高齢化時代の”重くて深い課題”―「克雪」

雪害は等しく国民的災害 「克雪」の共助を高めたい

コロナ禍で除雪ボランティアが思うように動けない
――豪雪地帯を超えた「共助・公助」が問われる

●コロナ禍のさなか、「克雪」がさらなる大きな課題に

 年が明けての1月11日夜から14日夜まで、冬型の気圧配置は72時間に及び、予想される積雪の増加量は、北日本や北陸の山沿いで1mを大きく上回り、2m近くに達する所があるとの直近の予報が出ている。また、北海道は石狩湾から札幌市内、千歳方面へ雪雲が広がりやすい北よりの風となり、札幌市の中心部でも30~50cmの積雪が予想され、新千歳空港への影響が懸念される。長い所では丸3日間にわたって断続的に雪が降り続くため、万全の備えが必要だ(1月14日午後3時現在)。

 すでに平年を上回る積雪になっている所もあるが、大雪や猛ふぶき、吹きだまりによる交通障害や路面状況の悪化、着雪、なだれなどに注意、警戒が必要。また、大気の状態が不安定なため、落雷や突風などにもあわせて注意が必要だ。

気象庁「今後の雪(降雪短時間予報)」より(2022年1月14日14時現在)
気象庁「今後の雪(降雪短時間予報)」より(2022年1月14日14時現在)
防災科学技術研究所:「雪おろシグナル」より(2022年1月14日6時現在)
防災科学技術研究所:「雪おろシグナル」より(2022年1月14日6時現在)

 気象庁は昨年(2021年)11月10日から、「積雪の深さと降雪量の6時間先までの予報」を開始している。これは、気象庁HPで、現在までの雪の状況を分布として提供するコンテンツである「現在の雪」にこの予報を加え「今後の雪」へとリニューアルしたもので、これにより、24時間前から6時間先までの雪の分布を一体的に確認することができる。

気象庁:積雪の深さと降雪量の6時間先までの予報

気象庁:今後の雪(降雪短時間予報)

北海道開発局サイトでは山間部の積雪・道路状況を定点カメラで見られる「峠地図」を作成
北海道開発局サイトでは山間部の積雪・道路状況を定点カメラで見られる「峠地図」を作成

 この背景としては、2018年1月の首都圏や同年2月の北陸地方での大雪、2020年12月の関東地方や北陸・東北地方の山地を中心とした大雪など、近年、集中的・記録的な降雪により、大規模な車両渋滞や滞留を引き起こすなど社会活動への影響が問題となったことがある。
 気象庁では、道路管理者の通行規制や除雪体制の判断、事業者や国民が利用する交通経路の判断の支援を目的に、2020年11月から気象庁HPで「現在の雪」の運用を開始、積雪の深さと降雪量の24時間前から現在までの状況について面的な分布情報の提供を行ってきた。これらに加えて昨年11月10日から、積雪の深さと降雪量について1時間ごとに約5km格子で6時間先までの予報を開始したものだ。
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雪害は国民的災害、「克雪対策」を基礎知識として身につけて
“滑らない一歩”を踏み出そう

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 国土交通省によると、「豪雪地帯」として532市町村、「特別豪雪地帯」として201市町村が指定されていて、豪雪地帯の面積は全国の51%、特別豪雪地帯の面積は全国の20%を、また豪雪地帯の人口は全国の15%、特別豪雪地帯の人口は全国の2%を占める。
 豪雪地帯に対する支援策としては、雪に強い居住環境を整備する「克雪住宅」(屋根の落雪や融雪、耐雪対策を講じた住宅)への助成や除排雪対策経費としての特別交付税の交付、道路除排雪、除雪、防雪、凍雪害防止事業費用の特例措置などがある。

豪雪地帯の指定地域図(国土交通省資料より)
豪雪地帯の指定地域図(国土交通省資料より)

 コロナ禍で雪かきボランティアの手伝いが思うようにならないいま、公助による新しい試みが注目されている。雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援として、長野市では、「雪害救助員」が安心して雪下ろし作業ができるように、雪が積もる前に高齢者世帯などの住宅を現地調査し、支援が必要な世帯の住宅の情報を共有する「除雪住宅カルテ」(屋根の特徴、雪止めやハシゴの位置、注意点などを記録)を作成している。
 また、命綱アンカーの取付け金具を自ら開発し、これを設置した「命綱アンカー設置モデル住宅」を整備、ここを拠点に周知・提案を図るほか、雪害救助員を対象に、安全帯と命綱の重要性を伝えるための除雪安全講習会などを行っているという。

雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援として、長野市では、雪害救助員が安心して雪下ろし作業ができるように、雪が積もる前に高齢者世帯などの住宅を現地調査し、支援が必要な世帯の住宅の情報を共有する「除雪住宅カルテ」(屋根の特徴、雪止めやハシゴの位置、注意点などを記録)を作成している。また、命綱アンカーの取付け金具を自ら開発し、これを設置した「命綱アンカー設置モデル住宅」を整備、ここを拠点に周知・提案を図るほか、雪害救助員を対象に、安全帯と命綱の重要性を伝えるための除雪安全講習会などを行っている
雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援として、長野市では、雪害救助員が安心して雪下ろし作業ができるように、雪が積もる前に高齢者世帯などの住宅を現地調査し、支援が必要な世帯の住宅の情報を共有する「除雪住宅カルテ」(屋根の特徴、雪止めやハシゴの位置、注意点などを記録)を作成している。また、命綱アンカーの取付け金具を自ら開発し、これを設置した「命綱アンカー設置モデル住宅」を整備、ここを拠点に周知・提案を図るほか、雪害救助員を対象に、安全帯と命綱の重要性を伝えるための除雪安全講習会などを行っている

 改めて言うまでもなく、わが国は先進国のなかでもっとも降雪量が多い国のひとつであり、とくに日本列島の日本海側は、その緯度・標高からみて、世界でも稀な豪雪地帯である。それは豪雪地帯に住む人びとだけではなく、旅先で、その地を訪れるだれもがかかわる「災害」に通じる事象だ。
 注意すべきことは、雪害が起こるのは豪雪地帯に限らないということ。豪雪地帯の発電所や送電線あるいは鉄道、高速道路などに雪害トラブルが発生した場合には、連鎖的に都市部や非豪雪地帯にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。通常は降雪が少ない地方でもまれに降雪があると、交通機関の混乱や車のスリップ事故、歩行者の転倒事故などが起こる。雪害は国民的災害であり、降雪・積雪への基本的な防災対策は、基礎知識として身につけておかなければならない。

 わが国は地震・津波、台風、火山など自然災害が多発する“特異国”だが、雪害というもうひとつの災害特性にも注目しなければならない。雪害は台風と同じように、事前に降雪・積雪を“想定内”にし得る気象災害だが、現代の最先端科学技術をもってしても、いまだに有効な「克雪」対策はない。となれば、高齢化社会において、雪害もまた自然の猛威に「適応」して、うまく“かわす”ことで「犠牲者ゼロをめざす」ことになる。そこで、「雪害救助員」としての防災士の活躍も期待されるところだ。

 今冬もまた、雪下ろし作業や転倒事故が報じられている。下記、政府広報の「雪害では、どのような災害が起こるのか」――除雪中の事故/車による雪道での事故/歩行者の雪道での事故/雪のレジャーへの備え/雪崩による事故――などをもう一度見直し、「克雪」へのしっかりした一歩、“滑らない一歩”を踏み出したい。

政府広報:雪害では、どのような災害が起こるのか


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