千島海溝は活きている〜道の巨大津波想定

 北海道が「北海道太平洋沿岸の津波浸水想定」を去る7月19日公表した。これを機に本号特別企画はあえてその概要紹介とする。  あえてというのは、本紙は前号のコラムで「アラスカ半島でM8.2の地震 “ビッグ・リマインダー!”…(チリ地震津波、元禄津波の想起)」と題して「遠地津波」(チリ地震津波、元禄津波)への警告を発したように、また本紙企画のやや古い引用だが、2018年1月1日号(No. 177)では「雪氷津波 千島海溝“超巨大地震 切迫”――厳冬期の津波が現実的課題に」を取り上げたように――北海道太平洋沿岸の津波想定を(” 警告の)リマインダー”としたいからだ……

「気候変動」のいま

 直近の報道に北海道が7月31日で8日間連続の猛暑日となったとある。滝上町で36.5℃のほか、道内9地点で35℃以上となり、大気の状態も不安定で、上川地方には大雨や洪水警報が出たという。北海道の8月は雨季とも言え、近年、水害が多発しているという分析もある。なにかおかしくはないか――気候変動、地球温暖化傾向が明らかになりつつあることは否定しようもないが、いよいよ目に見えるかたちで“温暖化というゆるい名”の超巨大災害が“襲来”し始めたということか……

熱海土石流 盛り土×土石流危険渓流

 7月3日午前、静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で大規模な土砂崩れが発生し、約130軒の住宅や車が土砂に流され、土石流は相模湾にまで達した。これまでに11人の死亡が確認され(7月14日現在)、まだ17人の安否が分かっていないという。被害を受けたまち(住宅など)は、「土石流危険渓流」(本紙P. 4参照)沿いにあった――  土石流は断続的に発生し、標高400mの起点から約2kmにわたり流れ下ったとされる。土砂は約5万5500立方mにのぼると推定。流れ落ちた土石流のほとんどが、起点付近の盛り土だった可能性があるとして検証が進められている……

防災テック:地下3次元地図 & 衛星防災・被害予測

 国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)地質情報研究部門の研究グループ(中澤 努・研究グループ長)が、東京都心部の地下数十メートルまでの地質構造を3次元で立体的に見ることができる次世代地質図「3次元地質地盤図~東京23区版~」を完成させ、去る5月21日から、ウェブ上で公開している……

「防災強靭化 新時代」への提言公表

 国は2014年6月、「国土強靱化基本計画」を閣議決定し、国家のリスクマネジメントとしての“強くてしなやかな国”づくりに乗り出した。国土強靭化という日本語には、ハード面の印象が強いが、英語の「ナショナル・レジリエンス(回復力)」も併記し、さらに副題として「強くしなやか」を書き込んで、防災・減災のソフト面も補充した。そして、国民の安全・安心な生活、それを実現する人の力を創り、国民の命と財産を守るとした……

出水期に新設予定!『防災用語ウェブサイト』

 今年もいよいよ出水期を迎える。今期は西日本を中心に、記録的な早さで梅雨入りが進んだ。沖縄と奄美は平年より1週間ほど早く5月5日に梅雨入りした。九州南部は史上2番目の早さで5月11日に梅雨入り、15日、16日には九州北部から東海にかけて相次いで梅雨入りした。いずれも平年より20~22日早く、近畿と四国は梅雨入り発表史上でもっとも早く、九州北部、九州南部、中国、東海は2番目の早さだったという。  関東甲信でもこの時期、梅雨本番のような曇天と蒸し暑さが続いて梅雨入りかと思われたが、その後は好天となり、5月末日現在、“持ち直した感”がある……

自然災害に備える“防災3WG”、活動中

 本紙は本年1月15日号(No. 250)で、近年の激甚化・頻発化する自然災害に対応するためとして国が新たに立ち上げた有識者を中心とする3つのワーキンググループ(以下「WG」)を取り上げ、その構成委員を主に紹介した。3つのWGとは、「デジタル防災技術WG」(「未来構想チーム」と「社会実装チーム」の2チーム)と「事前防災・複合災害WG」、「防災教育・周知啓発WG」(「防災教育チーム」と「災害ボランティアチーム」)である……