気象業務「シングルボイス」と民間情報の相克

 早稲田大学理工学術院の関根正人教授をはじめとする東京大学、リモート・センシング技術センターなどの研究グループは去る9月6日、2019年に開発し、社会実装に向けて準備を進めてきた東京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予測するシステム「S-uiPS」(スイプス。Sekine’s urban inundation Prediction System)を、本年9月下旬から一般公開すると発表。一般公開に先立ち、ユーザーを限定した3週間ほどの先行公開期間を設けることとし、防災の日である同9月1日より開始した……

22 秋の大規模災害への備え – 訓練と啓発と

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波災害を教訓として、同年6月に津波対策を総合的に推進することを目的とした「津波対策の推進に関する法律」が制定され、その中で、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるために、11月5日を「津波防災の日」とすることが定められた。  11月5日(旧暦)は、安政元年(1854年)に、「稲むらの火」のモデルとなった安政南海地震が発生した日で、さらに、2015年の国連総会では11月5日を「世界津波の日」とすることが採択され、津波防災の新たな取組みが国際的に始まっている……

「RISCON2022」リポート & 予告「東京国際消防展2023」

 危機管理をテーマにした総合トレードショー「危機管理産業展 2022(RISCON TOKYO 2022/SEECAT‘22)」が、10月5日から7日の3日間、東京ビッグサイト西1・2ホールで開催された(主催:株式会社東京ビッグサイト、特別協力:東京都)。同展は危機管理分野を横断的に網羅した国内唯一・最大級の「危機管理総合トレードショー」として2005年から毎年開催、今回が18回目で、国・地方自治体、重要インフラや商業施設、学校・病院、製造業など、多様な業界・業態の垣根を超えて、質の高い危機管理情報の交流・交換・商談の場となっている……

「30by30」~持続可能な環境を次世代につなぐ

 ヨーロッパ西部を中心に、7月上旬から顕著な高温が続いた。スペイン南部のコルドバで、7月12日、13日に最高気温43.6℃、フランス南部のトゥールーズでは、7月17日に最高気温39.4℃を観測したという。また、イギリス東部のコニングスビーでは、7月19日に暫定値で最高気温40.3℃を記録(イギリス気象局)、2019年7月25日にイギリス南東部ケンブリッジで観測されたイギリスにおける最高気温の記録(38.7℃)を更新した。そして、スペイン、ポルトガル、フランス、また中国も熱波に襲われ、米国でもヨセミテ公園で熱波・乾燥による大規模な山火事が発生したと報じられている……

インフラリスク 予防保全で最悪事態回避

 近年、いわゆる“インフラ”老朽化が大きな社会課題となっている。象徴的には、2012年の笹子トンネル天井板崩落事故や、2021年和歌山県紀の川に架かる水道橋崩落事故などの大きな事故があった。また、21年10月7日に首都圏で震度5強の揺れを観測した地震では、千葉県市原市の養老川にかかる水管橋の送水管から一時激しく水が噴き出した。管の継ぎ目部分で止水ゴムを固定するボルト6本が経年劣化で腐食しており、うち1本が地震で破断したためだった……

助ける・助けられる防災、そして「助かる防災」

 NHKニュースは去る6月3日、出水期を迎え、気象庁による線状降水帯予報が始まることにあわせ、「浸水リスク地域で増える住宅~一体何が…」という特集記事を打った。この特集は、毎年水害による犠牲者が出ている日本で、浸水リスクがある地域で人口が増えているというもので、背景に、農地が宅地に変わるなかで自治体による「規制緩和」があるというものだ。つまり、かつては水田が広がっていた地域に、いまは全国各地で多くの住宅が建ち並んでいるが、そうした地域の多くは「市街化調整区域」と呼ばれる場所だ……

新しい資本主義と「防災社会主義」

 災害対策として、地震については、歴史的に繰り返される南海トラフ地震や千島海溝・日本海溝地震などの主な海溝型地震については、国による(最悪の)被害想定が公表されている。内陸活断大地震はいつ起こるかわからないものの、大都市直下で起こる場合の影響の大きさから、首都直下地震や中部圏・近畿圏直下地震などについては発生確率や被害想定が公表されている。また原発立地周辺では直下の断層の有無など、現時点での最先端技術をもって精緻に調査されている……

