島原発事故」、本紙では次号で掲載予定です。

 山田氏はこの「周年災害」をベースに、「日本の災害・防災年表」を7つの災害カテゴリでまとめていて(こちらも常時更新)、これもわが国最大級の情報量を誇るアーカイブに成長していますので、みなさまの参考資料にしていただければと思います。

>>WEB防災情報新聞:日本の災害・防災年表

●「3.11」を「防災教育と災害伝承の日」に

 東日本大震災が発生した3月11日を「防災教育と災害伝承の日」に制定しようと、今村文彦・東北大災害科学国際研究所所長を代表呼びかけ人として、私たちにはおなじみの5人の防災有識者が、賛同者の募集を始めました(本紙 P. 2 参照)。

 阪神・淡路大震災の発災日「1.17」が「防災とボランティアの日」になったように、「3.11」を「防災教育と災害伝承の日」に、というもの。みなさまも賛同者として登録されてはいかがでしょう(本紙は登録済み)。
 近刊号でその動向の続報を予定しています。

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第252号・2021年02月15日号発行!
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●福島県沖地震 M7.3 低頻度大規模災害が頻発の予感

 2月13日午後11時過ぎの福島県沖地震 M7.3に、だれしも「2011年 東北地方太平洋沖地震」(東日本大震災)”デジャヴ(既視感)”を味わったことと思います。「東日本大震災10年」のほぼひと月前で、改めて私たちに自然災害の不条理への”覚醒”を促すような地震でした。

 本号校了直前の大地震でもあり、編集企画の変更も迫られました。本号ではたまたま、挑戦的な研究開発「ムーンショット」(P. 2参照)を巻頭企画に予定していましたが、ボリュームを縮小しての掲載になりました。

 「ムーンショット」は2050年ごろまでを展望する長期プロジェクトで、「破壊的イノベーションの創出による困難な社会問題の解決」を華々しく打ち出しているので、当然、防災分野(減災)も主要なテーマになることを期待しているのですが、どうやら”デジタル技術”そのものを目的化したプロジェクトのようで、”羊頭狗肉”の感があります。

 その意味で、今回の地震はたまたま逆説的に「ムーンショット」の限界を浮き彫りにしたのかもしれません。2050年までにはおそらく間違いなく何度か経験するであろう大規模広域災害――さらなる日本海溝沿いの巨大地震、そして南海トラフ巨大地震、首都直下地震、不意の内陸活断層地震など――への課題解決という視点は「ムーンショット」にはどうやらないようです。
 そうであれば、本号の「福島県沖地震・速報」と「ムーンショット」の抱き合わせ企画は、皮肉にも的を射ているのかも。

 いずれにしても、自然災害リスクは虎視眈々と私たちの生活のかたわらに伏してスキを狙っていて、その脅威を嗅覚で予感せよと、私たちを促すかのようでもあります。

●コロナ禍で、改めてスポットライトを浴びる濱口梧陵

 濱口梧陵さん(本号P. 3-4)は、防災のほかにもいろいろ大きな社会貢献をされました。防災意識が日常生活の主流であればこそ、「防疫」にも「人材教育」にも気が回るということでしょう。
 梧陵さんのもうひとつの顔、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

●《Bosai Plus》ホームページ、「防災イベント 2カ月カレンダー」サイトの再開、依然「工事中」です。いましばらくお待ちくださいますように。

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第251号・2021年02月01日号発行!
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●攻めるオンライン防災広報――”総合的・俯瞰的”広報に期待

 本号特別企画は「オンライン防災広報」――コロナ禍の「ニューノーマル」は、社会、そして国のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の大波とも重なって、社会的な大変革をもたらそうとしています。その例に漏れないのが「防災分野のDX化」です。

 本紙は昨年10月15日号(No. 244)で「コロナ禍の防災見本市」を取り上げました。防災は言うまでもなく「不要不急」の対極にあり、防災・減災対策に遅滞は許されない――という趣旨で、リアル会場での実施・開催のあり方、ノウハウの事例を取り上げ、あるいはオンライン開催といった”新しい様式”での開催を模索するケースを紹介しました。

 本号では政府広報活動のポータルサイト「チームNEXTステップ」開設を機に、続編ともなる「防災啓発・教育・研究」分野での各種広報・イベントのオンライン化動向・事例を探り、期待も込めて”攻めるオンライン防災”としました。

 ただ、広報はあくまで広報ですから、広報主体の主張・見解が前面に打ち出されるものです。情報の受け手としては、それこそ”総合的・俯瞰的に”受けとめ、それぞれの是々非々の視点も必要かと思われます。

 今回は紙面制約の都合で触れられませんでしたが、学会系や民間系の防災サイトでもオンラインでの広報、シンポジウム公開などが盛んです。いずれまた、こうした動向も取り上げたいと思っています。

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第250号・2021年01月15日号発行!


