BOSAI+ TWEETS & TIPS


防災100年えほんプロジェクト


■《Bosai Plus》 No. 296/2022年12月15日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●本号は、2022年の最終号です。

 暑い、暑いと言っていた今夏ものど元過ぎて、秋が顔をのぞかせたかと思ったらいきなりぐんと冷え込む昨今の朝晩。日めくりカレンダーも薄く軽くなり、いよいよ(たちまち)歳の瀬となりました。

 本号は本年の最終号となります。この1年、ご愛読・ご支援、ありがとうございました。新しい年もよろしくお願い申し上げます。
 なお、次号・2023年1月1日号(No. 297)は1月4日発行となります。ご了承ください。

●防災・災害文化の構築に向けて、共振

 本号巻頭企画「防災100年えほん」プロジェクトの提唱者である河田惠昭・人と防災未来センター長は、防災界第一線の研究者であることはもとより、防災省創設に向けた論客でもあります。

 河田氏は人防(ひとぼう)設立時(2002年4月)から20年、同センター長ですが、実はこの年、防災士制度も産声を上げました。2002年3月、日本防災士機構NPO法人設立総会が開催され、設立時会長として貝原俊民・元兵庫県知事(故人、阪神・淡路大震災時の知事)が就任しています。
 貝原氏は人防創設に奔走し、河田氏にセンター長を委嘱した人でもあります。

 防災士制度は「ボランティア元年」とされる阪神・淡路大震災の教訓から生まれた民間資格で、いまや防災士認証を得た防災士は全国で24万人(累計)を数えるに至っています。
 河田氏も防災士養成講座・講師として数多く登壇していて、防災士制度とも深いご縁があります。まさに河田氏の人防20年、そして防災士20年の歩みは、わが国の防災・災害文化の構築に向けて、共振してきたかのようでもあります。

●忙中閑話

 「原子力政策、大転換」へ動き 急(本紙は「反対!」です)――
 毎日新聞12月8日記事の翌日、朝日新聞に”続報”がありました。

毎日新聞:「経済産業省:原発建て替え推進案を大筋了承 60年超運転も 原子力政策、大転換」
https://news.yahoo.co.jp/articles/cba40087aaa3a501dcf49c526f8545bfcaa93b57
(2022.12.08.)
 経済産業省の有識者会合「原子力小委員会」は8日、今後の原子力政策の方向性を示した行動指針案を大筋で了承した。廃炉を決めた原発を対象とした次世代原発へのリプレース(建て替え)推進と……

朝日新聞:電事連、六ケ所村に1億円 寄付表明「協力自治体と共存共栄」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15497388.html
(2022.12.09.)
 電気事業連合会は8日、青森県六ケ所村に1億円を寄付すると明らかにした。村内では、原発の使用済み核燃料の再処理工場を日本原燃が建設中。村の要請に応じたもので、地元企業の支援や人材確保に……

  (M. T. 記)



■《Bosai Plus》 No. 295/2022年12月01日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●すべての人にとってわかりやすいハザードマップとは

 本号巻頭企画では「誰ひとり取り残さない避難」につなげるハザードマップづくりの取組みを取り上げました。
 本年5月に、障害者が障害のない人と同じように情報を得られる社会をめざす「障害者情報アクセシビリティー・コミュニケーション施策推進法」が公布・施行されましたが、理想・理念を高く掲げる法の意義は大きいと思います。

 目標があれば、そのプロセスに試行錯誤はあっても、志をひとつに前進できます。今回取り上げた「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」も、ゴールは遠いように見えますが、防災・減災に向けた確かな一歩を踏み出したことは確かでしょう。

●ICTの活用がここまで来ている……

 今回の取材を通じて、改めてICT(情報通信技術)のめざましい進展を実感しました。
 とくに、障害者に対応したハザードマップの音声による伝達手法としての「デイジー(読み上げ音声付きデジタル図書)や「Uni-Voice」(スマホをかざして印刷物の内容を読み上げてくれるアプリ)、立体地図、触地図(道路、鉄道、河川などを浮き上がらせ、点字が組み込まれた地図)などが、視覚障害者向けのハザードマップづくりに実装化され、かなり実践的に試行されていることに驚きました。

 立体地図によるハザードマップは、3Dプリンターで比較的簡単に立体地図や触地図が作れるようになっているそうです。地理院地図から3Dプリンタ用データをダウンロードして、3Dプリンタで立体地図を作成することができ、また、国土地理院のサイトでダウンロードできる「画像から3Dプリンタ用ファイルを作成するプログラム」を用いて触地図を作製することもできるそうです。

 3Dハザードマップは当然、子どもから高齢者まで健常者にも”よりわかりやすく・伝わりやすい”ツールとなることは確かでしょう。

●それでも詰まるところ、「共助と地域の力」が不可欠

 ハザードマップのあるべき姿が「誰ひとり取り残さない避難」につながるとしても、有識者会議(検討会)は結語として、詰まるところ「共助と地域の力」が不可欠としています。
 もちろんその前提に、一人ひとりの「自助」があることは言うまでもないでしょう。

●忙中閑話

FLASH:ジャニーズ退社の滝沢氏 専門家は「『火山大使』になって」
https://smart-flash.jp/entame/208333/1
(2022.11.04.)
 ジャニーズ退社の滝沢氏に注目される「火山活動家」のキャリア――調査をともにした専門家は「『火山大使』になってくれたら」……

   (M. T. 記)


「S―uiPS(スイプス)」サンプル画像より


■《Bosai Plus》 No. 294/2022年11月15日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●「シングルボイス」と多彩な”ボイス”

 本号巻頭企画は、気象業務法に引っかかった最先端防災情報システムの話題。
 「S―uiPS(スイプス)」という画期的な都市浸水予測システムが開発され、研究チームが一般公開を宣言したところ、気象庁が気象業務法の「シングルボイス」に引っかかるということで、「待った」をかけたというもの。

 「シングルボイス」というのは、「気象庁以外の者」、つまり大学や研究機関も含め民間による予報業務は勝手にやってはダメ(許可が要る)、不特定多数の住民への提供は「慎重に検討すべき」というもの。
 研究チームは研究内容を関係省庁にも説明してきたそうですが、いざ社会実装へという段になっての「待った」は思わぬ事態だったそうです。

 「シングルボイス」が大事なことはわかりますが、ICT日進月歩の時代、すでに民間のテクノロジーでいろいろな防災情報が開発されていて、本紙もそうした新技術情報を追いかけてもいます。
 気象庁の許可が要る予報業務かどうか、気象庁にはガイドラインもあるようですが、なんとなくお役所が”お墨付き”を出し渋る感もなきにしもあらず……
 いずれにしても、防災・減災に向けて有益なテクノロジーであれば、さっさと許可を出してほしいところです。

●防災テクノロジーは国家機密?

 デジタル革命で軍事もデジタル化され、ドローンなど無人機での敵基地攻撃など、新たな倫理的な課題も議論になっています。

 いま国(国土交通省)はデジタルツイン技術を活用し、3D都市モデルをサイバー空間に再現できる「Project PLATEAU(プロジェクト・プラトー)」を主導して進めていますが、この技術成果は国家機密に価するのではないのかと、余計な心配がよぎります。
 今回取り上げた「S―uiPS」もそうですが、都市構造をスケルトン化する、さらに小紙も先の号で取り上げた衛星データ(SAR)で、液状化を中心とした地震被害箇所を抽出する地盤変動監視技術なども、実際にウクライナの一部区画で地表のどこが変化したか(砲撃被害)を抽出したようです。

 私たち防災は「災害犠牲者ゼロ」に向け「誰一人とり残さない(助けたい)」をモットーに日々努力しているわけですが、戦争はその真逆。今日のウクライナの状況には気が滅入ります。
 国家的正義という共同幻想のもとで人間の殺傷を戦果とし、営々と築き上げてきたコミュニティ、カルチャーをこなごなに破壊、無辜(むこ)の人びとを殺戮する、まち・地域コミュニティを破壊する――自然災害と闘う防災の真逆の非道が戦争です。
 防災テクノロジーが戦争の道具になりませんように。

●忙中閑話

朝日新聞:幼子2人を抱きかかえた熊本地震の夜 記者が防災士に挑戦
(2022.11.06.)
 九州・山口で近年、地震や豪雨など激しい災害が相次いでいる。長年暮らしている記者が危機感を持ち、防災士試験に挑んだ。防災士認証登録者は全国で約23万9千人(10月末現在)と広がりを見せる一方、課題もあるようだ…(中略)…機構はフォローアップのため、18年からメールマガジン配信を始めた。各地の防災士の活動状況や研修などの情報を提供する。だが23万人の防災士に対し、メルマガの受信者は5千人程度にとどまる。防災士でなくても登録できるという。まずはメルマガに登録し、問い合わせるところから始めたい。メルマガ登録は日本防災士機構のホームページからできる。
https://bousaisi.jp/information/magazine/top/

 朝日新聞、懇切丁寧です!
 僭越ながら日本防災士機構に代わって御礼申し上げます。

   (M. T. 記)


津波防災の日 スペシャルイベント

■《Bosai Plus》 No. 293/2022年11月01日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●大規模災害に備える大規模防災訓練 災害犠牲者ゼロをめざせ

 9月1日「防災の日」「防災週間」あたりから主な防災関連イベントが目白押しでしたが、11月5日「津波防災の日」「世界津波の日」で本年は一段落となりそうです。
 本号巻頭企画ではそうした防災イベントのうち、政府主催の「津波防災の日」スペシャルイベント(11月5日開催)、その前後に実施される地方公共団体等と連携した地震・津波防災訓練、10月1日に実施された大規模地震時医療活動訓練、そして9月1日実施の政府「総合防災訓練」「九都県市合同防災訓練」と、大規模災害に備える大規模防災訓練(実施済みを含む)を”改めて”取り上げました。
 
 毎年恒例となっているこうした訓練を本紙が”改めて”取り上げたのは、繰り返す訓練内容に新味はあるか、あるいは新味はなくても、マンネリ化はしていないか――振り返りの機会ともしたい意図があるからです。

 毎日新聞調査によると、「東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県の沿岸市町村にある災害公営住宅(復興住宅)の約4割が、今後起こり得る最大級の津波で浸水にさらされる恐れがあることがわかった」とあります。

毎日新聞:被災3県の復興住宅、4割が津波で浸水の恐れ(2022.10.15.)

