豊後水道の地震と南海トラフは通底するか?

 2024年4月17日23時14分頃に発生した「豊後水道の地震」は、マグニチュード(M)6.6とされている。南海トラフ地震の想定震源域内で発生した地震ではあったが、南海トラフ地震との関係を調査するマグニチュードの基準(M6.8)未満の地震で、気象庁は、「地震活動等については注意深く監視している」とした。幸い津波は発生せず、揺れによる人的被害、建物被害も少なかった。しかし、住民、防災関係者はだれしも南海トラフ巨大地震の発生を想起し、緊張しただろう。そして政府も、地震直後に危機管理センターに官邸対策室を設置するなど緊急対応に走った……

地殻変動半島 いまだ“災中” 広域避難困難 原発もうムリ!

 能登地方では、2018年ごろから地震が断続的に続いている。とくに2020年12月ごろから地震活動が活発化(能登群発地震)し、22年6月には震度6弱、23年5月には震度6強の大地震に襲われた。今回の地震は一連の群発地震のなかでも最大規模となる。報道によれば、輪島市では防潮堤や海沿いの岩礁がおよそ4m隆起したことが産業技術総合研究所地質調査総合センターの現地調査で確認された。同センター・宍倉正展グループ長は、「4mもの隆起はめったにないことで、数千年に1回の現象」と指摘……

元日に勃発 能登半島「震度7」津波発生

 2024年1月1日16時06分、石川県能登地方を震央とする最大震度5強の地震が観測された。そのおよそ4分後の16時10分の地震では、能登地方でマグニチュード(M)7.6・最大震度7が石川県志賀町(しかまち)で観測(震源は輪島の東北東30km付近、ごく浅い)されたほか、本州・四国のほぼ全域と九州・北海道の一部など、45都道府県で震度6強~1の揺れを観測した。能登地方で観測した地震としては記録が残る1885年以降で最大となる。震度7の激しい揺れを観測したのは、1995年1月の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)、2004年10月の新潟県中越地震、2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)、2016年4月の熊本地震(14日と16日の2回)、2018年9月の胆振東部地震に次いで7回目だ……

謎の津波、地震・大雨に発生傾向はあるか…

 気象災害リスク(大雨、台風、洪水、土砂災害、竜巻、落雷、大雪など)は気象予報技術の進展である程度の発生予測ができるようになった……火山噴火は火山性地震やマグマ溜まりの観測から発生可能性の指摘も……このように主な自然災害リスクは防災科学技術の進歩で少なくともリスクの指摘はできるようになってきた……しかし、地震だけはいつ起こるかわからない。ちょっと待った、地震由来の津波も予測できない……?

関東大地震の揺れを“読んで”追体験する

 本年は関東大震災から100年の年で、発災日である9月1日周辺は言うに及ばず、1年を通じて防災啓発イベントが盛りだくさんだ。そこで本紙が今号で試みるのは、やや異色の切り口――発災当時の著名人(文人、知識人、有名人、政治家など)による記録に残る「揺れ体験記」の数例だ。現代、私たちは地震防災科学の成果で、起震車で関東大震災(大正関東地震)の揺れそのものを“疑似体験”できるのだが、当時の著名人による大震災の分析・評価・論考とはひと味異なり、地震という圧倒的な自然の不条理に遭遇した生身の人間の恐怖体験を取り上げようというものである……

日本・千島海溝 具体的な応急対策活動計画 

 中央防災会議・幹事会が去る5月23日、北海道から東北地方の太平洋沖にある日本海溝・千島海溝の巨大地震に備え、応急対策に関する具体的な計画を決定した。警察、消防、自衛隊から最大で計15万人規模の広域応援部隊を派遣し、想定される被害規模に応じて北海道に7割、青森、岩手、宮城の東北3県に3割を送る計画だ……

揺れる地殻変動帯―日本列島 再び

 石川県能登地方で5月5日14時42分ごろ、M6.5の地震が発生。震源の深さは12kmで、石川県珠洲市(すずし)で震度6強を観測したほか東北地方から中国・四国地方にかけて震度5強~1を観測。この地震で屋根を修理していた男性1人が転落して死亡した。石川県内で住宅や神社の鳥居が倒壊するなどの被害が出た。同日5日21時58分ごろに再び同地方でM5.9の地震があり、珠洲市で最大震度5強を観測した……