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●「女性視点」の防災は、「女性視点」のみに矮小化されてはいけない……

 いま国は、2021年度「男女共同参画週間(6月23日〜29日)」のキャッチフレーズを募集中(1月12日~2月26日)です。これにちなんでというわけでもないのですが、本号特別企画は、「女性視点の災害対応力強化」。そのサブタイトルを「ことさら女性視点は変、男女協働防災が”初期設定”」としたのはキャッチフレーズ応募候補作としていかがか……というつもりもあります。
 冗談はともかく、本企画趣旨は、男女共同参画局公表の「災害対応力を強化する女性の視点 ~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」の紹介にあります。

 ただ以前、本欄で書きましたが、避難所運営の改善などで唱えられた「女性視点の防災」は、ややもすれば、男性視点での女性視点ではないか……という、やや、ややこしい(笑)異論も交えました。

 つまり本来、防災は「男女協働」であって、女性の属性に基づく「女性視点」(例えば女性専用更衣室や授乳室の必要など)ではなく、防災施策・方針決定などについて全般的な発言力を認める、「男女を問わない視点」扱いとしての「女性の視点」が出発点にあるはずだということ。
 その意味では、都道府県防災会議をはじめ自主防災の運営幹部会などに女性が少ない、男性偏在であるということは、”あるべき防災”ではないと思っています。

 極論ですが、国会議員をクオーター制どころか全部女性にしよう……という有識者(男性)の提言を聞いたことがあります。そうなったら確かに世界が変わるでしょうね、しかも、いい方向に。

●自治体のみなさんは「防災省」設置に賛成?

 防災から復旧・復興までを担う「防災省」は必要か――共同通信のアンケート調査によると、全国自治体の61.4%は、災害の備えから復興までを一手に担う国の専門機関「防災省」が必要と考えていることが分かったそうです。
 その理由として多くが、防災業務が複数省庁に分散する縦割り行政の弊害を指摘したそう……本紙も同感です。
>>共同通信(1月10日付け):「防災省」設置必要、61% 縦割り弊害指摘

   (M. T. 記)




■《Bosai Plus》第249号・2021年01月01日号発行!
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●明けましておめでとうございます

 2021年=令和3年の年明けです。
 旧年中は新型コロナウイルス感染症蔓延の年となり、まさに歴史的な災異の年となりました。
 読者のみなさまにおかれましては、新型コロナウイルスの影響やいかがかと案じております。くれぐれもご自愛のうえ、新しい年のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
 そして、ニューノーマル20年代の始まりの年であればなおのこと、引き続き本紙をご愛読・ご支援たまわり、多難な時代により安全・安心社会をめざして、ご一緒に新たな一歩を踏み出す年とさせていただければ幸いに存じます。

Webブラウザで PLATEAU のCityGML(Geography Markup Language) データをプレビューできる「PLATEAU VIEW」
Webブラウザで PLATEAU のCityGML(Geography Markup Language) データをプレビューできる「PLATEAU VIEW」

●防災の近未来 向こう20年を”俯瞰”して

 AI(人工頭脳)やデジタル・ITの日進月歩ぶりは、日進月歩という旧世代の用語が通用しないくらいに先を行くものですが、逆に、社会の仕組みがそれに追いつかないという現実もあります。
 例えば、自動運転の車と車の運転が好きな人が自由意志で運転する車は、同じ走行車線で共存できるのでしょうか。自由意志で走る車(人)が自動運転車に対してあおり運転をしたらどうなるのでしょうか……

 本号で取り上げた「DX」はあくまで整合性のとれた仕組みのなかで効果が発揮されるものですが、人間がその回路にからむと複雑系の「DX」になるのでしょう。
 防災の「DX」も、イメージとしては「災害犠牲者ゼロ」がはるか遠くに究極の目標としてあって、それが北極星のように輝いて導いてくれれば、「DX」はそれをめざして試行錯誤しながらも近づいていくのでしょう。