 こうした状況に鑑み、まさに津波防災訓練では避難がもっとも重要な課題になることでしょう。

 「津波防災の日」スペシャルイベントの講演会で基調講演予定の今村文彦・東北大学災害科学国際研究所所長はその演題を「津波防災を進化させる ―津波避難訓練等でタブーへも挑戦」とし、津波避難訓練は「誰のための何のための企画なのか」と問うています。ぜひ聴講したい講演会です。

●忙中閑話

 ローマ字のつづり方には主に「ヘボン式」と「訓令(くんれい)式」があって、両方がまじって使われていて戸惑うことがあります。
 日本のローマ字は米国の宣教医ジェームス・カーチス・ヘボン博士が作り明治時代に発行された和英辞典が「ヘボン式」のもとになったいっぽう、日本人が考えた表記をもとに、正式なつづり方として1937年に内閣訓令で示したのが「訓令式」だそう。

 小学校の国語では、内閣告示をふまえて訓令式を中心に学ぶようですが、パスポートの表記や道路標識など、社会生活では英語の発音に近いヘボン式が多く見られることから、現状を整理して混乱を避けるための考え方を示そうと、文化審議会が検討を始めているそうです。

 ヘボン式は「チ」を「chi」、「ツ」を「tsu」、「シ」を「shi」とするなど、英語の発音とつづりの関係に近い。訓令式だとタ行なら全部「t」で始まり、「ta」「ti」「tu」と規則性が高く、「シ」は「si」になります。

 ちなみに「防災士」「防災」の主な関係組織の英語表記は、下記のようになっています。
・日本防災士機構:Japan Bousaisi Organization
・日本防災士会:Nihon Bousaisi Kai
・防災士研修センター:Bousaishi Training Center
・防災プラス(本紙):Bosai Plus
 なお、内閣府(防災担当)のHPドメインは「bousai.go.jp」です。

   (M. T. 記)



■《Bosai Plus》 No. 292/2022年10月15日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●コロナ禍に打ち勝とう(!?) 防災ビッグイベント2題

 コロナ禍が収束に向かうのか、さらに第8波(直近の流行は第7波だそう)の”押し波”が寄せてくるか――今後ワクチン接種と感染を繰り返しながら、(変異がなければ)わが日本でも海外のような集団免疫に近づいていくと考えられてはいるそうです。
 マスク着用についても、TPO(死語ではないですね?)に応じて着けるか着けないか、微妙な「時機」になってきました。世の”空気感”に従うか従わないか……あなたはどうでしょうか。

 さて、第8波への不安をはらみつつ全国旅行支援(10月11日~)の話題が熱くなりつつあるなか、「危機管理産業展2022」が開催(10月5日~7日)されました。
 あいにくの雨の3日間で、5日の最高気温は23.4℃でしたが、後半の2日間はいずれも最高気温が14.1℃、12.8℃と、真冬のような低温。まさにビッグイベントの開催条件としては”逆境”の気象条件でしたが、コロナ禍にめげないわが国最大級の”リアル”展示会への期待もあいまって、お天気にもめげず、東京ビッグサイトの会場は熱気で盛り上がっていたようです。

 本号巻頭企画はその「危機管理産業展2022」リポートと、一転、同じ東京ビッグサイトを会場とする来年6月15日~18日の4日間開催予定の、5年に1度の消防防災のビッグな展示会「東京国際消防防災展2023」の予告としました。

●災害時トイレも原発も、”垂れ流し”から目をそむけない

 日本トイレ研究所の「トイレアーカイブ」の話題(P. 5)は、災害時のトイレ問題という、私たちがその問題の重要性は頭ではわかっていても「目をそむけがち」、でも「目をそむけてはいけない」”リアル”な大きな課題として取り上げました。

 この記事を起こしながら、最近現政権が前のめりになっている原発再稼働への動きを連想しました。原発は「トイレのないマンション」(放射性廃棄物の処分方策がない)と揶揄されるからです。
 いまの世の私たちの電力安定供給のために、放射性廃棄物の後始末を次世代――原発推進派、為政者自身の子ども、孫、子孫の代にまで責任転嫁しようとしていませんか? まさに”汚れもの”から目をそむけて易きに流していませんか?、と。

 ちなみに本紙は防災メディアとして原発の新増設・再稼働・運転延長に反対です。地震・噴火などの自然災害大国で、地震速報のたびにテレビ報道の「〇〇原発はいまのところ異状なし」という”安心情報”には”いまのところ”で引っかかります。

 報道などに見る論調は、推進派のみなさんは原発の経済性や技術的安全性を強調しすぎで、リスクにはあえて触れようとしない印象があります。
 ”日本の原発”を論じるときは、賛成派 vs. 反対派のディベート(異なる立場に分かれた議論=対論)ではなく、自然災害やテロ、技術的な瑕疵(かし)、人為ミスなどが引き起こす「国の存亡にかかわるリスク」、そして「子々孫々にまで影響をもたらす廃棄物処理」について、目先の電力安定供給、経済性、技術的安全性などとはまったく別ステージで熟議すべきではないでしょうか。

   (M. T. 記)


人と未来防災センター西館(Photo:Wikimedia)

■《Bosai Plus》 No. 291/2022年10月01日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●人と防災未来センターを”ハブ”に「ぼうさいこくたい2022」

 本号の巻頭企画は「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の開設20周年を取り上げました。
 開設20周年の記念イベントは本年4月から始まっていますが、本年の「第7回防災推進国民大会(「ぼうさいこくたい2022」)」がHAT神戸(ハットこうべ)に立地する人と防災未来センターを”ハブ”として、この10月22日・23日に開催されるということで、併せてその広報も兼ねました。

 ちなみにHAT神戸は、阪神・淡路大震災復興事業として神戸市三宮地区を中心に開発された地区の名称で、西側のハーバーランドと対をなす東側の新都心となっています。「HAT」は「Happy Active Town」の略で公募で決定されました。

●「南海トラフ地震の本音の話」とは? DRI防災連続セミナー第3回で

 「人防」20周年記念事業として、これまでの活動成果を踏まえ、「迫り来る巨大災害で日本を終わらせないために! 人と防災未来センターの未来を探る」を全体テーマに防災専門家による連続セミナーが開催されています。
 全3回の連続セミナーは10月23日開催分が最終回=集大成となり、「ぼうさいこくたい2022」のセッションとして実施されますので、改めてご案内しておきます。センター長・河田惠昭先生がファシリテイタ―として登壇予定です。

DRI防災連続セミナー(第3回)「南海トラフ地震の本音の話をしましょう!」

●こぼれ話――人と防災未来センターと防災士制度のご縁

 ちょっと長くなりますが、本文で触れた河田惠昭先生との”独占インタビュー”でのこぼれ話を……

 「阪神・淡路大震災発災前年の1994年に神戸市は『二十世紀メモリアル博物館群』構想を発表。国家プロジェクトとして米国のスミソニアン博物館級の博物館を作ろうという壮大な計画で、全体を都市文明博物館群、科学技術文明博物館群、自然とくらしの文明博物館群の3群に分け、合計で10館程度整備するというもの。

 京都大学教授の梅棹忠夫さんや作家の小松左京さん、堺屋太一さんとかで委員会をつくって実現に向けて総事業費500億円で最終案までできていた。当時の兵庫県知事・貝原俊民さんは、阪神・淡路大震災が起こった後、政府に、防災を含めたこの施設をつくってほしいと提言したのですが、予算が大きすぎるということでダメになりました。

 しかし、この大震災の教訓をこれからの日本は活かさなければならないというので、140億円ほどを政府と兵庫県が50対50の分担として改めて構想されたのが人と防災未来センターです。大震災が貝原さんをして防災テーマの科学館に変えさせたのです。
 そのプロジェクトは当初、阪神・淡路大震災メモリアルセンターという仮称で、貝原さんの構想を受けて私(河田)が2000年に準備室長になりました。

 貝原さんは阪神・淡路大震災の教訓を発信しなければならないという思いを強く持っていました。そうしたなかで2001年7月に知事職を辞任された貝原さんは、02年3月に発足したばかりの日本防災士機構の初代会長に就かれています。
 私もそうした防災をめぐる人間関係のなかで防災士構想を聞き、防災士制度発足を機に防災士養成講座の講師を務めることになりました」……(文責:編集部)

 人と防災未来センター開設と防災士制度の発足がほぼ同時期という志の一致――”21世紀 防災元年”とも言えるかと思います。

   (M. T. 記)


石巻市震災遺構 門脇小学校と大川小学校

■《Bosai Plus》 No. 290/2022年09月15日号より(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●「災害を語り継ぐ」――語り部が呼び起こす防災への志

 本紙前々号(8月15日号/No. 288)の巻頭企画「災害伝承施設への旅」、前号(9月1日号/No. 289=創刊12年号)の「関東大震災から99年」に続く災害教訓シリーズの3回目として、本号は「語り部」を取り上げました。

 私たちが災害教訓を学ぶ素材はいろいろありますが、一般的には有識者・専門家による災害調査委員会が個別災害についてとりまとめた報告書に始まり、地域に伝わる伝承・口伝、記念碑であったり、各種メディアによる取材記事であったり、最近ではデジタルアーカイブだったりします。