あれから12年 原発とトランスサイエンス

 2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)とそれに伴う津波により、東京電力福島第一原子力発電所で原子力事故が発生した。この地震による災害と原発事故は同年4月1日、閣議で「東日本大震災」と命名される。  東電福島原発事故は、1986年4月のチェルノブイリ原子力発電所事故以来、最も深刻な原子力事故となり、国際原子力事象評価尺度(INES)の7段階レベルで最悪レベルの7(深刻な事故)に引き上げられた。今日までレベル7に分類されている事故は、チェルノブイリ原子力発電所事故と、福島第一原子力発電所事故の2つのみだ……

“同次元”としてのトルコ・シリア巨大地震

 2023年2月6日現地時間午前4時17分(日本時間同10時17分)、トルコ南東部のシリアとの国境付近・ガズィアンテプ・カフラマンマラシュ県境付近を震央とするマグニチュード(M)7.8の巨大地震が発生、その約9時間後の13時24分(同19時24分)にカフラマンマラシュ県のエルビスタン地区で後発大地震(M7.5)が発生した。2つの巨大地震とそれらに誘発された多くの余震により、トルコ南東部およびシリア北西部において、これまでに両国で合わせて3万5000人以上が死亡したとの両国当局の発表や報道があり(2月14日現在)……

《関東大震災100年 特別構成 1》災害周年に甦る災害教訓

 私たちは大災害の教訓を振り返るために「周年」ごとに、その記憶を思い返し、教訓を継承すべく努力を積み重ねてきた。「災害周年」とは、その意味において、決して一過性の暦上の記念日ではなく、自然災害を思い起こし、その教訓を検(あらた)め、新たな防災意識の継承と更新の日として銘記されるべき日、あるいは年となる……

22 秋の大規模災害への備え – 訓練と啓発と

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波災害を教訓として、同年6月に津波対策を総合的に推進することを目的とした「津波対策の推進に関する法律」が制定され、その中で、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるために、11月5日を「津波防災の日」とすることが定められた。  11月5日(旧暦)は、安政元年(1854年)に、「稲むらの火」のモデルとなった安政南海地震が発生した日で、さらに、2015年の国連総会では11月5日を「世界津波の日」とすることが採択され、津波防災の新たな取組みが国際的に始まっている……

「災害を語り継ぐ」 語り部のリアル防災

 先ごろ、宮城県石巻市の東日本大震災遺構「門脇小学校」で、語り部の体験をもとに津波からの避難を自分ごととして考える『ツナミリアル』の体験会が開かれた。『ツナミリアル』とは、一般社団法人石巻震災伝承の会が東北大学災害科学国際研究所・佐藤翔輔准教授(災害情報学)の指導のもとで開発した、語り部の体験を共有する新しい「疑似体験型」防災学習プログラムだという。語り部が語る被災体験とその教訓を踏まえて、聞き手が「語り部の立場になったとき、どんな危険が考えられるか」「自分なら今後どう防災に取り組んでいくか」を考えようというものだ……

《関東大震災から99年》わが国災害史上最悪の教訓

 1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災から、この9月1日は99年となる。来年2023年9月1日には100周年を迎え、多くの周年記念イベントや教訓をめぐる論考がメディアをにぎわすと思われるが、本紙はそれに先立ち、創刊12年号ということもあって、もうひとつの視点から関東大震災を取り上げたい。  2008年3月に公表された中央防災会議・災害教訓の継承に関する専門調査会報告書『1923 関東大震災』は、近代から現代に至るわが国の災害教訓としてもっとも重要な報告書のひとつだと言えるだろう。本紙はこれまで何度か関東大震災を取り上げてきたが、なかでも報告書が特記事項のひとつに挙げた「流言による被害の拡大」という側面は、現代日本にとっても同時代の教訓として永続的に記憶・記録・内容を更新し続けなければならない“トゲ”になり得る……