 21世紀も5分の1が過ぎました。次の5分の1の20年間にはおそらく南海トラフ巨大地震、あるいは首都直下地震が起こるかと思われます。あるいは、両方が次の20年間に相次いで起こる可能性も高くなってきました。
 新年早々、縁起でもありませんが、警戒するに越したことはありません。次の20年はすでに始まっているのですから。

●忙中閑話 SPの危機管理の担当範囲は

 昨年末の菅首相らの会食に世論の批判が高まり、マスコミの論調はもっぱらご本人の責任を指摘しました。その批判は当然のこととして、その取り巻きの人たちの無神経さ(見識のなさ)を指摘する声は少なかったようです。
 あえて本紙に言わせてもらえば、危機管理の観点から、首相のSP(セキュリティポリス)が身体を張って首相の会食出席を阻むべきだったと思う次第……!

   (M. T. 記)


防災士認証登録者の推移(日本防災士機構HPより)

■《Bosai Plus》第248号・2020年12月15日号発行!
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●防災士になるー―「防災士研修講座」のすすめ

 本号巻頭企画は「防災士 累計20万人突破」というニュースを受けて「防災士」を支援する本紙として、感慨をもって防災士制度小史に触れてみました。

 私自身が防災士資格を取得したのは防災士の研修史から言えば比較的早い時期でしたが、実際に受講して、学ぶ(知る)歓びと言いますか、”目からうろこ”の知恵・知識を得る充実感を深く感じたことを思い出します。

 当時、阪神・淡路大震災の衝撃・記憶が風化とまでは言わないまでも、記憶は薄れがちで、防災への熱もそがれがちの風潮でした。私が防災士になったきっかけは防災士制度を推進する一翼である防災情報新聞に仕事としてかかわったことからですから、「防災士になる」ことは当然の帰結ではありました。
 しかし、それが単なる資格ではないことが、研修講座を受けることではっきりしました。防災士研修講座の内容(講義内容、講師陣、運営など)の充実ぶりに感じ入ったのです。

 たとえ理学や工学系の防災研究者でも、あるいは救命・救助のプロである消防官や警察官でも、例えば自主防災や被災者支援、復興の法的課題、災害史といった防災の別な側面では改めて勉強も必要です。
 防災士研修講座で用いる「防災士教本」を見ればわかるように、研修は”オールハザード”を扱い、防災について知っておくべき多方面・多様な知識・情報を、豊かな実践経験の裏づけを持つ講師から学ぶことができます。

 防災士は民間資格でもあり、必ずしも”就活”に効果があるとは思えません。しかし、あなた自身の、そして家族の、大切な人の「いのちと安全」に深くかかわる資格であることに疑いはなく、さらには「安全・安心な社会づくり」に役立つ資格、社会貢献の「志」を励ます資格だと、あえて断言しておきます。

   (M. T. 記)


東京都の「日常備蓄だよ!貝社員」触って楽しむクイズ動画より

■《Bosai Plus》第247号・2020年12月01日号発行!
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●「備蓄」は大切です! 「今やろう! 日常備蓄」

 本号巻頭企画で取り上げた東京都の「日常備蓄」は、備蓄に「日常」が付加された分、これまでの「備蓄」の考え方より新鮮、「新しい防災様式」として響きます。

 「備蓄」のなかでとくに食料について、以前は3日分の備蓄が推奨されていましたが、大規模広域災害が想定されるいまは、被災地ではなくても、生産・物流の寸断で食品・日用品が店頭からなくなる可能性があり、全国民的に(全国的に)最低1週間は必要というのが新常識になってきました。

 そこで近年では「ローリングストック」と呼ばれる備蓄様式が知られるようになってきました(余談ですが、英語で「Rolling Stock」は鉄道や貨物自動車などの車両のこと。備蓄様式の意味をあえて英語で表すならば”Stock Rolling”と語順が逆さまになります。いまでは国も和製英語を承知でこの「ローリングストック」を使っていますので、これで通すことにしましょう)。

 この「ローリングストック」(以下、「RS」)は通常、「普段の食事に利用する缶詰やレトルト食品などを備蓄食料とし、製造日の古いものから使い、使った分は新しく買い足して、常に一定量の備える備蓄法」とされています。
 ただ、いま広く「RS」として普及している方法はもっと緩く、日持ちのする食材を循環させるという程度の理解のようです(缶詰やレトルト食品の常備は必須ではない)。それだといざというときに、果たして1週間分の備蓄になるかどうか疑問が残ります。