 ただ、こうした教訓は一般化・抽象化される傾向にありますが、語り部の方がたが語る災害教訓となると、それは”究極の”個人的・個別的な体験の集約から発信されるもので、本来、一般化・抽象化にはそぐわないのですが、そのリアルな個別状況・環境は、逆に災害の不条理性そのものを端的に示すものでもあり、その意味で、普遍的な教訓として昇華し得るのかもしれません。

●”究極の”個人的被災体験だからこそ、災害不条理性を実感

 例えば、本文で紹介したWEB防災情報新聞の「ユース語り部」記事中には宮城県石巻市に住んでいた当時高校1年生の男性(語り部)が、「津波で家ごと流されて、倒壊した家屋から祖母と2人で冷蔵庫の中にあったヨーグルトやコーラ、牛乳、水を口にしながら寒さに耐えて9日ぶりに救出された時の状況を話した」とあります。

 その話題は大震災当時、”奇跡の生還”としてメディアをにぎわしたのを記憶していますが、聞き手にとっては、究極のサバイバルすぎて災害教訓からはかけ離れているように思えます。
 しかし、それを当事者の”彼”が話すことで、災害の不条理性が直(ジカ)に伝わる気もします(筆者はこの記事の”聞き語り”にもかかわらず……)。

 奇跡の生還を果たした高1生がいま20代半ばの青年語り部としてその大震災からの生還体験を語る……まさに、災害不条理性の教訓そのものを示しているように思えます。

●忙中閑話

ウェザーニュース:南大西洋でM6.5の地震 津波被害の心配なし
(2022.09.04.)
 日本時間の9月4日(日)18時42分頃、海外で地震があった。震源地は南大西洋(大西洋中央海嶺中部)で、地震の規模はM6.9と推定される。各国の機関からの情報ではこの地震による津波被害の心配はない……

   (M. T. 記)


「関東大震災映像デジタルアーカイブ/関東大震災[返還映画版]より上野山下の街頭を埋めた避難民

■《Bosai Plus》第289号・2022年09月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●本紙は創刊12年を迎えました 持続は力、ゴールを見据えて……

 本号で、本紙は創刊12年となります。
 読者のみなさまのご愛読・ご支援に心より感謝申し上げます。
 今後とも末永くよろしくお願い申し上げます。

●関東大震災から99年 その最悪の教訓とは……

 本号巻頭企画は、関東大震災から99年、100年一歩手前でのその教訓の振り返りです。
 
 「災害教訓の継承」専門調査会報告書は、関東大震災時には朝鮮人が武装蜂起する、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じました。
 報告書は、「流言は、断片的に得られる情報を背景に、流言現象に一般的に見られる『意味づけの暴走』として生じたとし、軍隊や警察も流言に巻き込まれ、また増幅した」としています。

 その一例として、演出家・俳優として知られた千田是也(1904―1994年)はあるインタビューで「(発災時)朝鮮人が襲ってくるからと夜警に引っ張り出されて東京千駄ヶ谷を歩いていたら自警団に遭遇し、朝鮮人と間違えられて『歴代天皇名を言え』と詰め寄られた経験から自らのペンネームを千田(千駄ヶ谷で)是也(コリヤ)にした」というエピソードを語っています。
 見回りグループ同士が互いに疑心暗鬼にとらわれるという、まさに流言飛語を風刺画に描いたようなシーンが各地で展開したのでした。

 報告書は「軍隊や警察、新聞も一時は流言の伝達に寄与し、混乱を増幅した。軍、官は事態の把握後に流言取締りに転じた。火災による爆発や火災の延焼、飛び火、井戸水や池水の濁りなど震災の一部を、爆弾投擲、放火、投毒などのテロ行為によるものと誤認したことが流言の一原因。空き巣や略奪といった犯罪の抑止のためには軍隊、警察、民間の警備は有効ではあったが、流言と結びついたため、かえって人命の損失を招いた」としています。

 そしてその教訓として、「過去の反省と民族差別の解消の努力が必要なのは改めて確認しておく。その上で、流言の発生、そして自然災害とテロの混同が現在も生じ得る事態であることを認識する必要がある。不意の爆発や異臭など災害時に起こり得ることの正確な理解に努め、また、テロの現場で犯人を捕捉することの困難や個人的報復の禁止といった常識を大切にして冷静、な犯罪抑止活動に努めるべきである」と。

●流言は山火事のよう……火種ひとつから山が一気に燃え上がる

 流言はよく乾燥した状況での山火事に例えられます。乾燥状況が非常時の「不安状況」であり、「流言」という小さな火種ひとつから山(社会全体)が一気に燃え上がるのです。
 確かな情報があれば鎮火できるのですが、非常時には情報と流言の判別が困難となります。現代は、関東大震災が起こった1923年の時代環境とは大きく異なり、また、インターネットを介したSNSやツイッター、ライン(LINE)などの登場でむしろ情報過多ですが、それに比例して流言も拡散(いまで言う“リツイート”)しやすくなっているのではないでしょうか。

 海外では非常事態での民衆の暴動による略奪・殺傷事例が少なくありません。日本とは文化が異なると簡単には言えない事例が、関東大震災ではありました。
 それは災害大国日本の最悪事例であり、かつ最大の教訓なのかもしれません。これから起こり得る大規模災害、さらにはリアルな国際関係の緊張下において、心して学ぶべき教訓です。

●忙中閑話

(本号P. 4で取り上げましたが……)
カクヤス:非常持ち出し袋にお酒も!派が約5割。その理由とは?
(2022.08.25.)
 なんでも酒やカクヤス調べ――災害への備えをしている人80.9%。実施してる防災対策第1位「水や食料、電池、生活用品の備蓄」、第2位「非常持ち出し袋の用意」。「非常持ち出し袋にお酒を入れたい?」Yes45.2%、その理由は?……

   (M. T. 記)


■《Bosai Plus》第288号・2022年08月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●本紙次号は創刊12周年号 本号はその”メモリアル”にも

 今回の特別企画は、東日本大震災の災害教訓を知り・学び・新たな災害に備えるための施設=災害教訓伝承施設のご案内です。
 宮城県に今年10月1日オープン予定の「南三陸311メモリアル」を機に、岩手・宮城・福島の被災3県が運営する震災伝承施設を中心に取り上げました。

 時系列的には、2019年9月開館の岩手県「東日本大震災津波伝承館」、2020年9月開館の福島県「東日本大震災・原子力災害伝承館」、そして2021年6月開館の宮城県「みやぎ東日本大震災津波伝承館」となります。
 直近3年間で3館開館ですから、東日本大震災からほぼ10年、”いっせい開館”と言ってもいいかもしれません。
 したがって……またコロナ禍もあって(言い訳がましい)、当編集部はこの3館のいずれの施設も訪れていません。”アームチェア・トラベラー”としてのリポートであることをご了承ください。

 本紙次号は創刊12周年号になります。本紙創刊(9月1日=防災の日)のおよそ7カ月後に東日本大震災が起こりましたので、本号はその”メモリアル”になったのかもしれません。

●過去記事ですが「保存版」でもあります

 だからというわけではありませんが、とくに東日本大震災後の小紙編集企画については、多少の自負とともに、読者のみなさまにも広く知らせたいと願う記事企画が少なくありません。
 その一例として本号では、小紙2017年6月15日号(No. 164)特別企画にもリンクを貼りました。こちらもあわせて保存版としてご参照いただければ幸いです。

《Bosai Plus》:ワン・クリック先の震災アーカイブ 53サイト

●「ClipBoard」より

朝日新聞:鳥居倒壊、防ぐには 建築基準、自治体まかせ 安全確保へ「全国統一を」
(2022.08.01.)
 大きな地震で神社の鳥居が倒壊する事例が相次いでいる。耐震性の「担保」となるのが建築基準法だが、鳥居については明文化されておらず、法を適用するかどうかの判断は自治体に委ねられる……

   (M. T. 記)


猛暑の夏の空(ACフォト0401)2332097_m

■《Bosai Plus》第287号・2022年08月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●脱炭素社会、生物多様性保全に「哲学・理念」の裏づけを

 本紙は3カ月前の5月1日号(No. 281)で、国連環境計画(UNEP)が公表した「Sand and Sustainability(砂と持続可能性)〜危機を回避するための10の戦略的提言〜」報告を紹介、人類は「砂不足」の危機に直面していると、巷間伝えられる”地球の砂漠化”とは真逆の警告を発していることを取り上げました。
 同報告は、「砂」は17の持続可能な開発目標(SDGs)すべてに直接的または間接的にリンクされていて、その戦略的重要性は大きいとされます。

 砂は、実は水に次いで最も人間に利用される天然資源で、その消費量は年間500億トンに及んでいますが、砂の浚渫(しゅんせつ)、調達、使用および管理はほとんど管理されておらず、多くの環境的・社会的影響をもたらしているのに、ほとんど見過ごされているのだそうです。
 このままでは河川や海岸線を破壊し、小さな島々を消滅させる可能性もあるとしています。

 本号では、わが国で最近にわかに政策課題となった脱炭素社会、生物多様性保全の問題を取り上げましたが、長い目では防災とも深くかかわるこうした地球規模の課題の先取りは、どうもわが国の為政者は苦手のようです(国民が苦手?)。
 日本が国際社会に向けて率先して課題提起するということではなく、一種の”外圧”として取り組まざるを得ない……という印象があります。

 わが国が”外圧”で取り組まざるを得なくなった政策課題はいくつもありますが、災害が多発するわが国で、防災については、被災経験が世界の防災・減災に貢献しているという事実はあるのでしょう。
 しかし、世界をリードし得る「防災哲学・防災理念」あるいは「防災文化」はあるのでしょうか(「核禁止」だけは別にして)。

