女性主導の防災推進―協働の輪広がれ

改めて、“初期設定”は男女協働防災。
ことさら「女性視点」は裏・男性視点

地方防災会議、自主防災の運営幹部会などの男性偏在の実態は、
”あるべき防災”ではあり得ない

【 女性主宰の防災啓発・防災力向上活動が目立ってきた… 】

●“初期設定”は男女協働防災 女性主宰の防災活動の輪に男性も加わろう

 本紙はこれまで男女共同参画の趣旨に基いて、防災分野での女性参画を多角的に取り上げてきた。その際の本紙の視点は、本年1月15日号(No. 250)巻頭企画で「ことさら『女性視点』は変、男女協働防災が“初期設定”」としたように、女性を防災施策・方針決定の“主体”としてカウントしているか、女性を(男性と同レベルで)防災・復興の「主体的な担い手」としているかにある。

《Bosai Plus》2021年1月15日号(No. 250):女性視点 ”初期設定”に男女協働を

 これまで、避難所運営の改善などで唱えられた「女性視点の防災」はややもすれば、男性視点での女性視点であり、自主防災組織で男性たちが“あえて”女性を起用するのは女性視点に名を借りた男性采配の裏返しではないのか、という問題提起――本来、防災は(も)「男女協働」であって、女性の属性に基づく「女性視点」(例えば女性専用更衣室や授乳室の必要の指摘など)ではなく、防災施策・方針決定などについて全般的な発言力を認めること、「男女を問わない視点」での「女性参画」が出発点にあるべき――ということである。

 その意味でも、都道府県防災会議をはじめ自主防災の運営幹部会などに女性が少ない、男性偏在の実態は、”あるべき防災”ではあり得ない。逆説的だが、いわゆる「女性視点での防災」を超えてこそ、地域防災力の源泉があると言えるのだ。

 そこで、本紙情報収集活動のなかで、ニュース性を帯びつつ女性が主宰する防災関連組織の立ち上げ・活動情報が目立ってきたところから、そのうちの3例を紹介したい。

●「百年防災」――日本人が生み出した防災の知恵を世界につなげる

 株式会社百年防災社(東京都葛飾区、代表取締役社長:葛西優香)は、葛飾区として初めてとなる受援訓練を、去る3月20日、「オンライン」で実施した。「受援訓練」は被災した避難所で、物資の配給、ボランティアの派遣、応援自治体からの職員派遣など、多様な支援を「受ける側」として対応を学ぶ訓練。参加者は、葛飾区危機管理課職員のほか、20名を超える東新小岩地区を中心とした葛飾区民。また、スタッフとして、地元東京理科大学(大学院)の学生はじめ、中央大学や法政大学、一橋大学のインターン生などが会場の運営を支えた。

 コロナ禍のさなかとあってオンラインでの受援訓練を主催したのは百年防災社の葛西優香社長。ホームページにあるプロフィールによれば、防災士であり、UR防災専門家、法政大学多摩共生社会研究所特任研究員、コミュニティデザイナーとある。葛西さんは小学2年のときの阪神・淡路大震災での被災を原体験として、JR福知山線脱線事故、そして東日本大震災を身近に経験、自助・共助・公助の防災の志を抱き、2016年12月に防災士資格を取得したという。防災FM局(葛飾エフエム放送)での放送業務を通じて防災活動と地域コミュニティに関わり、2020年春に「百年防災社」を立ち上げた。

「百年防災社」HPより、オンライン受援訓練の様子、左下が主宰者・葛西優香さん(同HPより)
「百年防災社」HPより、オンライン受援訓練の様子、左下が主宰者・葛西優香さん(同HPより)

 「百年いやもっと前の先人たちの知識を学び、続け・進化させ、そして百年、いやもっと先まで防災の知恵を伝え、双方向での対話を享受していき、日本人が生み出した知恵を世界につなげる」――その理念が「百年防災」の名に象徴されているという。
 百年防災社の場合、受援訓練をはじめ、地区防災計画づくりなど、いわゆる“女性目線”を超えた地平で地域防災力向上をめざしているところに女性主宰の新味がある。

百年防災社

●「日本食育防災士」を育成する主宰者は、食育スペシャリスト

 「日本食育防災士」育成プログラムを運営する「日本食育HEDカレッジ」(代表理事:中村詩織)が、開校記念に食育バーベキューイベントを去る4月11日、開催した。「日本食育防災士」とは、「災害時に、人が生き延びるための災害知識と、生きる上で一番必要な食の知識を兼ね備え、冷静な対応と判断ができる災害時の食のリーダー」とある。

 東京都江東区のダイバーシティ東京プラザ・屋上「都会の農園バーベキュー広場」で行われたバーベキューイベントには、同カレッジ研修第1期生の現役力士・田子丸(たごまる/田子ノ浦部屋)さんほか1名に、「日本食育防災士」の卒業認定が授与された。また、卒業認定の実技として、田子丸さんらが一般参加者を前に、防災食育に役立つBBQ方法を披露、ダンボール50食分のアルファ米で握ったわかめおにぎりをふるまった。

「日本食育防災士」育成プログラムを運営する「日本食育HEDカレッジ」HPより。上写真は研修を受ける田子丸さん、下写真が中村詩織さん
「日本食育防災士」育成プログラムを運営する「日本食育HEDカレッジ」HPより。上写真は研修を受ける田子丸さん、下写真が中村詩織さん

 東京都江戸川区にある田子ノ浦部屋では、集団生活する上で必要な食糧備蓄・防災用品の補充(ローリングストック)など、災害対策に力を入れているという。同部屋所属の田子丸さんは、食育防災士・1期生として、防災と食育に対する知識を高めてきた。
 主宰者の中村詩織代表は、食育スペシャリストの資格を持ち、農林水産省やJAグループなどで食育についての講演や、食品メーカーでの商品企画、飲食店のメニュー開発など、食育の観点からのアドバイス活動を行っている。

日本食育HEDカレッジ

●「オンライン防災」で交流の輪を広げる女性防災士

 本紙が本年2月1日号(No. 251)で、「女性防災士が提案するオンライン防災交流・発信」の見出しのコラムで紹介した被災地メンバーによるFacebookグループ「オンライン防災」(団体名/仙台市拠点)の主宰者・黒田典子さんは、2007年に防災士資格を取得、NPO日本防災士会支部であるNPO防災士会みやぎに所属して活動している。

「オンライン防災」の主宰者・黒田典子さん(同HPより)
「オンライン防災」の主宰者・黒田典子さん(同HPより)

 東日本大震災後に仲間とともに減災絵本「リオン」を製作して読み聞かせ活動を行い、2015年の第3回国連防災世界会議(仙台市)では「幼児期対象の防災減災教育の実践」と題して成果発表も行った。、防災士としての活動・行動力は高く評価されている。

オンライン防災

〈2021. 04. 01. by Bosai Plus

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