福祉防災 -3- 災害派遣福祉チームを知る

 広域大規模災害が想定されるわが国で、平時のいまこそ、被災者支援制度を拡充させる機会である。その認識のもと本紙は、”フェーズフリー福祉防災”構築のキーワードとして、本年3月1日号(No. 277)で『フェーズフリー福祉防災 ~福祉なくして防災なし~』として第1弾「個別避難支援計画(災害時ケアプラン)」の普及促進を取り上げ、その全国展開を図る立木(たつき)茂雄氏インタビューを特集、読者から大きな反響をいただいた。そして第2弾として、4月15日号(No. 280)で、被災者の個別支援によって生活再建につなげる取組み「災害ケースマネジメント(DCM)」に焦点を当てた。本号ではさらに第3弾として、「災害派遣福祉チーム」(*DWAT/DCAT)を取り上げる……

揺れる日本地殻変動帯列島

 2011年3月11日の東日本大震災から11年の周年を経た3月16日23時36分頃、福島県沖の地震(M7.3)が発生した。宮城県登米市・蔵王町、福島県の国見町・相馬市・南相馬市の5市町村で最大震度6強を観測したほか、北海道から九州地方にかけて震度6弱~1を観測した(気象庁発表)。  気象庁は、この地震の発生後、震度4を観測した地震が1回発生したほか震度1以上を観測した地震が複数回発生、またこの地震発生の約2分前にも地震(M不明)が発生していたとした……

「ICT x センサー」=デジタルテクノ防災

 ICT(情報通信技術)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、A(I 人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)……さらにはメタバース(3次元仮想空間)などなど、最先端デジタルテクノロジーの急進展ぶりに目を見張る。かつてSFの世界で空想された“テクノロジー”がいま、次つぎと現実化しつつあり、防災分野でもその活用が目立ってきた……

防災地下神殿に“詣でる” 防災インフラツーリズム

 埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」と言えば、首都圏を水害から守る日本が世界に誇る防災施設で、インフラツーリズムの一拠点としても注目されている。その基幹施設のひとつである「調圧水槽」は、地下空間に巨大な柱が59本立ち並ぶ神殿を思わせ、「防災地下神殿」の異名でも知られ、映画のロケ地としても活用されるなど人気を博している。  「防災地下神殿」の威容は写真等で見た人も多いだろう。また、防災関係者ですでに見学に訪れた向きは少なくないだろう。ただ、同施設は埼玉県・春日部駅から車で約20分の場所に位置しているものの、公共交通機関で訪れるにはアクセスに課題があった。それがぐんと便利になりそうだ……

「災害時応援協定」と防災士

 「災害時応援協定」という言葉をよく聞く。一般的には、阪神・淡路大震災や東日本大震災大規模災害のような大規模な災害が発生したとき、いわゆる「公助」による対応には限界があることから、自治体が被災自治体となることを事前に想定して、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動などの各種応急復旧活動について、民間事業者や関係機関・団体との間で応援協定を締結し、応急復旧活動にあたろうというものだ……

都市特性と災害リスク

 わが国では近年、気候変動・温暖化の影響とみられる災害多発を受けて、国が災害対策の根幹に浸水や土砂災害など災害リスクの大きい地域からの住まいの移転誘導策を強化している。これにともない不動産開発、新築住宅市場などにおいて、ハザードマップの検索機能を組み込むようになってきた。  このように都市の災害リスク、あるいは自然災害に強いまちなどの話題やランキングが人びとの耳目を集めている。以下、その具体例をいくつかあげてみよう……

「防災強靭化 新時代」への提言公表

 国は2014年6月、「国土強靱化基本計画」を閣議決定し、国家のリスクマネジメントとしての“強くてしなやかな国”づくりに乗り出した。国土強靭化という日本語には、ハード面の印象が強いが、英語の「ナショナル・レジリエンス(回復力)」も併記し、さらに副題として「強くしなやか」を書き込んで、防災・減災のソフト面も補充した。そして、国民の安全・安心な生活、それを実現する人の力を創り、国民の命と財産を守るとした……

東京都の「日常備蓄」キャンペーン

 東京都は2015年5月末から、首都直下地震をはじめとする自然災害の発生に備えて、各家庭での食料品や生活必需品の備え、企業の備蓄の重要性を知り、具体的な実践につなげようと「都民の備蓄推進プロジェクト」を開始した。これにともない、11月19日を「備蓄の日」――ゴロ合わせで、「1」年に「1」度(11月)は「びち(1)く(9)」――として、各家庭での備蓄状況を確認してもらうための日とした。"ムリクリ"の語呂合わせではあるが、逆にそれをネタに話題にしてもらう効果を狙ったのかもしれない……