 政治的な話題は避けたいと思いますが、常々わが国の為政者にはもう少し日本をどんな国にしたいのか、いろいろな分野で自らの「哲学・理念」を語ってもらいたいと思います。
 そうすれば、少なくとも現下の政治家と宗教団体の関係のあり方など、票集めが優先してしまうなどあり得ないと思うのですが。

●今回は”素振りとしての空振り” トランスサイエンスの課題はくすぶる

 7月24日夜の気象庁発表・桜島噴火「レベル5(避難)」情報が唐突に思われ、第1報に反射的に1914桜島噴火を想起しました。
 もともと火山噴火が唐突に起こることは、2014年御嶽山噴火での記憶も生々しく経験済みでしたが、いきなりの桜島噴火情報「レベル5」に最悪事態をイメージしてしまいました。

 3日後には「レベル3」に引き下げられ、素人考えですがこれは一種の”空振り”、あるいは緊急地震速報で言う”過大推定”(誤報)だったのだろうと思っています。
 気象庁批判ではなく、むずかしい判断だったろうという意味での、”素振りとしての空振り”です。
 トランスサイエンス――科学と社会のリスク・コミュニケーションのむずかしさに、改めて思い至った次第です。

●忙中閑話

FOOTBALL ZONE:【動画】「Sports Center」公式インスタグラムが公開、J3リーグで“衝撃の光景”…「鹿児島対相模原」のキックオフ直前に起きた噴火シーン(7月24日桜島噴火「レベル5」)

産経新聞:コスト削減で500駅から〝時計〟撤去 JR東日本、地元困惑「いい得ぬ喪失感」
(2022.07.29)
 駅の改札口やホームに設置されている時計が姿を消しつつある。JR東日本は今後10年間で約500駅を対象に時計を撤去し、コスト削減を進める計画だ……

 私も最近、よく利用するJR駅で「指針で時刻を示すアナログ式の時計」をほとんど見かけなくなっていることに気づきました。
 駅にアナログ式時計がない! 意外と不便ですよ~

   (M. T. 記)


橋梁のメンテナンス工事の様子(Photo:AC)

■《Bosai Plus》第286号・2022年07月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「コンクリートから人へ」⇒「人からコンクリートへ」
 ⇒「人のためのコンクリート」へ

 7月初めに発生したauの携帯電話などの大規模な通信障害も防災に大きく関わる通信インフラの不具合でしたが、本号特別企画は、いわゆるハード面のインフラ老朽化の問題を取り上げました。

 わが国で高度経済成長が始まった1960年代にハード面のインフラは、ここぞとばかり整備されていくわけですが、生活を豊かにするいっぽう、”土建国家”との揶揄や公共事業の”どんぶり勘定”などの負の側面もさかんに言われました。
 それから半世紀を経て、その老朽化の問題が浮上し始めたころ政権交代があって、新政権は「コンクリートから人へ」という美しいキャッチフレーズを打ち出します。
 その理念は政治的には”土建国家”の対極に置かれたものではありましたがインフラの老朽化への懸念を抱えつつも、財政難の背景があったことも否めないと思います。

 そして再び政権交代があって、東日本大震災後の大規模災害対策と経済浮揚対策の柱のひとつとして「国土強靭化」が打ち出され、インフラ老朽化対策が本格化するという流れになっています(本紙流解説です)。

 いずれにしてもインフラ老朽化対策は防災・減災とも直結します。その有り様は、わが国の成熟国家としての負の側面、少子高齢化=いわゆる”人口オーナス”(オーナス:onusは「重荷・負担」との意味)とも呼応していて――本紙で再掲した2018年土木学会の大規模災害被害予測ともシンクロしているように思えます。

 インフラリスクについて本号では”さわり”程度にしか触れられませんでしたが、難題であることは間違いないと思います。

●え?! 世界もか?

 国連が7月11日に発表した推計では、世界人口の年間増加率が、統計を遡れる1950年以降で初めて1%を割り込み最低となったそうです。人口規模が世界最大の中国も長年の「一人っ子政策」などが響いて2022年から人口減に転じ、23年にはインドの人口が世界最多になると。人類史でも特異な20世紀の経済成長を支えてきた人口爆発は近く終わりを迎えるということです。

日本経済新聞:世界の人口増1%割れ 戦後成長の支え、転機に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM122RH0S2A710C2000000/?n_cid=NMAIL007_20220713_A
(2022.07.12.)
 世界人口の年間増加率が、統計を遡れる1950年以降で初めて1%を割り込み最低となったことが、国連が11日に発表した推計で明らかになった……

●新着情報

朝日新聞:東電旧経営陣、13兆円賠償命令 津波対策先送り「許されぬ」 東京地裁判決 原発事故、株主訴訟
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15355670.html
(2022.07.14.)
 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主48人が旧経営陣5人に対し、「津波対策を怠り、会社に巨額の損害を与えた」として22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が東京地裁で……

朝日新聞:御嶽噴火「国の判断違法」 警戒レベル「気象庁の検討不十分」 長野地裁支部、遺族らの請求は棄却
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15355582.html
(2022.07.14.)
 死者・行方不明者計63人を出した2014年9月の御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火災害をめぐり、遺族ら32人が国と長野県に計3億7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、長野地裁松本支部で……

   (M. T. 記)


image_復興庁資料より「福島県外避難者に係る所在確認結果」(2022年6月14日公表より、一部トリミング)

■《Bosai Plus》第285号・2022年07月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●原発事故避難者訴訟の最高裁判断 安全神話パラレルワールドの観

 本号では福島第1原発事故による避難者訴訟での司法判断に関連して、「原発事故を起こした責任は国にもあるのか」という大きな問題を契機に、災害・事故訴訟の”不合理性(あるいは非合理性?)”について考えてみました。
 本文でも触れましたが、6月17日の最高裁の司法判断の是非を論じることは本紙の手に余りますが、”安全・安心社会をめざす”、”災害犠牲者ゼロをめざす”本紙としてその視点から、今回の司法判断に疑問を呈さざるを得ません。

 原発事故(災害)リスクに関する判断について裁判所が判断するのは、過酷事故が発生する具体的危険があるか否かであり、原発政策の妥当性を判断するわけではないことは、百歩譲って理解できます。
 それでも、巨大地震・津波が原発に及ぼす影響について、裁判官に科学的妥当性が判断できるのでしょうか。想定された規模を超えた自然事象を、どのレベルから「想定外」と判定できるのか。

 裁判官が判断するのは、あくまで憲法に照らして、原発事故により人格権侵害の具体的危険があったかどうか、そして事故による被害の規模や住民への影響の大きさを判定することではないのか……

 本文で触れましたが、本紙は原発事故発生からまだひと月半後という2011年5月1日号で、当時の原子力安全・保安院ホームページに更新されずに残っていた広報「原子力災害発生時の住民としての対応」を引用し、今回もそれを再掲しました。
 そこから読み取れることはまさに「安全神話」にほかなりません。万々が一にも過酷事故などは起こらない(万一ではなく”万々が一”、ママ)という前提で、その一文は事故後も、安全神話の遺構のごとく、しばし残されていたのです。

 国(原子力安全・保安院)は当時、安全神話によって立って「国策民営」として原発稼働を推進した――そしていま最高裁は、その安全神話は”当時は正しかった”と、パラレルワールド的に裁定したとしか思えないのですが……

●NZの「ACC(無過失補償)」は「助かる防災」

 本紙は前号で「助ける・助けられる防災」から「助かる防災」へという課題提起をしましたが、本号で取り上げたニュージーランドの「ACC(無過失補償)」は、まさに「助かる防災」の先進事例と言えます。

 「災害資本主義」が必然的に災害リスクを生み出すとしたら、それは「助ける・助けられる防災」に帰結しそう(公助の限界)――でも「助かる防災」という第3の道(共助のイノベーション)があるとしたら、被災者救済も災害・事故検証も、訴訟という手段ではなく「無過失補償」への道が開けるのではないか。
 漠然としていますが、防災の本質的なあり方を考える興味深い視点だと思っています。

●忙中閑話

国土交通省:2022年度の宇宙無人建設革新技術開発を開始~近い将来の月面での建設を目指し、地上の建設技術を高度化~
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo15_hh_000326.html
(2022.06.22.)
 「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)の一環として、2021年7月に決定された「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」(国交省及び文科省連携)の技術研究開発の実施対象『継続・移行分』(計10 件)を決定……

読売新聞:福島のUFO研究所、「極めて可能性が高い」画像公開…合成の可能性は解析ソフトで排除
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220625-OYT1T50202/
(2022.06.26.)
 未確認飛行物体(UFO)の謎を探ろうと昨年6月に開所した福島市の「国際未確認飛行物体研究所(通称・UFO研究所)」が1年間の調査結果を発表。寄せられた目撃情報は452件。「極めてUFOの可能性が高い」とされる写真・動画4点を……

   (M. T. 記)


日本全国の「災害リスクエリアの重ね合わせ図」(国土交通省資料より)

■《Bosai Plus》第284号・2022年06月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「助ける・助けられる」から『助かる』防災へ

 本号特別企画は、わが国の国民運動としての防災・減災努力にもかかわらず、災害リスクエリアでの人口が増えていくという”日本の原罪”的な課題と、その解決に向けた可能性について考えてみました。

 つまり、国土交通省が公表した「中長期の自然災害リスクに関する分析結果」と、その住民による活用――「災害リスクについて自ら調べ、災害時の具体的な行動についてさらに考えるきっかけとする、また、中長期的な視点でより災害リスクの低い土地利用を集落などで話しあう際の参考資料としての活用」です。
 そして、住民の活用について、市民運動としての地域防災活動に「助かる防災」という概念の伸展の可能性を、2つの論考の紹介で試みました。

