震災伝承団体の「継続不安」を考える

 震災伝承活動の支援を行う公益社団法人3.11メモリアルネットワークは、東日本大震災の伝承活動の現状と課題の共有、防災・減災活動の活性化を目的として毎年調査を行っており、「2023年震災伝承伝承調査 第2弾」の結果を先ごろ公開した。3.11メモリアルネットワークは、宮城県石巻市から始まり、被災3県をつなぐ広域の連携を視野に、草の根から始まった民間伝承の担い手自身の手で、震災伝承を支える体制づくりをめざして活動している……

災害食の事典+災害食ISO=防災イノベーション

 一般社団法人日本災害食学会が監修する『災害食の事典』が、去る9月1日(防災の日)に朝倉書店から刊行された。災害に備えた食品の備蓄や利用、栄養等に関する知見を幅広い観点から解説したもので、供給・支援体制の整備、事例に基づく効果的な品目選定、高齢者など要配慮者への対応など、国・自治体・個人の各主体が平時に確認しておきたいテーマを網羅している……

関東大震災100年 「復興デジタルアーカイブ」

 本年は1923(大正12)年に発生した関東大震災から100年の節目。本紙も通年で「関東大震災100年」企画をいろいろ打ち出してきた。本号ではその一環として、このほど東京都が公開した東京都「復興デジタルアーカイブ」を紹介するとともに、本紙提携紙「WEB防災情報新聞」より、山田征男氏(防災情報新聞特別編集委員)執筆・とりまとめによる「関東大震災100年特集/『周年災害』がひも解く大震災と防災/震災後の防災」から、「世界初の耐震基準登場」の背景について、記事を引用・転載してみる……

関東大地震の揺れを“読んで”追体験する

 本年は関東大震災から100年の年で、発災日である9月1日周辺は言うに及ばず、1年を通じて防災啓発イベントが盛りだくさんだ。そこで本紙が今号で試みるのは、やや異色の切り口――発災当時の著名人(文人、知識人、有名人、政治家など)による記録に残る「揺れ体験記」の数例だ。現代、私たちは地震防災科学の成果で、起震車で関東大震災(大正関東地震)の揺れそのものを“疑似体験”できるのだが、当時の著名人による大震災の分析・評価・論考とはひと味異なり、地震という圧倒的な自然の不条理に遭遇した生身の人間の恐怖体験を取り上げようというものである……

防災白書発行60年を振り返り 関東大震災100年を総括する

 「2023(令和5)年版防災白書」が去る6月16日、閣議決定・公表された。2023年は、1923(大正12)年関東大震災から100年の節目の年に当たる。白書は、この100年の災害対策の充実・強化の経緯や、わが国を取り巻く様々な環境の変化を俯瞰することは、今後の災害対策の大きな方向性を考えるうえで有意義であるとし、「特集1」とて、「関東大震災と日本の災害対策」をテーマに取り上げている(「特集2」は「2022年度に発生した主な災害について」)……

5月は「水防月間」〜流域治水の「自分ごと化」を~

 国土交通省では毎年5月(北海道は6月)を「水防月間」と定めている。気候変動の影響により頻発・激甚化する自然災害に対し、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して治水対策に取り組む「流域治水」の実効性を高める重要な取組みの一つとなる。また、出水期=梅雨や台風の時期を迎えるにあたり、国民一人ひとりが水防の意義と重要性について理解を深められるよう、防災・減災の取組みの一環としてこの期間、全国各地域で総合水防演習などの水防訓練や水防団などと河川管理者による共同巡視ほか、様々な取組みが行われる……

子どもの「自助防災」

 5年ほど前、NTT東日本による調査結果(2017年12月)から、公衆電話を使った経験のない小学生が8割を超えることが明らかになり、社会的な話題となった。公衆電話は、停電や災害などの緊急時に重要な通信手段となるが、携帯電話やスマートフォンの普及により、利用機会や設置台数は減少傾向にある。子どもが公衆電話の使い方を知らない――子どもが登下校時、公園に遊びに出かけた先で、あるいは留守番時に大きな災害や危険状況に遭遇したら、親・保護者にどのようにして助けを求めるのか……