「防災DX」はなにをめざすか

《 2023特別構成 第2弾: 防災DX ―防災・減災をめざす変革 》

国をあげて推進する「DX」―「防災DX」はなにをめざすか

国は「Society 5.0」を、デジタル庁は「防災DX」をうたう
―21世紀型災害対策を展望する

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●防災DX―「DX」とはなに?
 デジタル、ITCとは異なる その“統合”としてのDX
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 「DX」という言葉を最近よく耳にする。これは「デジタルトランスフォーメーション」のことだ。英語のDigital Transformationは「X-formation」と表記されることから、頭文字を取ってDXと略されるようになった。
 わが国で「DX」という用語の本格的デビューは、経済産業省が2018年、日本企業もデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)を進めるべきであるとして、「DX推進ガイドライン」を公開したことに始まる。経済産業省はガイドラインの中で、DXを「変化するビジネス環境に対応するためにIT技術を活用して業務改革を行い、競争力を高めるもの」として推奨し、DXへの注目度が一挙に高まった。

 いっぽう近年、IT化、ITC化も盛んに喧伝されてきたが、DXは、IT(情報技術)、ITC(情報通信技術)化とは意味が異なる。
 IT化とはIT技術を取り入れるというだけの意味で、DXは「ITによって業務や生活を改革する」という意味を持つからだ。DXはもともと「IT技術の進化によって人びとの生活をよりよく変化させる」という考え方として提唱されたという。つまり、IT化はあくまで技術的な装置であり、いっぽうDXは経営・ビジネス環境、さらに言えば人びとの生活の向上のための経済・生活環境の創造をめざすものだ。

上図は、防災科研の「防災クロスビュー(bosaiXview)『首都圏における面的推定震度分布』より『2021年10月7日 千葉県北西部を震源とする地震(M5.9)』。「防災クロスビュー」は、平時は過去の記録や現在の観測、未来の災害リスク、災害時は発生状況、進行状況、復旧状況、関連する過去の災害、二次災害発生リスクなどの災害情報を重ね合わせて(クロスさせて)災害を見通し(view)、予防・対応・回復の局面で活用できるシステムをめざす(画像クリックで同サイトへリンク)
上図は、防災科研の「防災クロスビュー(bosaiXview)『首都圏における面的推定震度分布』より『2021年10月7日 千葉県北西部を震源とする地震(M5.9)』。「防災クロスビュー」は、平時は過去の記録や現在の観測、未来の災害リスク、災害時は発生状況、進行状況、復旧状況、関連する過去の災害、二次災害発生リスクなどの災害情報を重ね合わせて(クロスさせて)災害を見通し(view)、予防・対応・回復の局面で活用できるシステムをめざす(画像クリックで同サイトへリンク)

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●防災DX―豊かな国民生活の実現が目的
 迅速かつ効果的な災害対応に向けて
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 岸田文雄政権は「新しい資本主義」を政策理念に掲げ、重点投資分野として「科学技術・イノベーション」、「田園都市国家構想」、「カーボンニュートラル」、「人への投資」などをあげている。このうち「カーボンニュートラル」ではクリーンエネルギーが中心となる脱炭素に向けた経済、社会、産業構造改革として「GX(グリーントランスフォーメーション)」を実行していくとしている。
 DXに続く新語としての「GX」だが、GXについて際立つのは政権の原発回帰への前のめり方針で、GXのGは”原発”のGだとの揶揄も聞かれる。本紙はGXについて、原発回帰問題と合わせて、近刊号で取り上げる予定だ。

デジタル庁ロゴより
デジタル庁ロゴより

 本題に戻って本号では、「防災DX」を取り上げる。2021年9月1日(「防災の日」!)に発足したデジタル庁は、その組織説明として「デジタル社会形成の司令塔として未来志向のDXを推進し、国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じてすべての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく取組みを進める」としている。
 経済産業省が日本企業に向けて「DX」定義付けをしたのに対して、デジタル庁は社会全体を対象として「DX」の推進を位置づけている。

日本のデジタル化推進に向け、社会全体でデジタルについて定期的に振り返り、体験し、見直す機会として2021年から「デジタルの日」が創設された。創設初年度は、10月10日、11日に「2021年デジタルの日」を実施。2022年以降は「毎年10月の第1日曜日・月曜日を「デジタルの日」、「毎年10月をデジタル月間」としている
日本のデジタル化推進に向け、社会全体でデジタルについて定期的に振り返り、体験し、見直す機会として2021年から「デジタルの日」が創設された。創設初年度は、10月10日、11日に「2021年デジタルの日」を実施。2022年以降は「毎年10月の第1日曜日・月曜日を「デジタルの日」、「毎年10月をデジタル月間」としている

 デジタル庁はそのサイトに「防災DX」の項目を設け、その目的を「生活に密接に関連し国による関与が大きく他の民間分野への波及効果が大きい準公共分野(防災)のデジタル化を進め、データの連携と活用のための整備に取り組む。これにより個人のニーズに応じた最適なサービスが提供される豊かな国民生活を実現する」としている。
 まさに「DX」の本来の目的である「IT技術の進化によって人びとの生活をよりよく変化させる」を反映した防災・減災に向けた組織運営方針を打ち出しているのだ。

 「防災DX」の説明ではさらに、「近年、わが国においては豪雨災害が頻発化・激甚化しているほか、南海トラフ・首都直下地震等の大規模災害の発生も予想されており、被害の防止・軽減を図るため、効率的・効果的な災害対応を一層促進していく必要がある。現在でも紙などでやりとりされている防災情報のデータ化、関係機関の間でのデータ連携の促進による災害対応のデジタル化を通じて、迅速かつ効果的な災害対応を実現する。
 加えて、SNSや衛星画像等から得られたビッグデータのAI解析などの新技術の導入・活用促進により、例えば、道路通行止め情報や避難場所の状況など、災害発生後に国民が得ることができる情報の充実・利活用の促進を図り、早めの避難や、避難後の生活改善等につなげていく。デジタル庁では、防災業務を担う関係省庁等と連携を図り、デジタルを活用し、防災・減災対策の推進に努めていく」としている。

 そしてデジタル庁では、防災情報のデータ連携を実現するためのプラットフォームの構築に向け、内閣府、国立研究開発法人防災科学技術研究所等と連携し、関係省庁や自治体の防災情報の運用実態を把握するとともに、防災関係者間で共有すべき基本情報等について検討を進めているのだ。

デジタル庁ホーム「防災DX」

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