 いっぽう、国土交通省はこの分析結果の活用について、自治体、企業、住民による活用例を示唆しましたが、(本紙の知る限り)国自身の活用事例は示していません。国としてはどう対応しようとしているのでしょう。

 前々号で「災害資本主義」あるいは「防災社会主義」という議論を呼びそうな新語で問題提起をしました。
 もともと無秩序な市街化の拡大を抑制するために宅地開発を規制していた「市街化調整区域」が、規制緩和(経済成長の特効薬?)によって災害リスクエリアでの宅地開発をもたらす――まさに資本主義が災害リスク要因を必然的に生み出しているとしたら、国策としては「社会的共有資本」の拡充で対抗することになるのではないか。
 現政権は「新しい資本主義」を掲げましたが、その志はだいぶ後退したようでもあります。

●「男女共同参画」の「もはや昭和の時代の想定は通用しない」

 ウクライナ問題はもちろん、それに先立つトランプ危機に見られるように、民主主義の危機の問題も、このところ急浮上しているように思います。
 このコラムでは政治的な発言は控えたいのですが、民主的な選挙で選択されたはずの政権は、外(野党としておきましょうか)からの批判に対してハリネズミのように抵抗するのはいかがなものでしょう。

 本来、批判に対しては是々非々で対応すべきで、女性蔑視的な言動をする議員に対して、選挙が近いことで失点を恐れてか、曖昧な態度に終始するのはいかがなものか。また、”党議拘束”は民主主義と矛盾していないか、疑問に思うことしばしばです。

 男女共同参画について「白書」、「骨太の方針」、「防災・復興ガイドライン フォローアップ」と続けざまに政府系報告書の公開がありました。
 内閣府男女共同参画局は、政府の機関としては、”ずけずけと”モノを言うので、好感が持てます。もとより、小紙もメディアとして、批判の真意はよりいい社会に向けた提言・諫言のつもりでもあるからです。
 「女性版骨太の方針2022」の「もはや昭和の時代の想定は通用しない」に本紙としても快哉を叫ぶ思いです。

●忙中閑話

朝日新聞:女性と戦争「性暴力は戦争の武器・戦略」 テクノロジー化した戦争では男女の体力差は……柳原伸洋さん、秋林こずえさん、大塚英志さん(耕論)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15319318.html
(2022.06.09.)
 嘆き悲しむ母親、銃を持つ女性兵士――。ウクライナ侵攻下で語られる女性の姿に、私たちは感情を揺さぶられる。これは一人ひとりの実像なのか。戦争がつくりだす「女」なのか……

NHKニュース:藤田医科大学 全学生が「防災士」講習受講へ 愛知
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220604/3000022909.html
(2022.06.04.)
 愛知県豊明市の藤田医科大学は、地域防災のリーダーとなる「防災士」の講習をすべての学生が受講するカリキュラムに組み込み防災士として養成していく。大学では、災害時に地域に貢献できる人材を……

   (M. T. 記)


大都市・東京を襲う直下地震にどう備えるか

■《Bosai Plus》第283号・2022年06月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●被害想定の死者数への「想像力」と「災害犠牲者ゼロ」

 本号特別企画は東京都の首都直下地震の被害想定(P. 1-2)と、青森県の地震・津波被害想定(P. 3)の2本立てとしました。
 また「話題を追って 1」(P. 4)では出水期を迎えての防災気象情報の「改善」の話題。関連して「話題を追って 2」(P. 5)で、大雨や生活音のなかで聞き取りにくいとあまり評判のよくない防災行政無線の「聞き取り改善技術」の話題。

 「BOSAI TIDBITS」(P. 6)では新刊『宅地の防災学』と土砂災害対策の斬新な手法・アイデアの提唱、『宅地の未災学』を紹介しています。
 いずれも防災メディアとしては見逃せない、聞き逃せない新着情報として取り上げましたので、ぜひ読者のみなさまにもご一読いただきたいと思います。

 このように本紙は毎号、防災にかかわる読者のみなさまと有効な情報を共有することをめざして発行を続けていますが、たまたま本号・首都直下地震被害想定の記事末尾で、本紙創刊号(2010年9月1日号)で取り上げた14年前(2008年)に530万人の参加者を動員した米国発地震防災訓練「シェイクアウト」の話題を再掲しました(下記リンクのP.6。当時の手づくり感満載の紙面でご覧ください)。
《Bosai Plus》創刊号(P. 6):「ザ・グレート・シェイクアウト」

 この米国発「シェイクアウト」を創刊号で取り上げたのは、被害想定の死者数に危機感をかきたてられたという米国の主催者(創始者)の心意気とその成果・実績に感銘を受けたからです。日本の防災の日(9月1日)防災訓練を参考にしたとも聞いています。

 彼らにとっては想定死者数が1000人を超える、いえ、100人を超えても”驚愕に価する自然災害”なのだ、もしや、いのちの重さが違うのでは、と。
 同ホームページによると2022年の「シェイクアウト」参加登録者(予定含む)は世界で3千万人(日本を含む)にのぼっています。
Great ShakeOut
 本紙のモットー「災害犠牲者ゼロをめざす」の原点は、ここにあります。

●忙中閑話

J-CAST:「シン・ウルトラマン」に登場 「防災庁」公認防災セット(防災士監修)
(2022.05.29.)
劇中に登場する架空の省庁である防災庁が監修したというコンセプトのもと開発された防災セット。地震だけではなくゲリラ豪雨・台風などの災害時に役立つアイテムが約20点も入ったオリジナル商品に……

朝日新聞:女性活躍へ「昭和の想定通用しない」 「女性版骨太の方針」案
(2022.05.28.)
 政府は27日、女性活躍や男女共同参画分野で重点的に取り組む内容をまとめた「女性版骨太の方針2022」の原案を示した。女性の人生と家族の姿は多様化しているとし、「もはや昭和の時代の想定は通用しない」と指摘……

時事通信:防災部局「女性ゼロ」ずらり 市区町村で6割 内閣府調査
(2022.05.27.)
 防災・危機管理部局に配置された女性職員の割合は都道府県で平均11.2%、市区町村は同9.9%にとどまり、61.9%の市区町村では1人もいなかった。国は「女性の視点」の活用が進む自治体の事例を調べて……

(本紙近刊号で「防災の男女共同参画」を改めて取り上げる予定です)

   (M. T. 記)


東日本大震災で防潮堤を越えて仙台空港に押し寄せる津波(岩沼市/宮城県資料より)

■《Bosai Plus》第282号・2022年05月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「災害資本主義」から「社会的共通資本の防災社会主義」へ

 前号のこの欄で「保育所・幼稚園の4割が浸水想定区域に立地」という新聞記事に触発されて、「”防災社会-主義”、あるいは”社会-防災主義”を論じたい」と書きました。
 本紙も何度か指摘してきましたが、市場経済の論理から安い土地・危険な土地に福祉施設が追いやられる現実があり、また、無秩序な合理性の追求によって浸水想定地域で人口が増えている現実もあります。

 一般的に「災害」といえば、私たちが想定できなかった原因や、想定できてもそれを超える外力で起こった自然事象、加えて人為的な経過によってもたらされる人的・物的損害でした。
 英語の「disaster(災害)」の語源は”dis「離れて」aster「星」”で、占星術で「良い星から離れることで生じる悪い事柄」と解釈され「大災害」を意味するようになったとあるように、「災害」は人知の及ばない「天災」だったわけです。

 ところが本文で触れたように、阪神・淡路大震災も東日本大震災(原発事故を含めて)も、文明社会だからこその、言い換えれば資本主義の内から必然的に生じてきた矛盾や社会の脆弱性が引き起こした事象のように思えます。
 かの寺田寅彦は90年ほども前に「文明が進むほど災害も激烈となる」と喝破していましたが、資本主義が内在する災害被害増幅作用を察知していたのでしょう。

 資本主義のみならず民主主義、個人主義、自由主義など、これまで私たちの”譲れない理念”とされてきた価値観に揺らぎがみられるいま、防災においては今後、「災害資本主義」という刺激的な”アンチ防災”用語が浮上しそうな予感もあります。

 現政権は「新しい資本主義」を打ち出していますが、どこまで資本主義の”見直し”に踏み込むおつもりか――いっぽう、これに呼応するように、故・宇沢弘文の「社会的共通資本」が再評価されつつあります。
 宇沢は鳥取県米子市出身ですが、わたくしごとながら、個人的に縁のある土地でして(それだけで)応援したい気持ちではあります。
 
●忙中閑話

朝日新聞:旧信越線トンネルを避難所に 浅間山の噴火や武力攻撃を想定
(2022.05.05.)
 長野県軽井沢町は浅間山の噴火や他国による武力攻撃事態を想定し、町民や観光客が一時的に緊急避難できる施設を指定。長野、群馬県境にある旧信越線のトンネルのほかホテルや美術館、大学の保養所など……

日テレ:女性初の「地震津波監視課長」就任 津波警報発表など重責を担うキーマンを直撃
(2022.05.06.)
 まさに24時間365日地震を監視し、津波警報などを出す気象庁の現場トップ「地震津波監視課長」に史上初めて女性が就任。地震津波監視課長は気象庁に近い「危機管理宿舎」で生活し……

   (M. T. 記)


静岡県社会福祉協議会による災害派遣福祉チーム(静岡DWAT)

■《Bosai Plus》第281号・2022年05月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●DWAT/DCATの深化で拓ける「福祉防災」の新たな展望

 「福祉支援防災 その3」として本号は「災害派遣福祉チーム(DWAT/DCAT)」を取り上げました。厚生労働省が本年度に、災害時の要援護者を支援する災害派遣福祉チームの取組みを集約する「災害福祉支援ネットワーク中央センター」を創設するという方針を受けた記事企画です。