東日本大震災 災害教訓の伝承施設への旅

 宮城県南三陸町に震災伝承ラーニング施設「南三陸311メモリアル」が、2022年10月1日、開館する。これを機に、東日本大震災の災害教訓伝承施設を“おさらい”したい。  「南三陸311メモリアル」ではそのオープンに先立ち、8月10日から日時指定の予約が可能なオンラインチケットの販売が始まっている。チケットが不要のフリースペースとチケット購入が必要な展示ギャラリー、アートゾーン、ラーニングシアターがある……

原発事故で国 免責 ⇒ 災害検証を考える

 東京電力福島第1原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁第2小法廷は去る6月17日、初めて国の責任を認めない判決を言い渡した。「現実の地震・津波は想定よりはるかに大規模で、防潮堤を設置させても事故は防げなかった」と判断したもので、裁判官4人のうち3人の多数意見。1人は国の責任を認める反対意見を述べた……

首都直下地震 想定シナリオに想像力で備える

 東京都は首都直下地震などによる被害想定を10年ぶりに見直し、「首都直下地震等による東京の被害想定」として去る5月25日公表した。東日本大震災を教訓として2012年に策定した「首都直下地震等による東京の被害想定」と、2013年策定の「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定」の見直しで、東京都防災会議(会長・小池百合子知事)の地震部会(部会長:平田 直・東京大学名誉教授)で検討を進めてきた……

日本海溝・千島海溝巨大地震の最悪想定に備える

 中央防災会議は「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」を2015年2月に設置、最大クラスの震度分布・津波高等の推計結果を2020年4月に公表した(岩手県の浸水想定については同年9月11日に公表)。この震度分布・津波高などに基づき被害想定と防災対策を検討するために、2020年4月に「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」が設置され、同ワーキンググループは昨年(2021年)末の12月21日、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定を公表した……

千島海溝は活きている〜道の巨大津波想定

 北海道が「北海道太平洋沿岸の津波浸水想定」を去る7月19日公表した。これを機に本号特別企画はあえてその概要紹介とする。  あえてというのは、本紙は前号のコラムで「アラスカ半島でM8.2の地震 “ビッグ・リマインダー!”…(チリ地震津波、元禄津波の想起)」と題して「遠地津波」(チリ地震津波、元禄津波)への警告を発したように、また本紙企画のやや古い引用だが、2018年1月1日号(No. 177)では「雪氷津波 千島海溝“超巨大地震 切迫”――厳冬期の津波が現実的課題に」を取り上げたように――北海道太平洋沿岸の津波想定を(” 警告の)リマインダー”としたいからだ……

東日本大震災から10年 “あの日”にワープする

 本紙は2010年9月1日(防災の日)に創刊した。月2回発行で、その第14号(2011年3月1日号)の発行準備中の3月11日に東日本大震災が発災した。急遽、全面的な編集企画の変更を迫られて、文字通り不眠不休・必死で3月15日号(8ページ建て)の発行に漕ぎつけ、さらに「号外」として2つの別冊(各4ページ/8ページ建て)を発行した。  その後、しばらくは、当然のことながら、東日本大震災関連特別企画を打つことになったが、それらの編集企画を貫いたコンセプトは、まさに本紙巻頭図版にある国道標識「津波浸水想定、ここまで」の足元に流れ着いた家屋の映像に象徴された……

デジャヴ(既視感)としての福島県沖地震

 東日本大震災10年の周年をひと月先に控える2月13日午後11時過ぎ、福島県沖を震源とする最大震度6強の海溝型地震が起こった。大震災被災地はもとより、北海道から中国地方までも揺らしたこの地震は、日本に住むすべての人びとの脳裏を、あの日の悪夢の“デジャヴ(既視感)”で揺すった。この10年、たびたび起こる東北地方太平洋沖地震の余震のなかでも最大規模の地震は、大震災からの復興途上、“災中”にある被災地を揺るがしたうえに、すべての人びとに、次の大地震――さらなる日本海溝沿いの巨大地震、さらには南海トラフ巨大地震、首都直下地震をはじめ、不意の内陸活断層地震など、低頻度大規模災害の“高頻度”での発生可能性を予感させた……