●国が薦める「1週間食料備蓄法」

 「RS」の見本例としては、内閣府が推奨する以下の方法が1週間食料備蓄法”正統派RS”ということになりそうです。
 「普段からちょっと多めに食材を買い置きしておけば、最初の3日間は冷蔵庫にあるものを食べてしのげる。次の3日間は、RS食材でまかなう。それ以降は、乾物や発酵食品などの保存食やインスタントヌードル、フリーズドライ食品、チョコレートなどで乗り切る。調理方法(レシピ)もストックして、おいしい食の備えの完成」――
>>内閣府(防災担当):1週間を想定した工夫と備え

 ただし、ここまでで示されていない課題は、水道・電気・ガスなどインフラ途絶。冷蔵庫は夏場の停電でも締め切っておけば3日間ほどは持たせられるかもしれませんが食材の劣化に要注意。そして、調理には水とガスコンロ・ガスボンベのセットが要ります。家族構成によっては水だけでも相当な量になり、カセットボンベは国の備蓄法では買い置きは15~20本となって、保管スペースの確保も課題です。

●視点の転換――「地区備蓄」応援協定ってむずかしい?

 そこで、視点の転換――「食料備蓄」は基本的には「自助」が原則でしょうが、例えば自主防災組織などの「共助」による備蓄体制をとれないものでしょうか――食料備蓄については、これまで「共助」の発想・アイデアはなかったように思われます。

 「フードバンク活動」を行う組織やファストフード業界との災害時応援協定など、平時のうちに「ギブ&テイク」関係の整備ができないものかと夢想しています。
 言わば、流通市場を介さない地域での自給自足、物々交換(持ち寄り)体制の構築――近隣住民・企業・団体同士による「地区備蓄の応援協定」を提案しておきます。

   (M. T. 記)


グリーンランドの氷の減少(アニメーション)

■《Bosai Plus》第246号・2020年11月15日号発行!
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●防災士への期待を表明? 『気候変動×防災』戦略

 本号特別企画は、内閣府と環境省が6月に打ち出した「気候危機時代の『気候変動×防災』戦略」を中心に、同時進行的に表明された菅新政権の新基軸「カーボンニュートラル」、そして自治体や超党派議員連盟による「気候非常事態宣言」を取り上げました。

 ”なんということでしょう!”――わが国の基本政策が一気呵成に「環境防災」へと方向転換するようです。
 防災メディアとしてはもちろん大歓迎ですが、なにか裏があるのではと勘ぐりたくなるような「政策一新」のように見えますが……”裏”というわけではなさそうですが、安倍政権を継承すると公言した菅政権で、もともと「環境への意識」は既定路線だったようです。しかもそれは、新機軸というよりは国際的な外圧で仕方なく……といったふうでもあります。

 それでも、これらの動向は本紙として歓迎すべき新機軸であり、とくに『気候変動×防災』戦略は、「気候変動×防災の主流化」、「自助・共助の意識を持って自宅、職場、地域の災害リスクを認識し防災意識の向上を促す」、「地域や職場で防災の知識や行動を共有する活動に取り組み、コミュニティや企業を災害に強くする」などとうたっていて、まさに「防災士の活躍に期待する」とでも言いたげと受けとめました。
 防災士の活動モットーとしても、『気候変動×防災』を掲げたいところです。

●『稲むらの火』のトーチを次世代にリレーする

 前号の「津波防災の日」、そして「稲むらの火」の濱口梧陵生誕200年に関連して、伊藤和明先生からご寄稿をいただきました。
 また、伊藤先生からの情報ご提供で「濱口梧陵生誕200年記念 みらクルTV交流会」もオンライン取材させていただきました。伊藤先生は以前、防災教材としての「稲むらの火」について、「稲むらの火が多くの人の心に灯されることを期待したい」と話されていたことが印象に残っていて、そうしたニュアンスでの取材まとめにしています。
 ぜひ同交流会の様子(YouTube)をご覧ください。
>>みらクルTV:「濱口梧陵翁生誕200年」交流会(YouTube)

*本紙P. 2掲載の「日本で最初のCEDシンポジウム」のちらし説明で「CED」の説明記載が漏れました。「CED」は「気候非常事態宣言」で、Climate Emergency Declarationの頭文字です。

   (M. T. 記)


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