 災害派遣福祉チームは基本的には専門家で構成されるチームですが、その活動を周りで支えるのは地域防災のいろいろな主体になると思います。その意味でも、福祉と防災のシームレスな連携がますます求められることでしょう。

 ただ、福祉と防災の連携について、立木茂雄先生が「”連携”は言うは易しだけれども、連携は結果であり、連携のための手段・方法こそ重要」と話されていました。
 国による各DWAT/DCATの管制塔となる「中央センター」創設で、福祉・防災連携の新たな展望が拓けることに期待したいと思います。

●”防災社会 主義”、あるいは”社会 防災主義”を論じたい

 読売新聞の記事に「保育所・幼稚園の4割が浸水想定区域に立地」という記事がありました。

読売新聞:保育所・幼稚園の4割、浸水想定区域に
(2022.04.18.)
 津波や大雨などで浸水の危険がある浸水想定区域に立地する保育所や幼稚園などが、全国主要都市で約4割に上ることが読売新聞の調査でわかった。同区域にある施設の2割弱は避難確保計画を作成しておらず……

 本紙はこれまで何度となく、浸水想定区域で人口が増えていることを指摘してきました。国(国土交通省)はハザードエリアから住宅などの移転を誘導する政策を打ち出していますが、わが国では多くの都市部が水災害ハザードエリア内にあることから、居住区域をハザードエリアから完全に除外することは困難なようです。

 しかしそうだとしても、福祉施設や学校などの立地は、市場原理にまかせられないはず。水害対策とまちづくりが一体となった取組みを最優先すべきでしょう。

 近年、いろいろな分野で資本主義の限界がささやかれます。現政権は「新しい資本主義」を掲げますが、防災分野での「新しい資本主義」はどうなるのでしょうか。
 もしかして防災分野では、”防災社会 主義”、あるいは”社会 防災主義”なるイデオロギーをもって災害対策を進めたほうがいいのでは……と考える今日この頃です。
 近刊号で、マジにこのことを取り上げてみたいとも思っています。

●忙中閑話

読売新聞:日本の地下駅300超、有事の避難施設に指定…地上から浅くミサイルには弱く
(2022.04.21.)
 ロシアによる軍事侵攻後、ウクライナの市民がシェルターとして利用している地下駅舎。日本でも、外国からの武力攻撃を念頭に、自治体による地下駅舎の避難施設指定が進む。昨年3月まではゼロだったが、この1年で300を超えるまでに……

朝日新聞:天声人語
(2022.04.27.)
 (要約)飛脚の時代には、馬が不足して運送に支障が出るのを「馬支(うまづかえ)」、河川が増水して渡れなくなるのを「川支(かわづかえ)」と言った。ネット時代にも、様々な「つかえ」はなくならない(ビデオ店や書店が消えて)……

   (M. T. 記)


「鳥取県版-DCMの流れ」(鳥取県中部地震生活復興支援リーフレットより)

■《Bosai Plus》第280号・2022年04月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「福祉防災 その2」は、「災害ケースマネジメント(DCM)」

 本号巻頭企画は、「福祉防災 -その2- 災害ケースマネジメント」です。諸事情により、3月1日号の第1弾「福祉防災 -その1- 個別避難計画」からやや間が空いたことをお詫びいたします。

 「災害ケースマネジメント」(DCM:Disaster Case Management)は、米国の被災者支援プログラムを参考に日本が導入したものですが、このように米国をはじめ海外の災害対策・防災の仕組み、災害との向き合い方をわが国が参考にする例は少なくありません。

 近年では米国発の「シェイクアウト(ShakeOut)」(地震防災訓練)や「防災タイムライン(防災行動計画)」が、また英国発の「BCP」(事業継続計画)がわが国でも導入され、いまや広く普及しています。
 ほかにもいろいろありますが、どこのだれの発案であっても、災害大国・日本としては、防災・減災に有効なものならばどんどん取り入れるべきでしょう。

●「ICS」の”インシデント”の本当の意味

 やや専門的になりますが、災害・防災の専門家のあいだで知られるICS(インシデント・コマンド・システム)も米国で開発されたシステムで、あらゆる”インシデント”について「標準化された管理システム」であたることを言います。

 英語のインシデントの意味は「事件、出来事」で「重大な事件に至る危険のあった小事件」というニュアンスで用いられるそうですが、ICSを開発したFEMA(米国連邦危機管理庁)はインシデントを「生命・財産・環境を守ることが必要となる自然または人為による事件・事象のすべて」と定義しています。

 そしてこのICSは、米国の一般市民団体の自主防災組織をはじめ、医療施設、事業所、指定公共機関、指定行政機関などでも採用され、“自助、共助、公助”のすべてのレベルで広く普及しているそうです。

●「福祉防災」が志向する災害文化のシームレスな変革

 いっぽうわが国では、ICSのインシデントを「自然災害」に限定しがちです。さらに自然災害は、地震、津波、台風、土砂崩れ、噴火災害などと細分化され、被災者支援も災害種・被災程度ごとに縦割りに固定化される傾向があります。
 そんななかで象徴的に、社会構造・文化の垣根のためでしょうか、議論はされてもなかなか日本では実現しない制度に「防災省(庁)」創設があります。

 地震や台風などのような既定の災害だけが災害ではなく、いわば”想定外一般”が災害だととらえれば、事前対策、備え方も変わってくるはず。つまり、ICSでは事前に想定しにくいすべてをひっくるめて「オールハザード」としてとらえ、「起きてしまった災害」だけではなく、「これから起きるかもしれない災害」にも向き合おうという考え方なのです。
 「防災省(庁)」創設によって「オーハザード」への備えと、「シームレスな被災者支援」の実現可能性があります。

 あらゆる支援関係者の参画を期待する「災害ケースマネジメント(DCM)」も、まさに、縦割り打破志向の米国だからこその発想だったではないでしょうか。
 わが国でこのプログラムを具体化し実効性を高めるには、”災害文化革命”への志も求められそうです。

   (M. T. 記)


日向灘及び南西諸島海溝周辺

■《Bosai Plus》第279号・2022年04月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●常在戦場ならぬ「常在揺動」

 本紙は月2回1日・15日発行ですが、まさに東日本大震災から11年を経過し、その感慨も覚めやらぬ3月16日深夜(23時半ごろ)に福島県沖の地震が、その2日後の18日のほぼ同時刻ごろを測ったように、岩手県沖の地震が起こりました。

 22日には内閣府から「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の最終報告」が、23日には群発地震が集中している能登地方を震源とする最大震度4の地震が発生、そして25日に地震本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」と「日本海南西部の海域活断層の長期評価(第一版)―九州地域・中国地域北方沖―」が公表されました。
(そして、ちょうどこの稿を書いている31日午後8時52分頃、千葉県で最大震度4を観測する地震が発生、都内23区は震度3とのこと)

 本紙は公的な機関とのやりとり(仕事)も多少はあり、その事務処理などで年度末は忙しいのですが、お役所の報告書とりまとめ作業も集中するようです。
 2022年度末はそれに加えて大きな地震、大きめの地震、震度4レベルの地震、その余波などが日本列島を揺るがし、災害・防災メディアにとってもまことに多忙な年度末となりました。

●根っこを揺らし、根こそぎ押し流す地震・津波

 福島県沖の地震と岩手県沖の地震は、とくに個人的にも三陸沿岸部に縁が深い本紙(筆者)にとっては文字通り”自分ごと”です。地震の揺れで家屋倒壊というのはよほどのことで、揺れの真の怖さは”生き物としての私たちの存在を根っこから揺する”ところにあると思っています。
 しかし揺れ以上に怖いのは、東日本大震災で起こったような津波ではないでしょうか。あらゆる存在を”根こそぎ”押し流す波の壁――「揺れたら津波!」は、根なし草のような筆者にとってほとんど条件反射的な反応です。

●常在戦場……それにつけても、リアルな戦争と防災、比べたら

 それにつけてもウクライナ戦争(紛争?)には気が滅入ります。国家的正義という共同幻想のもとで無辜(むこ)の人びとを大量殺戮(さつりく)する、まち・地域コミュニティを破壊する――
 私たち防災は「災害犠牲者ゼロ」をめざし「誰1人とり残さない(助けたい)」をモットーに日々努力しているわけですが、戦争はその真逆です。一人ひとりの命を軽んじ(人間の殺傷を戦果とし)、営々と築き上げてきたコミュニティ、カルチャーをこなごなに破壊する。まさに非道、酷(ひど)すぎます。
 正義・主義の名のもとに殺し合うことに大義はあるのか、人間はそれほど弱いのか、どれだけバカなのか。人間営為を超えた自然災害と対峙する防災、災害と闘う市民のほうがよほど強い、大義があると思うのですが――

●それにつけても……いいことない、戦争

井出留美:ロシアのウクライナ侵攻がSDGsを後退させる 世界の食料にもたらす影響
(2022.03.04.)
 「ロシアがウクライナに軍事侵攻」のニュースが日々報じられている。今回の軍事侵攻をSDGsのゴールに照らし合わせ、戦争はいかに社会を後退させるかということについて考えてみたい。SDGsのゴール、17のうち16番目は「平和と公正をすべての人に」……

セーブ・ザ・チルドレン:ウクライナ危機により世界の数百万人の子どもがさらなる飢餓に直面
(2022.03.02)
 ウクライナにおけるロシアの軍事行動により小麦の価格が高騰していることで、イエメンやレバノン、シリアなどに暮らす、世界で最も脆弱な状況に置かれた数百万人の子どもたちが極度の食料不足に……

   (M. T. 記)


FUTABA-Art-Districtプロジェクトより

■《Bosai Plus》第278号・2022年03月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●あれから11年 国の施策は今年度から5年間「第2期復興・創生期間」に

 3月11日の東日本大震災11年が通り過ぎました。だれもがあの日の”衝撃”を思い起こし、それぞれの感慨にひたったことでしょう。
 これからも「災害周年」を迎えるたびに、被災者・被災地を思い、自らを顧み、防災への決意を新たにし、次なる災害にどう立ち向かうか、思いを巡らすのではないでしょうか。
 「災害は忘れたからやって来る」とも言います。「周年」は少なくとも災害教訓を甦らせるという大きな意味を持っていると思います。

●「正常化の偏見 VS. 防災」――生涯で被災者となる確率は?

 いっぽう、NHKスペシャルは先日の3月12日、「あなたの家族は逃げられますか?〜急増 “津波浸水域”の高齢者施設〜」を放送しました。全国調査で東日本大震災後も津波の“浸水想定区域”に高齢者施設が次つぎとつくられていることを明らかにし「将来あなたが入るかもしれない施設は安全ですか?」と問うものでした。

 本紙は前号特別企画「福祉なくして防災なし」で、立木茂雄教授の「障がい者の被災が多かった宮城県で津波浸水域に多く高齢者施設が建てられていた」との指摘を取り上げました。
 また本紙もたびたび、浸水想定域の人口が増えていることを取り上げています。教訓はなぜ活かされていないのか……

 本号に寄稿していただいた平井雅也さんは、「私たちは常に災害と災害の間に生きていると考えられないでしょうか」「私たちは必ず災害にあう運命にあります」と警告を発しています。「だから備えが必要なのだ」と。

 防災科学技術研究所「地震ハザードステーション」は「確率の数値を受け止める上での参考情報」として「地震発生確率・地震動超過確率の評価値」を掲載しています(東日本大震災の直前時点のやや古い資料)。

 ここでは、交通事故による30年死亡確率は約0.2%という統計数値例が引用され、地震と交通事故を単純に比較できないものの、私たちの日常生活で交通事故リスクが身近であることを思えば、地震も日常的な危険としてとらえるべきという説明です。

 いっぽう、巽好幸・神戸大学海洋底探査センター長は、低頻度災害に関してその発生確率を考慮した「予想年間平均被害者数」を用いて、80年の生涯で一度は災害避難をしなければならない確率を求めると自然災害全体では約24%、つまり4人に1人が被害に遭うと計算しています。

 しかし、こうした確率論に刺激されて疑問もわきました。総体的な被災確率についてはいろいろな推計がありますが、個別(個人)レベルでの「被災経験」についてはどうだろう、と。生涯で被災経験のある人は全国民の何%くらいかと。
 80年の生涯で一度も大きな災害を経験せずに一生を終える人が4人に3人だとしたら、個人レベルで「自分は大丈夫」という正常化の偏見にも確率的に根拠があると言えなくもない(!)。

 よく「リアリティチェック(現実直視)」と言いますが、防災も単に「備えが必要」では、平穏に生涯を追える75%の人には効き目がない?……
 いえいえ、防災士としての基本に立ち返ると、要するにこうした災害はいつ・どこで起こるかわからない――だから、備えが必要という正論になります。

 ところがこの”正論”にも反論が出そう。本紙も取り上げた「吉備(きび)高原に首都移転、再燃か 岩石の磁気が地殻変動によって動いた履歴から約4000万年間の地盤安定が判明」(2021年8月15日号/No. 264)のように岡山県の吉備高原に住めば、まずは一生、地震の”難”を逃れることは十分可能なようです。
 ことほど左様に防災は、常に「正常化の偏見」の挑戦を受けざるを得ない宿命(さだめ)なのかもしれません。

●忙中閑話

TBS:米西海岸「The Big One」に備え広がる津波対策「垂直避難」
(2022.03.08.)
 “The Big One”とよばれる巨大地震に備え、アメリカ西海岸では11年前の東日本大震災をきっかけにある津波対策が広がりを見せている……
本紙関連記事 2015年10月1日号(No. 123):対岸のM9地震津波リスク

   (M. T. 記)


イメージカット

■《Bosai Plus》第277号・2022年03月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「福祉と防災がスクラムを組む」

 本号は「福祉防災」テーマの特別構成です。次号との2部連携構成(予定)で、本号は「その1」となります。
 本文で触れていますが、本号では、①「個別支援計画(災害時ケアプラン)」を、次号では、②「災害ケースマネジメント」を取り上げる予定です。

 とくに本号は、防災に関わる人びとのあいだでの”フェーズフリー”の総連携が求められることから、「福祉と防災がスクラムを組む――福祉防災なくして防災なし」を合言葉とする協力・連携体制づくりにおいて、防災士の役割に期待したいところです。

●「福祉知らずに防災語れず」

 本企画関連のリサーチ中に「福祉知らずに防災語れず」という文言(福祉防災に特化する伊永(これなが)勉・ADI災害研究所の弁)を見つけ、衝撃を受けました。本紙もこれまで「福祉と防災の連携」を訴えてきましたが、福祉の実情を知ったうえでの訴えか――と、鋭い問いを突きつけられたように思います。

 そして立木茂雄先生の「これまでの福祉と防災の連携の取組みは連携が大切だということを言うだけ。連携は結果なのだが、どうすれば連携が可能なのかは、実は一言も言っていない」(本文参照)にもギャフンと首をうなだれるのみ。
 本紙モットーは「災害犠牲者ゼロをめざす」としていますが、その出発点は、いわゆる”災害弱者”の犠牲者ゼロに始まるのだ、と改めて気づきました。

●「ゴールは遠いが、しっかり見える」

 本紙は「災害犠牲者ゼロをめざして」防災情報に特化し、これまで愚直にがんばってきたつもりですが、ウクライナ危機にはなんとも憤りと同時に無力感に打ちひしがれてしまいます。
 自然災害ではない、人間が自ら意図的に起こす紛争・戦争が原因で、たちまち多くの犠牲者が”つくり出される”なんて――まったく酷い話ではないか。
 しかも、ロシア軍がチェルノブイリ原子力発電所を掌握したという情報に、戦略だが戦術だが知らないが、人間の業(ごう)の深さに暗澹(あんたん)とするばかり……

 しかし本紙はそれでも「災害犠牲者ゼロをめざす」というモットーのもとで、一歩一歩、一途な志を貫くしか道はありません。「ゴールは遠いが、しっかり見える」、それは間違ってはいないと確信しています。
 もちろん、ウクライナ危機の、人間の英知による解決を祈りつつ……

   (M. T. 記)


AIスマートグラス「3rd-EYE」

■《Bosai Plus》第276号・2022年02月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●デジタルテクノロジーは「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」?

 本号特別企画は、SFの世界を次つぎと現実化するデジタルテクノロジーの防災応用の話題です。
 タイトルカットの写真は「(人の)捜索支援」テクノロジーの最先端をうかがわせるものですが、一見すると”軍事用”と見まごうかのような装備です。もちろん自衛隊や消防・警察との連携を想定した装備であり、印象的には軍事的な要素と紙一重かもしれません。

 いっぽう、本文で取り上げた「インフラサウンド」は、 津波や土砂災害の早期検知に大きな可能性を秘めていますが、もともとは核実験検知を目的に研究開発されたようで、軍事的な要素を孕(はら)んでいます。
 宇宙船打ち上げロケットとミサイル実験の違いが紙一重なように、子どもたちの夢をふくらませる宇宙開発と、覇権狙いの宇宙軍の創設が同時進行なのは皮肉です。

 原子爆弾と原子力発電を比べるまでもなく、ことほど左様に、テクノロジーは「諸刃の剣」の側面を持っています。ただ、防災面で開発されるテクノロジーは、願わくば純粋に「減災」をめざしてほしいものです(自然の克服ではなく)。

 本紙は寺田寅彦の箴言のいくつかを何度も取り上げていますが、そのなかに、「文明が進むほど災害は激烈になる」というものがあり、そのさわりを特別企画大見出しで引用しました。
 寺田は小編の「天災と国防」のなかで、次のように述べています――

[戦争はぜひとも避けようと思えば人間の力で避けられなくはないであろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない。いついかなる程度の地震暴風津波洪水が来るか今のところ容易に予知することができない。最後通牒も何もなしに突然襲来するのである。それだから国家を脅かす敵としてはこれほど恐ろしい敵はないはずである…(中略)…陸軍海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然でないかと思われる]

 本紙はモットーとして『 ゴールは遠いが、しっかり見える。』を掲げていますが、”はっきり見える”ではなく、”しっかり見える”としたことに多少の意味を込めています。
 「しっかりゴールを見据えて進む」という志こそ、テクノロジーにも求めたいところでもあります。ゴールとは「災害犠牲者ゼロ」です。

●忙中閑話

防災科学技術研究所と東京海上ホールディングス、合弁会社設立
(2021.11.01.)
 国立研究開発法人防災科学技術研究所と、東京海上ホールディングス株式会社は、双方の強みを活かして社会のニーズに合わせた新たな防災・減災サービスを提供する合弁会社『I-レジリエンス株式会社』を設立……

朝日新聞:気候変動、SFから警告 ピンとこぬ未来の危機、共有させる手法
(2022.02.11.)
 「地球温暖化が危機的だ」「社会の脱炭素化が必要だ」といわれてもなかなかピンとこない。多くの人にイメージを共有してもらうにはどうしたらよいのか。ドラマや小説など、あえて現実ではないものを通してリアルに感じてもらう……

CNN:2000年かけてできたエベレストの氷河、25年で融解 新研究
(2022.02.04.)
 世界最高峰エベレストの頂上周辺に存在する氷河について、形成に要した時間のおよそ80倍のペースで融解しているとする新たな研究が発表された。人間が引き起こしている気候変動に原因があるという……

   (M. T. 記)


在日本トンガ大使館ツイッターより

■《Bosai Plus》第275号・2022年02月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「居安思危/思則有備/有備無患」=想像力で備える

 本号特別企画は、南太平洋トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ海底火山噴火を契機として、巨大災害への”想像力”をテーマに据えました。

 トップのタイトルにある「居安思危/思則有備/有備無患」は、防災界で知る人ぞ知るメルマガ「週刊防災格言」の発行元”防災意識を育てるWEBマガジン”『思則有備(しそくゆうび)』にヒントを得ています。
思則有備

 昨年6月、同マガジンから本紙に寄稿要請があり、拙稿を掲載させていただきました(2020/06/26)。
 それを機に故事成句「思則有備」の前段・後段を知り、本号の大見出しに引用させていただいた次第です。発行後となりましたが、この欄を借りて『思則有備』マガジンに御礼を申し上げます。

●一般ビルの耐震化――だれが声をあげるべきか

 本号は特別企画で地球規模の大災害を主題に置きましたが、「見過ごされている一般ビルの耐震化」(P. 3)では逆に、耐震化されていないブロック塀どころではない日常的な重大リスク、深刻な一般ビルの耐震化問題を取り上げました。

 阪神・淡路大震災は早朝起こっただけに住宅での人的被害が大きくなったと言えますが、日中に起こっていたら……と考えれば、一般ビル倒壊の深刻さの様相はさらに増すのではないでしょうか。

 本文で「市場原理にまかせていいのか」としましたが、「だれが、なぜ、どのように、一般ビル耐震化の遅れを見過ごしているのか……だれがその代償を払うのか」――まず、そのような危ないビルで日々、仕事をしている勤労者、テナントが自ら「恐い」と声をあげなければ、状況は改善しないのではないか。

 私は以前、ある役所の防災担当部署を取材で訪れ、外見からしていかにも旧耐震ビル、かつ壁にひびの入ったビルの、机に書類が雑然と積み上げられている部屋のなかで仕事をしている職員のみなさんに、「これはアウト!」と思ったことがありました。

 いまでこそその役所は耐震補強されたと聞きましたが、だれが声をあげたのか、それをだれが聞いて、だれが耐震補強を決断したのか、決裁過程を明らかにしたいと思いました。

●忙中閑話

NHKニュース:「終末時計」“残り1分40秒” 3年連続最短 米科学雑誌が警告
(2022.01.21.)
 米国の科学雑誌は、人類最後の日までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」(Doomsday clock)の時刻について、これまでで最も短くなった過去2年と同じ「残り1分40秒」と発表、核兵器や新型コロナウイルス、気候変動の脅威に……

朝日新聞:トンガは「リスク度」3位 1位はどこ、日本は?
(2022.01.20.)
 トンガ諸島での海底火山の大規模噴火は、トンガに津波と降灰による大きな被害を与えた。トンガは大型サイクロンや地震も頻発する「災害大国」。世界各国を災害リスクの観点から順位付けする「世界リスク報告」(2021年版)で……

   (M. T. 記)


雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援として、長野市では、雪害救助員が安心して雪下ろし作業ができるように、雪が積もる前に高齢者世帯などの住宅を現地調査し、支援が必要な世帯の住宅の情報を共有する「除雪住宅カルテ」(屋根の特徴、雪止めやハシゴの位置、注意点などを記録)を作成している。また、命綱アンカーの取付け金具を自ら開発し、これを設置した「命綱アンカー設置モデル住宅」を整備、ここを拠点に周知・提案を図るほか、雪害救助員を対象に、安全帯と命綱の重要性を伝えるための除雪安全講習会などを行っている

■《Bosai Plus》第274号・2022年01月15日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●「克雪」への永い闘い――「ゴールは遠いが、はっきり見える」

 本号特別企画は、この時季の恒例ではありますが「克雪」がテーマです。
 コロナ禍(→オミクロン禍)を背景に、除雪ボランティアの活動もままならないと聞き、今回は多少切り口を変えて公助としての「雪の防災気象情報」と「克雪支援対策」を主に取り上げました。

 そのなかで公助の新しい試みとして、長野市を事例に非常勤「雪害救助員」派遣制度と「除雪住宅カルテ」に注目、豪雪地帯(と周縁地帯)の防災士のみなさまの地域活動の参考としても取り上げました。

 東京(首都圏)在住ですと、今冬はとくに豪雪地帯のみなさまには申し訳ないほどお天気が対照的(大雪・吹雪と快晴)です。豪雪地帯の高齢の親戚からの便りも「雪かきが大変」と……東京の快晴の空を眺めつつ、大雪・吹雪のニュースに心を痛めています。

 ITCの時代、DX、AI、デジタル田園都市……最先端テクノロジーはいろいろ先を見ますが、「克雪」は言わずもがな、地震・津波、台風、噴火などなど自然災害について、その発生を抑えることはムリとしても人的被害想定〇万人(直近の日本海溝・千島海溝では最悪19万の犠牲者!)という、百年前の被害規模と変わらない、いえ、それ以上の想定死者の数字が当然のようにまかり通っています。

 阪神・淡路大震災27年を迎え、その犠牲者数をはるかに超える被害想定がいまだになされることに、私たちはもっと敏感になるべきではないでしょうか。

●忙中閑話(この項、ご好評をいただいていますので……)

 最近号で「小惑星からの地球防災」を取り上げましたが――
CNN:幅1kmの小惑星、来週地球に最接近 190万km先を通過
(2022.01.12.)
 幅約1kmと推定される小惑星が今月18日、地球に最接近する。米航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体研究センターによると、地球から約190万kmの距離を時速約7万6000kmで通過する見通し……

ねとらぼ:ゴジラの名前が付いた岩が国際的に認可 地球史上最大、海底で発見
(2022.01.06.)
 国際会議で、日本が新たに提案していた「ゴジラメガムリオン地形区」を含む18件の海底地形名が正式に承認された。海底地下のマントルが露出したドーム状の岩である「メガムリオン」に、“ゴジラ”の名前が国際的に登録されたのは初めて(日本政府ではすでにこの名前で呼んでいた)……

ナショジオ:3600年前の超巨大「ミノア噴火」、津波の犠牲者をついに発見、エーゲ海
(2022.01.04.)
 約3600年前の後期青銅器時代、エーゲ海の火山島が噴火し破壊的な津波を引き起こした。その津波による犠牲者の遺骨が、最近になって噴火したティラ火山(現在のサントリーニ島)から160km以上離れたトルコの海岸で初めて見つかり……

   (M. T. 記)


2022謹賀新年(Bosai Plus 賀状)

■《Bosai Plus》第273号・2022年01月01日号発行!(同P. 1「もくじ付き」へリンク

●新年おめでとうございます

 コロナ禍の収束がいまだ見えないなか、2022年の幕開けとなりました。オミクロン株の動静も先行き不透明で、まだまだ気を許せない日々が続きそうですが、新しい年のみなさまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 この”災害”に対して私たち市民は、「感染しない・感染させない」の”実践的精神論”(?)で耐えるしかないようです。
 みなさまのなかには不運にもすでに感染されたという方もおられるかもしれません。お見舞いを申し上げますとともに、後遺症などの早期完治・克服をお祈りいたします。

●本号は「1月1日発行」ですが、1月4日配信です

 昨年末の本欄で書き忘れましたが、《Bosai Plus》1月1日号は例年どおり、1月4日の配信となります。ご了承ください。

●「ブラタモリ」を活きた教材に!

 2022年度から高校で新学習指導要領が実施され、新設の「地理総合」が必修科目になるそうです。地理総合の主要なテーマのひとつが「防災」になるとのこと。大変喜ばしいことです。

 少し前、NHKテレビの「ブラタモリ」のタモリさんと制作スタッフに国土地理院が功労者として感謝状を贈呈したというニュースがありましたが、確かに視聴者が地図や地理に興味を持つきっかけになり、さらには災害・防災を考える動機づけにもなっていると思います。

 ただ、「ブラタモリ」がすごいと思うのは、防災のみならず、まちの成り立ち・人びとの暮らし、魅力を探ると同時に地政学的な視野を広げてくれるところではないでしょうか。防災は社会のインフラという視点からは、防災もあらゆる分野に紐づけられるという意味でも、「ブラタモリ」を応援したいと思っています。

●忙中閑話 その1

 本年は「寅(虎)年」ですが、たまたま「虎斑(とらふ)」という言葉を知りました。「虎斑」とは横縞のような模様で、ナラやオーク材などのブナ科にみられる模様。虎の毛のように見えるものを指すそうです。木の栄養を含んでいる場合に出る模様で、質の良い木材であることを意味するとされます。

 この「虎斑」から「南海トラフ巨大地震」を思い起こしました。言われてみると、海溝も「虎斑」柄に似ています。これを年賀状にモジろうかと思いましたが、やや不穏なのでやめました……

●忙中閑話 その2

CNN:洪水に強い「水上都市」の計画を認可 釜山
(2022.01.03.)
 韓国の釜山市が、野心的で新しい海上への移住計画を認可した。2022年に最初の区画の作業が始まる予定だ。設計者によれば、今回提案されている「水上都市」は一連の相互接続されたプラットフォームで形成され、最終的には1万人を収容できるようになる。沿岸部にとっては、海面上昇によってもたらされる脅威への大胆な解決策となりそうだ……

共同通信:北極圏で気温38度、最高と認定 昨年6月にロシアで観測
(2021.12.14.)
 世界気象機関(WMO)はロシア極東サハ共和国のベルホヤンスクで昨年6月20日に観測された38度を、北極圏の観測史上最高気温と正式に認定した。南極半島にあるアルゼンチンのエスペランサ観測基地……

   (M. T. 記)